仕事情報誌ドカント

前田日明 前田日明
 ついに帰ってきた! 3年近くのときを経て、魂の格闘家前田日明が再びリングに上がる…より力をつけ、より誇りを持ち、より男になって。伝説の格闘王は、総合格闘技イベント「HERO'S」、プロレスイベント「WRESTLE-1」のスーパーバイザーとして、今後どんな展望を抱いているのだろうか。
強靱、かつ優しい瞳の裏に潜む、静かな野望と男の生きる道とは。

INTERVIEW /イナズマ☆K PHOTO/谷口達郎

---前田さんは、プロレスラーとして、選手のキャリアを新日本プロレスからスタートし、その後、自らの理想とする戦いを求め、格闘プロレス団体のUWF、そして総合格闘技団体リングスを旗揚げしました。 現役時代は、平成の格闘王として活躍。引退後も世界中のまだ見ぬ格闘家をプロのリングに紹介してきた、まさに現在の格闘技ブームのきっかけを作った立役者です。 そんな前田さんに、男の生き方についてうかがいたいと思っています。何度か人生の転機となる場面があったと思いますが、その時々のモチベーションは、どういったものがあったんですか。
別にそんなにモチベーションを意識したことはないんだけど、その度ごとに、自分がやってきたことや、思ってきたこと、いろんなことを振り返って、自分なりにしっかり意味づけするんだよね。その延長戦上で進むべきものを考えると。で、一番大事なことは、改めるべきところは改めて、誇るべきは誇るということだね。

---では現役時代、数々のインパクトのある試合を残してくれましたが、前田さん自身で印象に残ってる試合、面白かった試合というと。
そうだねぇ、UWFとして新日本と業務提携してた時代に、ある先輩レスラーが"前田をリング上で制裁してやる"っていってるという噂が聞こえてきて。たまたまタッグマッチでその人と当たったんだよね。バッと組みついてロープ際に押しつけて、オレが"○○さん、オレを制裁するとかいってたらしいですね、今からでもいいですよ"っていったら、"いや、そんなこといってないよ、あれは勝手にマスコミが書いたことだから、お前そんなことちゃんと調べなあかんで"っていわれたことがあった(笑)。 あと、あのアンドレ戦(当時、勢いのあった前田選手をつぶすべく、焚き付けられたアンドレ・ザ・ジャイアントがシュートマッチを仕掛けたといわれる、問題の一戦。前田選手の蹴りにアンドレが試合放棄した)のあとの試合で、外人のでっかいレスラーをリング際に押し込んでいったら、なんか誤解したらしく、あわてて耳元で"I like you, I like you"とかいわれて(笑)。逆に不安になったよ(笑)。

---アハハハ。壮絶な試合の話が出るかと思ったら、いきなり笑えるモードで逆にビックリです。UWFが新日本のリングに参戦していた頃は、藤波戦をはじめ、凄い試合がかなりありましたが、ストロングマシン選手とのシングルマッチも相当ハードヒットでしたよね。
"お前は平田だ、このウンコたれ!"っていったらあいつ怒っちゃったんだよね(笑)。あいつ昔、合宿所でウンコもらしたから(笑)。朝起きたら、便所の前にこんなにデカいウンコがボタッボタッて落ちてるの。ふんづけた箇所もあってさ、この足のデカさはジョージ高野だなと思って、"ジョージ、女の子に人気があっても、ウンコたれたらダメだろ"っていったらさ、"オレじゃない、神に誓って、オレはウンコなんかたれない"って。そしたら平田がうつむいてて"申し訳ない、我慢しきれなくて"って(笑)。あいつベロベロに酔って帰って我慢できなかったんだって。それからずっとウンコたれっていってたの。で、マシンのマスクかぶってかっこつけて入場してきたからさ、リング上で"お前はウンコたれだ!"っていったら怒っちゃってさ、試合中に(笑)。手ぇ抜かないでおもいっきりボコボコやられちゃって、めちゃくちゃ痛かったよ(笑)。

---ウワー、あの激しい試合は、ウンコたれを公にされた、平田選手の恥ずかしさと怒りが原因だったんですね(笑)。
そうそう。あの試合の時、リングサイドにいた人は、何で前田はウンコたれっていってるのか、不思議だったと思うよ。

---(笑)では、UWF、リングス時代も激しい試合がありましたが、身の危険を感じたことってありますか。
記憶にないね(笑)。あ、一回、心臓が止まりそうになったのは、91年のロシアで。向こうの連中は歓迎パーティーしてくれるんですよ。一番凄かったのは一日で20何パーティー回った時があって。ずっとウォッカ一気のみですよ。だいたい日本から行った人は後ろにひっくりかえる。なんとかオレは持ちこたえたら、最後にロシアの連中が"サウナに入ったら酒抜けるから"って。これでサウナに入ったらえらいことになるなとは思ったんだけど、入ったの。やっぱり真っ先に出たらあいつはへたれといわれるやん。とりあえず3人目までは頑張ろうと。心臓はバクバクいってるんだけどね。2人目が20分くらいで出て、それでやっと出れた。で、水風呂があって、日本の冷水のつもりで入ったら、あっちの冷水は本当に0℃なんだよ(笑)。飛び込んだ瞬間、心臓がボクボクボクーって(笑)。手が痙攣して、やばいと思ってぱっと出てさ。

---うわー、それは死んじゃいますよ!
ホント、死ぬかもしれないって思ったのは、それだけ(笑)。

---ロシアの酒と冷水が最強の対戦相手だったと(笑)。第2期UWF以降は、それまでプロのリングに上がっていない国の格闘技選手を招聘していきました。リングスではネットワークという形を作りましたが、選手を見つける時は、前情報とかもほとんど無い状態で探してきたわけですよね。
最初は、説明するだけで大変。オレはアマチュアで有名じゃなかったから、向こうの人はオレを知らない。だから、まずは一緒に練習して、スパーリングして、ビデオ見せて。じゃあやりましょうかみたいな感じだったね。

---ある意味、体を張った飛び込み営業ですね。安全な日本と違い、危険な場所に行かなきゃならない時もあったと思いますが。
グルジアに行った時は内戦の真っ最中で、外務省の渡航禁止地帯だったんだよね。モスクワからの飛行機も、地対空ミサイルが飛んでくるといろんな噂があって。怖いけどしょうがないなと思って。で、当時、ペレストロイカ真っ最中だったから、飛行機もギュウギュウ詰めでね。通路にまで、野菜を木の籠に入れておばちゃんが座ってるみたいな。しかも1950年代に製造したジェット旅客機で。ねじも全部むき出しの鋲が打ってある機体のでさ。



---あー、よく映画で見るような、あんな感じの、粗雑な造りのものですよね。今じゃ考えられないけど、そういうのに乗っていったんですか。
そう。空港に着く直前に、ガラガラーってすごい音がして、みんな大騒ぎ。飛行機から部品が落ちたらしいって(笑)。しばらくしたら、パイロットからアナウンスがあって、"今落ちた部品は飛行に何の関係もありません。みなさん、ご安心ください。当機のパイロットはソ連空軍時代に優秀な成績で…"っていってるの(笑)。で、タラップ降りたら、飛行機の脚を抑えるカバーが取れてた(笑)。考えられないでしょ。本当に。矢沢永吉の『トラベリンバス』じゃないけどさ。

---"きつい旅だぜ、お前に分かるかい"と。
ほんと、誰にも分からないよ(笑)。

---ハイ、飛行機の部品が落ちた人の気持ちは確かに分からないです(笑)。でも、そういう苦労の末、オランダ、東ヨーロッパ、ブラジル、オーストラリアと、良い選手を発見した時は、かなりのうれしさもあったんでは。
正直いうと、プロモーターとしての気持ちでは、こいつは日本のリングに上がったら凄いなって思うんだけど、その途端に暗い気持ちになるんだよ。選手として、こんな凄い人といずれやらなきゃいけないのかなと思ったらさ。

---いい選手を自分が開拓したという、うれしい反面、自分がきつくなるということですね。
マゾの気持ちがよくわかった(笑)。

---アハハハ。そうした様々な先人的な苦労のもと見つけたヒョードル選手、ノゲイラ選手らが今やチャンピオンです。まさに前田さんのおかげで今の格闘技の繁栄があるといっても過言ではないでしょう。その前田さんが、格闘技でHERO'S、プロレスでWRESTLE-1と、プロデュースに関わり、久しぶりに現場に戻ってきてくれました。ファンの心境としては、これから何をしてくれるのかという期待があると思いますが、今後の方向性を聞かせてください。
HERO'Sは時間の無い中で第一回目をやったんでね、これからじっくりと選手の発掘も育成もやって、おもしろいマッチメイクを提供しますよ。70キロ80キロのミドル級の良い選手もいっぱいいるからね。WRESTLE-1はプロレスの再生をやらなきゃならない。まあ簡単な話で、いろんなこと厳しくすればいいんですよ。1950年代にヨーロッパやアメリカでやってたプロレス、できるならガス灯時代のプロレスにまで戻したい。最近の選手は、意地を張らなくなったからね。昔の選手は練習ガンガンやって、スタミナもあったよね。皆、スクワット5000回でも何回でもできたよ。スクワットを意味のないトレーニングってヤツもいるけど、意味なくない。(胸を指差し)ここを作るんだよ。



---体力や筋肉をつけるという意味ではなく、強い気持ちを、ハートを作るわけですね。つい、森光子さんが今だにスクワット100回やってるって話を思い出してしまいました(笑)。あの年齢になっても自分に厳しく、負荷を与えてると、気持ちも強くなりますよね。
やっぱりね、総合の試合を見てると、選手によって気持ちを鍛えるトレーニングをやってるかやってないか、歴然と分かる。合理的な練習しかやってないヤツは、自分より強いヤツと当たっても絶対勝てない。でも気持ちを鍛えてるヤツは、2回に1回は勝てる。負けてもボロボロの試合にはならないんだよ。

---それは格闘家としてだけじゃなく、男の生き様として、普通の仕事をやってる人にも当てはまることですよね。
誰もやらんことをやると誇りが育つ。誇りがつくと恥がわかる。誇りがわからないと恥がわからないんだよ。誇りのないヤツの恥は、恥じゃない、恥ずかしいだけ。誇りのあるヤツには恥がある。だから人に尊敬される。

---誇りと恥を持っていないと、人間が成長しないし、この2つを備えるためには前人未踏の場所に踏み込むことが大切ですね。では、これから仕事に就く人へ、メッセージをお願いします。
ハタチで、自分に何が向いてるかなんかわからないよ。とりあえず、回りの人が感心することをやり抜く。3年やれば、やりたくないことでもできるようになる。その過程で、回りから認められるから、本人は生き様に誇りを持ったり、プライドがつく。若い人は、目の前のことをまずはやって、経験を積まないと。やる前から、向いてる向いてないなんて、100万年早い。ネアンデルタール人からやり直せだよ。

---(笑)まず経験だと。では、前田さん自身も、長年に渡って格闘という舞台を踏んできていますが、格闘技を通じてわかったものは何ですか。
格闘を通して見えてきたことは、人生、太く短くって話は大ウソだってこと。太く生きたからって短いとは限らない。それは本人次第。ボ〜っと生きてたら、太くも生きれないし。太く長く生きてる人なんてたくさんいるやん。太く頑張るんだね、どこまでも太く。

---とにかく、夢に向かって自分から意識的にどんどん動くことが大切ですね。
そういうこと。目標と夢を持ったら、自分のイメージしていたこととちょっと違うなと思いつつも、毎日精進して頑張ると、人より抜きに出た存在になるし、そういうヤツには、自分にとってかけがえのない人脈、運が集まってくる。オレは凄いと思って頑張ってると、前とは全然違った自分になってくる。勇気もつく。勇気は元々あるもんじゃない、湧いてくるもの。勇気が湧いてくるような生き方しないと、ダメなんだよ。(女性編集者に向かって)そういう男ならヤラれても良いでしょ、自分からマタ開いて待っちゃうでしょ?(笑) そういうことだよ。
INFORMATION
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2005/7/6(水)「HERO'S メガバトルトーナメント」開催

会場:国立代々木競技場 第1体育館
開場:16:00 開始:17:00

参加者(予定)
須藤元気、宇野薫、山本"KID"徳郁、宮田和幸、ホイラー・グレイシー
〈スーパーファイト参戦予定〉
ジェロム・レ・バンナ、秋山成勲、キム・ミンス
プレイガイド
■キョードー東京 03-3498-9999
■電子チケットぴあ 0570-02-9999
■ローソンチケット 0570-06-3003(Lコード38800)
■CNプレイガイド 03-5802-9999
■イープラス http://eee.eplus.co.jp

ビッグマウス専務石川のプロレス我が命
http://www.bigmouthishikawa.com/

前田日明の秘書兼運転手を務める石川稔久が綴る、前田日明非公認サイト(秘書なのに!)。

日々の裏話や、いち早く新情報を届ける。前田の活動を知りたい輩はここへ来い!


PROFILE

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前田日明(まえだ・あきら)

1959年1月24生まれ。大阪府出身。
1977年、新日本プロレスに入団し、8月にデビュー。
修行のために渡英し、クイックキック・リーとして活躍、プロレスの神様といわれるカール・ゴッチ直伝の技を取得。帰国後、1984年に第一次UWFを立ち上げる。

86年に解散後、新日本プロレスと業務提携。1988年には第2次UWFを設立。当時のメンバーは高田延彦、船木誠勝、鈴木みのる等。1991年に総合格闘技団体リングスを旗揚げしたが2002年に活動を停止。

3年の時を経て元新日本プロレス専務・上井文彦代表のビッグマウスが立ち上げたプロレスイベントWRESTLE-1にスーパーバイザーとして参加、また、総合格闘技イベント「HERO'S」にもスーパーバイザーとして参加している。



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