仕事情報誌ドカント

城咲仁 城咲仁
 年間一億円以上を稼ぎ出し、遠くオーストラリアから来る客もいたという伝説のカリスマホスト、城咲仁が3月で引退し、タレントとして再スタートした。
現状維持という言葉を嫌い、夜の世界からブラウン管へと活動を移動した理由を直撃取材。さわやかな笑顔の裏には、歌舞伎町ナンバーワンになった戦略家の顔が垣間見えるのだ。

INTERVIEW /前田裕子 PHOTO/梅田真秀

---元ホストとは思えない程、さわやかですね。
お客さまにもそういわれてました。やっぱり、歌舞伎町ナンバーワンホストっていうと、お高くとまってる印象ですけど、僕の場合はそうならないように心がけてましたから。

---どちらかというと体育会系のような。実際にスポーツをやっていたことはあったんですか?
空手を6、7年、小学校から中学校までやってました。小学校の頃から正義感が強くて、両親からも女の子はいじめるな、守ってやれっていわれてたので弱い者いじめは大嫌いでした。ケンカもしなかったし、殴られ専門で(笑)。

---もっとやんちゃな少年時代と思ってました。むしろ真面目ですね。委員長を勤めたりは?
それはやらなかったですね。役に就くというより、クラスのムードメーカーで、誕生日会とかクリスマス会を仕切るのが上手だったんです。アイツだけ仲間はずれにしよう、っていうのはイヤだったから、いいじゃん、みんなで遊ぼうよって、よく団体をまとめてました。

---じゃあ、まとめ上手の盛り上げ上手は、ホストになる前からだったと。 真面目な仁さんがホストになるきっかけは何だったんですか?
美味しいお酒を探したくて、バーテンダーを3年くらいやってなんですけど、接客の面白さに気づいたんです。目立つことも好きだったので、じゃあホストになろうかと。

---入店してすぐにナンバーワンの座を射止めたと聞きましたが、やっかみも多かったのでは。
鼻が高いままでいると嫌われるので、僕は謙虚、ひかえめを心がけてました。あとは周りから見られてるポジショニングを意識して、客観的に自分を見ること。例えば年下が一番になると、少なからずとも嫉妬が出るじゃないですか。だから難しい仕事が入ってきたとき、先輩を立てるために意見をあおいだり。

---謙虚でいるってなかなかできないですよね。
バーテンダーをやってたときに、すぐに出世したので天狗になっちゃって総スカンくらったんですよ。そのとき、これじゃ仕事やりづらいと思って、みんなの前で謝ったんです、プライドは傷つくけど、それで謝らなかったら辛くてやめるのがオチだし、これ以上出世はできない。頭を下げたことなんてなかったので、これが人生のターニングポイントになりましたね。

---この出来事をきっかけに、周囲と上手く付き合っていく術を学んだんですね。
ホストのときも、お客さんがすごい来て、仕事をがむしゃらにやってるときは、天狗になってるつもりはなくても、周りからそう見えるんでしょう。僕はいばる気はない。でも仕事に集中すると言葉がキツくなってしまって、周りも面白くない。だからナンバーワンをとったときも、先輩や後輩にも自分から挨拶しましたよ。

---そうすると店内のウケもよくなりますよね。
それに、同僚も宣伝してくれるんですよ。うちのナンバーワンは他店のナンバーワンみたいにすかしてなくて、性格もいいって。そうるともっと僕の評判もよくなりますからね。

---いい同輩も多かったようですが、やんちゃな後輩とはどうやって付き合ったんですか。
若いから自分の力を信じてて、説教しても聞かないんですよ。だからそいつよりも仕事をやる。自分が動く。僕より無名なのに仕事もやらなかった後輩がいたんですけど、わざと僕がそいつの席でヘルプに回って灰皿を変えたりしたんです。お前気づけよ、ということですよね。 それと、向こうが冷静なときにご飯を食べながら、まずは褒める。それから、今よりも上の仕事したい? って聞くんです。そうすると仁さんみたいになりたい、抜きたいですって大抵、いいますよ。そこで、抜く方法を教えてやるからよく聞けっていうと、耳を貸すようになる。

---アドバイスをくれる、頼れる先輩でもあったんですね、周囲との摩擦はなかったんですか。
それはないですね。一回ナンバーワンから落ちたことがあったんですけど、ちゃんと拍手しましたよ。その方がお客さんも余裕を感じるんですよね。くやしい! とかチクショーとかいうと、すごく小さい人間に見えるんで。次月には静かに1位に戻ってやりました(笑)。

---さすが! ナンバーワンの座は城咲さんの指定席ってことですね。 1位になれば稼げますけど、初任給は微々たるものだそうですが。
お客さんを呼べないと、日給四千円ですよ。土日に休むと罰金だし、ヘタしたら給料日にマイナスになることもある。遊ぶ金もなくて、ただ仕事だけしてました。お金がないならそれに見合ったくらしをすればいい。身の程をわきまえていたから楽しくやっていけたんです。

---とはいえ、お金がないと卑屈になるし、煮詰まりますよね。そんな状況を変える方法は?
仕事以外には目を向けず、とにかく毎日を楽しもうと。そのためには自分がお店で必要とされることが大切。だってうれしいじゃないですか。先輩のお客さんにも好かれたら。目立ちたがり屋の性格も手伝って、みんなに好かれるとうれしくてしょうがなかった。

---店内では、みなさん目立ちたいはずですけど一歩抜きんでるためには何をしたんですか。
常に人と違うことをやってましたよ。ホストはお店の外でお客さんとマメに会う。だったら僕は会わない。お店でしか会えないっていう付加価値をつけたんです。お店の外で会うと小銭は稼げるんだけど、それだけで終わっちゃう。 例えばミュージシャンがいて、普段はテレビに出ない。そいつがライブをやると客が集まるでしょ。それと同じことですよ。あと僕は、今を見ていたんじゃなくて、2、3年後を見ていたんでしょうね。あの人は表で会わない、お客さんからプレゼントをもらわない、口説かないっていう人が数年後にナンバーワンになってたら噂になるし、おもしろい。

---女の子とうまくつきあって、ナンバーワンになるというのがホストのイメージでしすけど、その常識を覆したんでしょうね。
お客さんと外で会って、トラブルに巻き込まれる先輩をいっぱい見てしまったんですよ。惚れてる間は優しくても、冷めるとひどいことをいう女の子も、中にはいるんです。ドロドロ劇をよく見たから、だったら僕はお客さんと付き合う主導権をいつも握っておこうと。



---でもお客さんのリクエストに応えるのが、ホストの仕事じゃないですか。
お客さんのニーズを読んで、ホストが楽しませてあげるのは当たり前なんだけど、言いなりになるのは違う。店外で遊んでくれなきゃお店に行かない、なんていうコは全部突き放しました。

---そうすると高飛車という噂もでるのでは。
確かにそういわれたこともあったけど、突き放されると、頭に来るでしょ。そうすると逆にずっと僕を覚えてるんです。他のお店に行くと、若いホストが低姿勢で口説いてくる。そんなヤツがいっぱいいると僕のことを思い出すんですよ。あの男は価値があるな、安くないなって。

---女の子も突き放されると不安になって戻ってくるのかもしれない。 こういうやり方を考えたなんて戦略家ですね。でもお客さんが一瞬でも離れていくのは怖くなかったですか?
怖いですすよ! でもこれをやらなきゃ、他のホストと差がつかないと思ってたから。小銭を持ってるホストは女の子と好きだ嫌いだって駆け引きをするけど、僕は”怖い、怖くない”っていう自分との駆け引きだったんですよ。

---それは自分を信じてないと出来ないですよね。
お金を持っててホストクラブに来るような人は、ダメなことをダメっていってくれる男がすきだっている定説にたどり着いたんです。気は使う、盛り上げるけど媚びは売らない。他のホストがお客さんに気を使ってる隣で、僕は話のポイントだけ聞いて盛り上げたところでサッと席を立ってました。そうするとまた僕が呼ばれる。そこからまた盛り上げて、やっと名刺を渡すんです。他のヤツらは電話番号教えてくださいよって、すぐ名刺を渡すから。

---名刺を切り札として取っておいたというのも戦略の一つですね。 ホストは気を使わなきゃいけないし、お酒も飲まなきゃいけない大変な仕事ですけど、得たものはあったんですか?
ありすぎますね…売れれば売れるほど、周りに謙虚に接することや、ガッついたら売れないこととか、ホストの6年間がなかったら今の僕はなかったら、今の僕はなかったと思う。すごくポジティブになったし、他人が好きになって、優しく接することができる人間に成長したと思いますよ。

---アンダーグラウンドな世界に生きていても、人間としては日なたの性格になったんですね。
今、考えるとそうですけど、入店してすぐに詐欺にあったときはさすがにヘコみましたね。某ブランドの重役を名乗ったお客さんにツケで飲まれて、そのまま逃亡されて300万円を自腹切りました。一生懸命やったのに、貯金がマイナスになって、あきらめようかなっておもったんですけど、ここであきらめたら、どんな仕事をやっても続かないって思った。頑張ったら頑張っただけ、すごいおおきなものが手に入るって信じてたし。



---先の先を見て仕事をしてますよね。 タレントに転身したのも、何年後かを想像してのことだと思いますが、転職の具体的な理由は?
20代のうちは、酒を飲んで接客してっていう仕事もアリなんですけど、30歳になったとき、ホストとしての仕事は完璧なんだろうけど、人間としては未熟だなって思ったんです。

---世間とのズレを感じてくるんじゃないかと。
能力が低い人間は、芸能界で通用しない。だったら転職して自分を追いかんでみようかなと。野心家じゃなくて現状維持が好きなら、ホストのままだったと思いますし、大企業の重役がお店を持たないかって誘ってくれたこともあった。でも人の金でやってもねぇ…自分の金で出店したとしても、僕以上のホストが出来ないなら、やる価値もない気がするし。

---お店をやめるときの周囲の反応は?
誰も信じなかったですね(笑)。3月末で退店したんですけど、エイプリルフールの冗談だと思われてたみたい。外で遊べば何百万もくれるお客さんもいたけど、そういう人に頼っていれば、タレントとして食っていけないから、連絡も絶ちました。もし、辛い仕事がきたら僕はそっちに逃げてしまうだろうし。 だから、自分も逃げられないような立場に追い込んでいったんです。周りのみんなは年収何億の仕事を捨ててもったいないっていうけど、捨てたんじゃなくて人生を買ったんだと思う。これから余裕で稼げる金を受け取らないで、人生を買ったんだろうな。だから毎日楽しいですよ。

---一般人から見ると、そんな生活を捨てるなんてすごいなと思いますが。
先5年間は億単位のお金がもらえたけど、男なら、もっとデカいところで生きていきたい。だから芸能界に来てよかったと思います。

---転身して自分の中で何か変わりましたか?
変わったことは特にないんですけど、色んな仕事をさせてもらって分かったのは、自分が無力だってことかな。テレビの企画がくると、経験のないことばかりで、無力! ってひしひしと感じますよ。でもそんな状態を今は楽しめるかな。きっと僕は、本当にホストというものだけに超一流だったんでしょうね。

---これからタレントとしてやりたいことは。
白い巨塔が再リメイクされたら、財前五郎をやってみたいな。僕自身はさわやかでフレンドリーな野心家なので(笑)。あと、芸能界は最終職だと思っているんで、芸能人として死ぬというのが理想。多分、芸能人以上にやりたいことが出てこないと思うんですよね。

---夜の世界に戻ることはなくても、伝説のホストとして君臨し続けるんでしょう。 では、これからホストになりたい若者にアドバイスを。
売れたいなら想像しきれないくらい辛いし、死ぬ覚悟で一生懸命やらないと、簡単には売れないよってこと。安易な気持ちでやるなと。あとは何百年ホスト業界が続いたとしても、俺をこえるヤツはいないってことです。
INFORMATION
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【舞台】『日ノ丸レストラン 改訂版』

脚本/岡本貴也
監督/森田空海
出演/ジョナサン・シェア 三津谷葉子 城咲仁 中村愛美 他

詳細は
http://www.digital-hollywood.com/hinomaru/

■東京芸術劇場小ホール1公演■
日程/2005年9月9日(金)〜18日(日)
料金/全席指定5,500円(税込)
※9月12日(月) 14:00の公演のみ4,500円

チケット/
チケットぴあ:0570-02-9988(演劇用)
0570-02-9999(Pコード 362-779)

ローソンチケット:0570-000-403
0570-063-003(Lコード 39222)

イープラス:http://eee.eplus.co.jp/

【テレビ】
CX『Dのゲキジョー 運命のジャッジ』(毎週金曜日 19:00〜20:00)レギュラー

【ラジオ】
TOKYO FM『WANTED!』(毎週木曜日27:00〜29:00)レギュラーパーソナリティー


PROFILE

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城咲仁(しろさき・じん)
1977年9月23日生まれ。東京都出身。

  元新宿歌舞伎町カリスマNO.1ホストからタレントに転身。4月デビュー以来、NTV「踊る!さんま御殿」やTBS「はなまるマーケット」「島田検定!!」「王様のブランチ」CX「Dのゲキジョー」「こたえてちょーだい!」「とんねるずのみなさんのおかげでした」など、多くの番組に出演。

  また、「with」「anan」「Caz」「non non」「ViVi」など、女性誌での活躍も多数。信条は「常に人の気持ちを大切にできる人間でいること」。



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