温湯（ぬるまゆ）シュウイチの下衆リーマン日記！
誰もが知ってる某一流会社勤めの金融マン。39歳妻子持ち。長男は私立小学校に通い、妻は専業主婦で習い事に大忙し……
そんな順風満帆な人生がひょんなことから600万の借金返済生活へ！
つちかった役職知識をフル活用！カラ交通費に経費水増し、株式投資に副業、ギャンブルetc…
一発逆転高収入を夢に見て、合法ギリギリの小遣い稼ぎに狂う日々。
嗚呼、来年の8月にはようやく司法書士にお願いした債務整理の返済が終わります。それまで嫁にはバレませんように（ナムー
AGAのハゲ薬をインドから個人輸入し副作用で精力が弱りはじめた、温湯シュウイチのゲスい日常。【注】読後感悪し
第2話 温湯、会社の金に手をつける！の巻。
■ちょろまかし業界の基本 経費水増し請求
- 家賃、食費、教育費etc…今や会社からの給料だけでは借金返済も遅々として進まず。家庭と愛人との生活を維持するためには、毎月どうしても7万円が足りない深刻な状況が続いている……
自己紹介にある通りお堅い金融機関に勤めているので、
会社では毎月コンプライアンス（法令遵守）研修が厳格に執りおこなわれている。
当然、管理職は参加必須。最近は一般職もWebカメラを使いウェブ会議で参加をしている。金融機関はどこよりも、高い職業倫理観が求められる。そんな環境下でカネとオンナの不祥事が露見したら一発アウト。経費のちょろまかしや派遣の女の子に手を付けているオレは戦々恐々の日々。（－人－）ナムー
先日のコンプライアンス研修で担当部長（コンプラ部長）が言う。
「さて、今月のテーマは、経費適正使用及び、公金と私金の区別について……」
一瞬、コンプラ部長と目が合った。心臓バクバク。犯罪者が警察官見るどドキドキするのと同じ心理。
ドキッ！としたが、よく考えると経費の水増し請求なんてみんなやってる。例えば出張で宿泊があるとき……
支給されたホテル代を浮かせてネットカフェに寝泊まりするのは日常茶飯事。何も悪くない。ネットカフェが空いてない時は、個室ビデオ「金○郎、花○郎」に泊まる。ちょっとイカってるときがあるが……会社から支給される宿泊日当（ホテル代）が8,000円強。
ネットカフェで泊まれば2,000円で済む。
その差額を懐に入れることは、常套手段。この程度で水増し請求といわれたらたまったモンじゃない！営業努力だ。この6,000円の収入は意外と大きい。取引先の社長なんか、オレの顔見るたび「領収書あったら買うよ。買取り価格は10%ね」なんて言ってくる。
そう、領収書集めなんて商売人はみんなやってる。 ■ゲスリーマン温湯の父
そして何を隠そう、ウチの親父はもっとひどかった。
領収書を買う、水増しする、改ざんする、のレベルではない……子供の頃、親父は町工場の零細企業を経営していたが、倒産してその法人格だけが残っていた。
当然、生活は厳しい。普通ならば工場を閉鎖し「勤め人」になるのが相場だと思うが、親父は一向に働かない。働く気配すらない。
お袋が何度も「お父さん、もうお米がないんです。勤めに出てください」と懇願するも……
「生まれつきカラダが弱いから肉体労働はできない」
「必ずもう一回当てる、チャンスは来る！」
とうそぶき毎日ブラブラしていた。ある日、珍しく朝から気合いが入った様子で、出かけようとする親父。
お袋が「どちらに？」と尋ねると、親父は力強く「海！」と言い残した。
食材を探しにいよいよ漁にでも出掛けるのか？と感心したのも束の間、行き先は新装開店のパチンコ屋で「海」とは「海物語」のことだった。確かオレが小学校6年の頃だったと思う。そんな親父にチャンスが舞い込んできたのだ。
久しぶりの来客。
またいつものように「借金取り？」と心配して、襖からこっそり覗いてみると……親父がペコペコ頭を下げている……のは毎度のコトだったが、今回は決定的にあることが違っていた。
何と来客と笑顔で握手をしていたのだ。客が帰ったあと、歓喜の声を上げながら親父が拳を上げた。
「よっしゃあぁぁ！」
「仕事がキターー！」
「ビンボー脱出！」
こんなに喜んでる親父を初めて見た……だが親父、喜ぶのはよいが早く電気代を払いに行かないともうすぐ日が暮れるんですぅ……■温湯の父、1勤29休？
- 結局、今宵もロウソクで一晩を過ごすハメに。
ロウソクの灯の下で何の仕事が決まったのか事情を飲み込めない家族に親父が語り始めた。
「これからまた会社を始める。トンネル会社というかダミー会社というか……わかりやすくいうと、会社はあるけどその実体はないんだ」
家族「？」
「まあ取引しているフリだけの会社だ。毎月500万円の領収書をウチから発行して、向こうさんに50万円で買ってもらう。内緒の話だけど、どうも会長さんの愛人のための裏金作りらしい」
家族「！！」
「それにしても、ウチみたいな工場によく目を付けてくれたな……ありがたや、ありがたや……」
6年生オレ「でもそれって犯罪……じゃないの？」
親父は自信に満ち溢れた様子でゆっくりと言った。
「大丈夫！バレやせん。今ウチは追い込まれて生きるか死ぬかの瀬戸際やないか！人間追い込まれたら恐いモンはない！」
ゆらゆらとロウソクの灯を浴びながら話す親父に妙な説得力があったのを今でも覚えている。ところで、チェックライターという領収書の金額を打ち込む機械のことをご存じだろうか。
パチスロのレバーが5倍位大きくなって、そのレバーの根本に「1・2・3・4…」と数字が羅列してある不思議な機械。
レバーを回し一文字ずつ打刻していくと、領収書に「ガタンガタン」と数字が打ち込まれる仕組みになっている。
最新式はレバー式でなくプッシュボタン式。アスクルなどで1万円程度で購入可能な代物。当時はお袋が親戚から借金して、5万円でチェックライターを購入した。
なんてったってカネを生むマシーンなのだ。温湯家ではそれはそれは大切に扱われ厳重に管理されていた。そして月末近くになると領収書作成の日がやって来る（実際親父はその日しか働かない）。
神棚からチェックライターをう取り出してきて、領収書を機械に合わせて金額を打ち込む。
いつしか我が家では、領収書作成する前は必ずチェックライタに一礼をし手を合わせる、合掌一礼が儀式になっていた。
「ホラお前もやらんかい！」
普段はとても温厚な性格であった親父だが儀式のときだけは厳しかった。今思い出すと、チェックライターを人差指1本でポチポチと500万円ナリ と打ち込む親父の目は輝いてた。人間の瞳って本当にキラキラ輝くんだよね……
■コンプラ部長の教え
ぼんやりと昔の思い出に浸っていると、急にコンプラ部長が口調を強めた。
「ここで皆さんに質問です！」「皆さんは長年勤めた会社を今日で定年退職を迎えます。そこで今から試験がおこなわれます。とても簡単な内容です。問題は5問。うち4問はスラスラ解けましたが、どうしても最後の1問がわかりません。どうしてもわからない。実はこの試験は卒業試験を兼ねております。すなわち、全問正解をしなければ退職金の1千万円をお支払いできないのです」
「さて困りました。ふと隣の人を見ると、すでに解答を終了していました。チラッと横を見ると何と回答が丸見えではありませんか。皆さんどうしますか？」
「隣を見て解答を写す人はいますか？」
参加者のほとんどが手を挙げた。オレも手を挙げた。
「では、次の質問をします」
「実はこのテストはあなたの誠実性を計る目的でした。よって正直にテストを終えた方にだけ退職金をお支払いするのものだったのです」
「はい、隣の回答を見る人はいますか？」
誰しもが挙手しなかった。オレもサッと手を下げた。
さらに、担当部長は強い口調で言った。
「小学生だってテストでカンニングをしてはいけないと知っています。ましてや皆さんは大人です。なぜわかっていながらカンニングをするのか？そう、それは追い込まれるからなんです。人間は追い込まれたら不正をするのです」オイ親父！「人間は追い込まれたら恐いモンはない」っていうのは不正解だって。正解は「人間は追い込まれたら不正を働く」らしいよ。
いや、部長も間違っている。人間は追い込まれなくてもバレなければ不正を働くんだよ。
もちろん、この程度の研修で心が折れるようでは600万円の借金返済なんてできるわけがない。
さあ、不正の実行！■交通費水増し、白紙領収書……闘いは続く！
手始めに業務旅費（交通費）の水増し請求から着手。
法人挨拶回り、お客様訪問、お得意回り……と行ってもない客先の交通費を会社からゲットする。
目標金額は月1万円に設定。
会社から怪しまれない妥当な数字だ。到達したらストップする。そして行きつけのスナックのママと結託し、白紙領収書を毎回もらう。
目標金額は月2万円。
領収書には実際使った金額の倍額を記入し接待交際費として会社からゲットする。祝！何もせずに毎月3万円の収入。おいしい。
さて、順調に不正を働いていると3ヶ月後に事件が起きてしまう。
なんと上司の「経費不正使用」が内部告発により発覚したのだ。内々に同期の社内検査官をつかまえて詳細を聞いてみると……
上司が出した「◯◯プロモーション」という領収書の会社名が、最近ウチの会社が導入した反社会的企業検索ツールでヒットしたという。（10万円以上の経費の支払いは反社会的企業の検索が必要になる）
さらに調べたら、その領収書の発行元は何とソープランドと発覚。ソープで遊んだ金を会社に請求って、ソレはアカンやろ……だがそういった不都合な事実は、明るみに出ないのが金融機関のよい所。結局もみ消されたが、その上司は降格＆減給され私の部下になった。
暫くして会社から下記の通達がなされた。
重要経費使用における留意点
①今後経費使用に関しては領収書の取付ではなく原則レシートの取付で申請をすること。
②50,000円以上支出の場合は必ず事前に上司に報告する。
③慰労での経費申請を認めない（単なる飲み会はダメ）
④部下を指導した場合については指導内容を報告。
スナック、カラオケ、クラブ、料亭での指導は一切認めない。完全な想定外！
敵（？）もさるものスナック作戦は完全にアウトになった。
そもそもレシートが出るスナックあるかいな！クソが。次なる一手を早急に画策しなければ……
- 経費不正請求、交通費水増し請求、領収書改ざん等、全般
- リターン→月平均5万円をゲット。交通費水増は現在も継続中♪
リスク →業務上横領、背任、私文書偽造。完全な行政処分発動で社会的地位を失う。
※但しコンプラ部長のおっパブでの経費使用接待に同席。いざとなったら道づれ。 - 愛人契約（継続中）
- リターン→プライスレス?
リスク →刑事罰はないが、会社にバレたら社会的地位を失い、嫁にバレたら物理的に生命を失う恐れあり。
