
---まずは、パパイヤ鈴木さんがダンスを始めるきっかけからお話を伺いたいと思います。
うちは親父がミュージシャンでお袋はダンサーだったんですよ。僕は歌手になりたかったんだけど、歌には音程とリズム感がいるからって話で、ダンスを習ったのがきっかけですね。
---肩書きにダンサーが並ぶようになったのは。
気がついたらダンスで飯食ってる感じです。うちのかあちゃんが大阪ってのもあると思うんですけど、昔から趣味で終わるものに興味持たないんですよね。
要は、のちのち金になりそうな物というか、自分の身になるからやるとか、そういうのが多かったです。だから書道とかより、パソコンだったり。なんとなくやる気が出るイコール、のちのちなんかになるんじゃないかな、っていう頭が働いてたんだと思います。
---生まれ持っての臭覚のセンスがあったと。色々やった中でもダンスが一番好きでしたか?
いや、本当は歌が歌いたかったから。高校生くらいでバンドにダンサーといろいろやってたんですよ。でも、バンドで飯を食うのは難しい話で。ダンサーは、先生のところに仕事がきたら振ってもらうみたいな。まあ、どっちつかずで。
でも、自分で目標決めてやろうってよりは、なんとなく流されるままにやってたタイプなんですよ。もちろん学校にもちゃんと行ってたし、なんか毎日バタバタしてましたね。
---でもかなり若い頃から実践派ですね。
そうですね、説明書読まないタイプっていうか(笑)、とにかくやってみるんですよ。やってダメだったらすぐやめちゃったりして。その中でもダンスは性に合ってたんですかね。結構、細かいことが昔も今も好きなんで。
例えばコンピューターミュ―ジックもそうだし、昔、ウェブ作る仕事をやってたことがあって、マニピュレーターのパソコンの仕事してたり。細かい作業で少しづつ物事が変わっていくってのが好きなんですよ。振り付け師も、ここをちょっと変えたら全体の印象が変わるなとかそういうことを考えながらやったりしてました。
---ダイナミックに見えるけれども、実は逆?
インドア派だし(笑)。パソコンもケーブルを作ったり、ハンダにまみれて、出来上がり見て『うまくいった、ニヤっ』てタイプ(笑)。
---むちゃくちゃ裏方ですね(笑)。
まったく裏方ですよ。昔、データカラオケの仕事に就いてたんですが、それもパソコンで5人くらい並んでデータを作って、一日中ズ―ッとカタカタ…っていうのをやってたり。
---イメージとしては、文系と理系と体育会系をすべて共有してる人って感じですね。
例えばライヴだとステージでバーンと派手にやるじゃないですか。逆に部屋にこもりっきりのレコーディングも好き、みたいな。でも細かい仕事が好きなのは、トータルで一緒なんです。自分の声のテイクは自分で直したいくらい。
---広いところを見つつ、めちゃめちゃ細かい部分も範疇に入れてるという。
自分たちのダンスイベントでも、音楽編集をほとんで自分でやってるし。でも自分でアレンジをするより他人にやってもらったほうが良いとこは任しちゃう。他人の意見を割と聞くタイプなんです。
コラボレーションしたなって気分になるし、その方がワンパターンにならない。アシスタントも思い出になるじゃないですか。
---自分も納得できて、後輩も育つと。では、色々とやってきたパパイヤさんが、ダンスを仕事の中心にしたきっかけは。
もともと歌をやりたかったんで、歌手になるにはどうすればいいのか考えてたんです。ミュージカルやディズニーランドでダンスやってたんですけど、やっぱ違うなって。そうやって迷ってた頃に、マイケル・ジャクソンが『ポゥッ』って登場しちゃって、かっこいいなと。
要は歌手がいてバックダンサーが付属するっていう図式から、メインのボーカリストが一番踊りがうまいって図式になってくるんですね。あ、これだ、と。日本人って、歌のうまいダンサーだったら、踊りのうまい歌手のほうがいいんですよ。僕もまさしくそう思ってて、僕も踊りのうまい歌手にならなきゃなって。
---そこで初めて明確に目指すものが見えてきた。
じゃあ、これからどうしたらいいのか考えてたら、そのうちに振り付けの仕事が割と多くなってったんで、自分も振り付け師になってったんですよ。前に出るより後ろに引っ込んで。それはそれで充実感はあったんです。
ユーミンのコンサートスタッフをやってたんですが、ツアーが終わって感動しちゃって。こんなにスタッフでも感動できるんだって初めてわかったんです。すごい充実感でね。でも、それと共にジェラシーもあって。『本当はメインであのステージに立ちたいんだよね』って葛藤の中で生まれたのがおやじダンサーズだったんですよ。
---なんと、ユーミンへのジェラシーがおやじダンサーズを生んだとは意外でした。
ユーミンのツアーをやらなきゃダメだっただろうし、ユーミンのことをうらやましいと思わなかったらダメだったんですよね。どうしてもステージに立ちたいって思って、誰もいないときに勝手に立ってたりしてたんですけど(笑)。
ここにメインで立ったら気持ちいいだろうな、とか、明かりがついてないとダメなんだとか思ったり。ユーミンが出てくるとダーってお客さんが盛り上がってこちらも鳥肌がたって、いいなーいいなー…いいないいな病ですよ(笑)。
---スタッフからメインに上がるために、どういう道をたどって行ったんですか。
じゃあ自分、何が出来るんだろうと考えたときに、おやじダンサーズってできるなって考えて。自分が前に出るのは、まずは歌じゃなくてダンスだろうと。それで踊りを頑張ってたら、レコード会社の人がおもしろいっていってくれて。
桑田(圭祐)さんがCMで使ってくれたり。結果CDを出すことになってね。TVのカメラが真っ正面向いてるのがうれしいわけですよ。細かい話で、昔エンジニアもやってたから分かるんですけど、、レコーディングの卓で、ボーカルのフェーダーは真ん中なんです。チラって見たら、真ん中に『パパイヤ』ってある。もううれしくてね(笑)。くだらないところなんですけど、そういうところ見ちゃうんですね。
---良い話ですね(笑)。こうして、自分の夢を達成したわけですが、この次の目標はどういう方向を考えてるんでしょうか。
僕らは中学生でダンスを始めて、それはもの凄く早かったんですけど、現状は小学生でも遅い。今は全体のレベルが上がってるから、自分が技術を磨かないとどんどん抜かれてっちゃうって怖さもあるんですよ。そういう恐怖感も感じながら、でもそれが楽しみっていうかね。若い子が出てこないとどうにもならないし。
日本のショービジネスって細いピラミッドなんですよ。真ん中がない。ニューヨークとかは、真ん中がいっぱいいるから、ピラミッドがデカくなって層が厚くなっていく。日本はてっぺんが一握りなんですよね。それをどう変えていくか。
---密度の濃いショービジネスの為に、現在、考えている戦略は?
考えたのが、自分たちのパフォーマンスとかエンタテインメントを日本じゃなくて海外に持って行こうかなと。今は、日本のエンタテインメントを海外に輸出する時期なのかなと思ってて。もう仕掛けてるんですけどね。
日本って前例が無いと何もできない国なんで、今はその前例作りをしてるわけです。海外でおもしろがってくれて、逆輸入のほうが日本って早いのかなって。今は多分、種蒔きの時期で、来年あたり芽が出そうかなって思ってるんですけどね。今はそれに向けて準備をしてる状況です。
---お話を聞いていると、日本だけじゃなく世界まで見通し、常に先のことを考えて行動する人という印象を受けますね。
うん、先回り大好き(笑)。それが失敗すると怖いんだけどね。でも、僕はあんまり失敗しないなって思ってるんですよ。自信があるってわけじゃないんだけど。
自分一人が思ってるんじゃなくて、周りのブレーンもみんな同じことを考えてるんです。そうすると結構、行けるんじゃないかって。今までもそうだったし、みんなが反対してるのに絶対大丈夫だからってプロデュース力も無いしね。みんなで渡れば怖くない的な部分があって(笑)。
---周りの意見も聞きつつ、自分の道も歩いて行けるということですね。客観視している部分もあったりして。
あと、割とその日暮らしな性格なので、あんまり金とか物に興味がないんですよ。だから明日、仕事がまったくなくなっても、別に大変じゃない。蓄えがなくてもどうにかなるかなって。
実家が米屋で、嫁さんの実家も農家だから、米はあるし、どうにかなるぜってタイプなんで。でも、結果的にみんなと一緒にやって楽しく終わったりする。じゃあ、それを次にどうやってつなげるか、今を糧にしていくにはどうすればいいのかっていうのは真剣に考えてますね。

---何をやるにも目的意識、その後の広がりを大事にしているわけですね。では、これから夢をつかもうとしている読者へ、パパイヤさんからのアドバイスをいただけますか。
僕が常に思ってるのは、バイトを探すときでもそうでしたけど、自分に見返りがあることをやった方がいい。それはお金じゃなくて、例えば自分がコンビニを運営したいと思ったら、絶対にコンビニでバイトをしたほうがいい。
そうすると自分で勉強ができるし、尚かつ、お金ももらえるっていう様に、前向きに考えたほうがいいと思うんですよ。
---ポジティブ思考で仕事を選んだほうがいい。
同じことをやってても、上にこき使われれてうっとおしい、こんな安月給じゃやってられないって考えるよりも。確かに仕事って、お金のためにやるんですけど、自分を変える為に働くっていうかね。
---『自分の為に働く』っていいですね。
年に一回必ず身になる何かをやる。例えば、免許を取るとかね。取れたとき、自分が変わった感じがして、うれしいんですよね。この間までとは違うぞって。
いつも年始に、プチ目標を30個か40個書くんですよ。気がつくと半分くらい叶ってるんです。そうすると結構なもんだなって思って。例えば、お金に興味はそれ程ないけど年収1億とか書くんですよ(笑)。思ってることを全部書く。
ほとんど叶わないんですけど、でも50個のうち2個も叶ったら『やったぞ』とか。そういう感覚なんですよね。
---それが積み重なったら相当な数になりますね。
自分が好きなことって誰にでもあるじゃないですか。趣味に繋がる仕事をやったほうがいいと思うし、今は見つからなくても絶対にどこかにあるから。
カメラマンやりたいならカメラマンのアシスタントやらなきゃダメだし、雑誌の編集がすごい好きな人は絶対そこに入ったほうがいい。ダンサーになりたい人は、いきなり振り付け師のアシスタントになるのは難しいと思うんですよ。知り合いじゃなきゃできないから。知るまでが大変じゃないですか。だったら例えばカルチャーセンターの受付やるとかね。
--- 少しでも好きなことに近づくという。
ちょっとでもかすってるもの、関わってるものを探してったほうがいいんじゃないかと。好きなこととまったく関係ないと、上司が嫌いだからって簡単にやめちゃいますよね。
身になるものなら続けられるし、やってみれば、得るものがあるかもしれないじゃないですか。要は精神論ですよね。やめようかなって思ったときに、やめるか続くかって決め手はそこですよ。
---いいアドバイスですね。成功したい読者にとって、身になるコメントだと思います。
仕事を探すなら、弟子入りするつもりで仕事を選べということです。技を盗んで金もいただくみたいな、ね。なんか石川五右衛門みたいですよね、このフレーズって(笑)
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お問合せ:ディスクガレージ
TEL:03-5436-9600
公式HP:http://www.oyj.co.jp/
PROFILE
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パパイヤ鈴木(パパイヤ・すずき)
1966年6月29日生まれ。東京都出身。
ラテンミュージシャンの父と元宝塚の母という芸能一家に育ち、幼少の頃よりラテン音楽に親しむ。中学生でダンスを始め、ディズニーランドのダンサーを担当したことも。
'98、パパイヤ鈴木とおやじダンサーズを結成。プロモーションビデオ「おやじマムシ」が桑田佳祐の目に止まり、サザンオールスターズ20周年記念アルバム「海のYeah!!」
CMに出演、続いてサザンオールスターズスーパーライブ in 渚園に出演。
都内のクラブでライブを続け、'99、シングル「やきとりサンバ」でデビュー。'00、初の全国ツアー「DISCO de おやじ」では15,000人を動員、秋の学園祭で最多出場となる。TV・CMにも多数出演、'01、「絶倫ツアー2001」はライブDVDをリリース。その後も精力的にツアーを行う。
174cm・108kgの巨体をいかし、現在ダンサー、歌手、俳優、バラエティに活躍中。 →過去のインタビューを見る
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