大人がお酒を飲みに行くとなるとやっぱり、居酒屋、オシャレなバー、高級そうなクラブ、ちょっとエッチなキャバクラ、和服の女将のいる小料理屋等があるが、やはり忘れてならないのが"スナック"だ。
「俺の行きつけのスナックで飲もうかぁ」と誘う男の姿には、けっしてちゃらちゃらしたガキには出せない、人生の重みを抱えた労働者の哀愁が漂うものだ。けっして一見さんお断り、ということではなく、カラオケでおっちゃんが演歌でも歌ってるような単なる飲み屋なのに、なぜかその重いドアを開けることに躊躇してしまう、そんな桃源郷が"スナック"なのだ。ローカル感漂う場末の街に目立たずひっそりとあるのが"スナック"というものだ。
ここ東北沢は、今や観光地化された下北沢と、最近ムカツクぐらいコジャレてきた代々木上原の間で、鈍行しか止まらないエアーポケットのような、大都会のローカルな街だ。
「スナック&喫茶"チェリー"」はそんな東北沢でひっそりと地元っちーに愛されてるスナックである。まず玄関の看板には「音楽と映画とチェリーね」「将棋も囲碁もCHERRY」などと書かれており、何系の店なのか全く分からないぃ。中に入ってみるとまず驚くのは、店内に飾られた数々の写真やオブジェ。壁や天井から吊り下げられた、格言が書かれた無数の短冊。もうごっちゃごちゃしすぎて、もしかして電波系? と思える。
しかしながらその強烈な店の雰囲気とは裏腹にカウンターの中にいる"ビンコ"ママさん(殆どそこから出てきません)と癒し系ボーイ?"ふくちゃん"の2人の優しい対応になぜか心がなごんでしまうのだ。ビンコママは元チューリップの財津和夫さんの大ファンで、東北沢の財津和子と自分のことを呼んでいる程。ふくちゃんはお店のこまごまを取り仕切り、お酒やコースターなどをてきぱきと運んでくれる。
その様を見てると、人の良さを感じずにはいられないぃ。ほろ酔い気分になってきた頃、「自分ファン」「夢は死なない」「幸せな失恋」などなど書かれた無数の格言短冊を1つづつ眺めてしまい、なぜか不思議にもその格言に「うーんいいお言葉だぁ」と納得してしまって、心が素直になり癒しぃを感じてしまうのだ。
帰ろうとお勘定して出ようとする時、お土産として手渡されるのが135mlのちっちゃな缶ビールと殻つき落花生。粋な心遣いじゃあーりませんかぁ。そして写真を撮られ住所を書くと、その後、財津和子名義で心温まるハガキが送られてきて、また飲みにいこう、ビンコママに会いに行こう、と思い立ちついつい足を運んでしまうのです。かの松田優作も、誰もお客がいない時1人ふらっと訪れる常連で、この癒しの魔力に魅せられた一人だったというのは紛れもない事実。
営業時間は、なんと夕方6時〜翌朝10時まで。玄関先にかけてある「一生無休」の短冊のごとく、冠婚葬祭以外は365日休みなし。ビンコさんはこう言います。「私に体力があったら24時間営業したいのよ」。大都会でもみくちゃにされた心を母親のごとく癒してくれる、そんないい意味での場末感漂うスナック、それがチェリーなのだ。
サワサキヨシヒロ!
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俺色そめる
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