仕事情報誌ドカント

ダイノジ ダイノジ
 吹越満さんのライブに触発され笑いの表現者を志した大谷、みんなに慕われ地元の人気者だったおおちの中学校の同級生が卒業以来の劇的な再会を果たし、コンビを組んだ。知的ナルシスト、動きにキレがあるデブとキャラも立ち、笑いの引き出しの多さには定評がある彼ら。シュールかつストレートでロックンロールな笑い源泉は究極の“コンビ愛”に満ちていること!?

INTERVIEW /佐々木竜太 PHOTO/谷口達郎

---今回発売される『新宿南口連続殺人事件』のお話をお聞きしたいのですが。
大谷「特典映像で、打ち上げのシーンがあるんですけど、腹芸で、おおちさんが、ウケなかった…」

---いきなりスベった話題ですか(笑)。
大谷「フリで終わっちゃったようなところが…。ちょっと切ないなっていう」

おおち「“腹”といったら、ホントは僕なんですけどね」

大谷「そこで、全然ウケなかったからだって。(タカアンドトシの)タカさんに全部持っていかれて。本職なのに…ね(笑)」

おおち「腹芸とカレー食べることは、僕がウケたかったなっていう(笑)。大工に料理作らせたら、コックより上手かったみたいなことが」

---専門のほうで負けてしまったと。

おおち「切なかったですねぇ…」

大谷「だって、デブキャラがねぇ、腹芸で活きなかったってねぇ」

おおち「何にも笑えないっすよ…。腹出して笑えないってのは…切ないですね」

---映像特典も、笑いと…。
大谷「切なさが…満載…哀愁を感じ取ってくれればね」

---分かりました(笑)。
おおち「特典でもなんでもないですよ。しゃべってないですから、僕」

大谷「別におおちさん目当てだけで、みんな買うわけじゃないから(笑)。目当てで買うのは親族だけ。お母さん必ず20枚くらい買うでしょ。ただお母さん、それ見て悔しい思いするよ、きっと。一家全員で…」

おおち「『なんのためのデブなんだ、お前は!』ってね」

---ちゃんとデブキャラを活かしきれてないじゃないか! と。
大谷「がっかりデブなんですよね、おおちさん。新しいジャンルなんですけど。大食い対決で僕に負けるんですよ」

おおち「食えないんですよ〜」

大谷「“30分焼肉対決”をやったら最初の10分、すっごい勢いで食べて、残りの20分は言い訳してるっていう」

---新しいキャラですね。デブなのに食べられないのは。
大谷「タレとかに文句つけたりして…。その姿がなんかムカつくんですよ。デブが食えないで言い訳してるって、すっごいムカついて。『肉質が…』とか言い始めると、『デブのくせしてだまって食えよテメェ!』みたいな」

---これだけスベったはずのネタで話引っ張ると、逆にその特典映像見たくなりますね。
おおち「スベり具合を見られても…」

大谷「ハハハハハ!」

---6月に発売される単独ライブのDVD、前作の「KING OF LIVΕ」「俺道」と違う点をお聞きしたいのですが。
おおち「新しいほうは…まったく新しいフォーマット!? っていうんですか? 今まであんまり使ったことのない…」

大谷「使ったことない言葉じゃん! フォーマットとかぁ!! なんでそういう例えを持ってくるんだぁ。肉とかに例えろよぉ、分かりやすく!肉とかに!」

おおち「だって、さっき雑誌見てたらフォーマットって言葉が載ってたんだもん」

大谷「いいからっ! 1枚目のDVDが何肉?」

おおち「リブロース…。今までのがリブロースだったんです。で、今回はミンチに」

---はぁ…?
おおち「大谷さん、これ伝わりづらいよ…」

大谷「食べやすく加工したってヤツなんです。お子さまでも食べられますよと」

---素材そのままじゃなく、食べやすく、見やすく加工した内容になっていると。
大谷「今までのライブは、流れに関係ない小ネタを挟んだりして、映像にすると分かりづらいっていうようなところがあったんですよ。でも、今回は新しいお客さん獲得のためにも、分かりづらいのは止めようってことになって…」

---それがミンチにして食べやすいという…。

2人「そうそうそう!」

大谷「フォーマットなんて全然いらないでしょ。なんだよフォーマットって!!」

おおち「使ってみたかったんだよね」

大谷「すぐ言いますよね。そういう覚えてきたばかりの単語みたいなのを」

---とりあえず使ってみたかったんですね。
おおち「この言葉、便利でしゅよね」

大谷「でしゅよねって! もうそこでアップアップだもん」




---大谷さんにお聞きしたいのですが…。
大谷「あっ、また僕ですか!」

---ネタ作りに関して。
おおち「それは大谷さんだ!」

大谷「今回は何個も設定を出して、こんなにことごとくボツったのはないってくらい、放送作家に削られまして。今までは僕が一番の決定権を持っていたんです。『客観的に見てどう?』って聞くと『これいらない』『昔やったじゃん』『人がやってるじゃんこのパターンは』とドンドン削っていったから。やってる僕としては不安でしたけど。そういう自分でもあんまりない設定を書けたんで、それはいい勉強になったかなと。楽しかったですね、なんか」

---もともと、どういうところからネタのインスピレーションを得るのでしょうか?
大谷「おおちさんのキャラを基本に考えるということはありますね。でも、僕が思ったようなデブじゃなくて。がっかりデブ。あれ? もっと面白いデブだと思ったけどなぁって」

---新しいデブスタイルなんですね。

大谷「今までいろんなデブキャラがいましたよね。しゃべれるデブ伊集院さん、食いしん坊デブ石塚さん。いろんなデブがいたんですけど、がっかりデブっていうのは…期待を裏切るデブですからねぇ」

大谷「なるほどぉ…。需要ないですよね(笑)」

---お2人がお笑いの世界に入ろうとしたキッカケをお聞きしたいのですが…。
大谷「僕ら九州の大分県出身で、中学校の同級生なんです、高校は別なんですけど。僕は大学のために東京に出てきて、おおちさんは東京へ就職のために上京。僕はロックが好きなんで、せっかく東京に来たからとライブを観に行ってたんですね。他には演劇を観に行ったり。

本も好きで、純文学作家が好きだったんですよ。当時の写真は全部セピア色で、太宰治が入水自殺した目の前の家を借りて、火鉢を置き、着物を着て、文学作家の著者近影みたいな、そんな写真あるじゃないですか」

---昔の文学者が考え込んでいるような。
大谷「そうそう。あんな写真を自分で撮ったりしてたんですよ(笑)。かといって作家になりたいかというと、別にそういうわけでもなくただ本読んで、映画観て、生の舞台観て、ロックのライブを見て。何をやりたいのかは分からなかったんですけど、表現したいっていうのはあったんです。そんな時に吹越満さんのお笑いのライブをたまたま観にいったんですよ、それがすっごい楽しくて。

それからネタとかシコシコ書き始めたんですけど、誰にも見せられないんですよ。どーしよどーしよって。その時僕は銀座のホテルでアルバイトしてたんですけれど、隣のホテルでバイトをしていたおおちさんに銀座の4丁目でたまたますれ違ったんですよ」

---おおっ〜劇的な再会ですね。
おおち「ホントに7年か8年くらいぶりで、中学卒業以来ですから」

大谷「今でこそこんなペラペラしゃべってますけど、当時は社交的じゃなかったから人とあまりしゃべれなくて。逆におおちさんはすごく人に慕われて、田舎では人気者だったから、利用できないかなみたいな(笑)。ちょっとやってみる? とこちらから誘って」



---新宿ロフトで初漫才をしたということですがどういった経緯だったんでしょうか?
大谷「おおちさんのお兄さんがプロのバンドマンで、そのつながりです。モリマンが同期なんですけど、モリマンも一緒に2組でバンドのセットチェンジの合間に漫才というか、ネタやれみたいな感じで、初めて人前に出たのがそこだったんですよね」

おおち「その時に初めて大谷さんとケンカしたですよ、新宿ロフトの裏で」

大谷「『黒人のデカいチンポはどこに収まっているか』というネタで。けど、そのバンド、結構外国で人気があって。黒人の方がライブに来てたんですよ。で、おおちさんが『できない!彼らは傷つく』と。でも『イヤ、オレたちは芸人だから笑わせるためにはやらなくちゃいけない!』とか言って。しょーもない理由で最低の言い合いをして」

---場所柄バンドマンがケンカしているかと思いますよね。
おおち「そのネタをやった時に、一番笑ってたのが、その黒人だったというオチが(笑)」

大谷「ウォーッホッホッホッ! って」

---これからいろいろな分野で頑張ろうとしている若者にメッセージをお願いします。
大谷「男の人は大いに傷つくべきだと思う。失恋もたくさんすればいいし、失敗もたくさんすればいい。単純に僕の経験ですけど、失敗したり失恋したときのほうが、人に優しくなれるんですよ。人に優しくするのって、大事なこと。ま、33歳で気付くなって感じなんですけど。

最近、タバコのポイ捨てとか注意するんですよ、するとこっちがおかしいみたいな感じで見られる。だけど真っ当なことをちゃんとやってないと、お笑いも面白くは絶対にできないからこだわるんです。今まではどっかで自分が得すればいい、いい加減でもいいと思ってたけど、今は本当に道理や道義として許せないものは、やっぱりこだわっていったほうが、逆に面白くできる。ズルさをなくしたほうが面白いと思いますね。それを痛感してて、だからちょっとずつだけど、頑張っていく」

---では、おおちさんは…。
おおち「ファミリーレストランで働いてたことがあるんですけど、僕、逃げたんで…。しんどくて、逃げました。やっぱね、逃げグセがつかないほうがいいですよ」

---今のは反面教師としての言葉なんですね。
大谷「こうなっちゃダメだよっていう」

おおち「僕は逃げたから、今でも逃げグセがついてる。33歳にして、目の前のことがなんにもできない男ですから」

大谷「これで締めくくっていいのかよ!!」

---今回のインタビューはがっかりデブで始まり、がっかりデブで終わるということで…。
2人「ありがとうございました」

大谷「がっかりデブ! 面白いな…」
INFORMATION
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DVD「「新宿南口連続殺人事件」
発売/テレビ東京・吉本興業
3月29日発売

テレビ東京で深夜に放送中の「ぷっちNUKI」に出演する人気若手芸人5組が一堂に集結した一夜限りのプレミアライブを完全収録。
殺人という物騒なテーマでそれぞれの持ち味を活かしたネタを披露するほか、屈辱のバツゲームを賭けて「死」にまつわるお題に挑戦するデス大喜利とライブ後の打ち上げの模様、ライブで使わなかった遺影写真が特典映像として付く。

出演/次長課長・ダイノジ・タカアンドトシ・ライセンス・POISON GIRL BAND

DVD
「I LOVE TOKYO」は今年6月に発売予定。


PROFILE

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おおち
(おおち)
72年7月13日生まれ 大分県出身 趣味/食べ歩き 特技/人に頭を下げる


大谷ノブヒコ
(おおたに・のぶひこ)
72年6月8日生まれ 大分県出身 趣味/読書(純文学)・ロックンロール
特技/麻雀・文章を書く・グルメ

2人とも大分県佐伯市出身で、中学校の同級生。コンビ結成は94年(平成6年)。

同期はガレッジセール、モリマン。コントや漫才のネタは大谷ノブヒコの発想に基づきシュールかつストレート。

映画・音楽・文学にも造詣が深く、それらの影響を受けたネタが笑いを誘う。知的なナルシストキャラの大谷と、動きにキレがあるデブキャラおおちのコンビには漫画家やミュージシャンのファンが多いのも彼らの特徴である。

04年にケツメイシ「涙」のPV出演が話題に。ダイノジの2人を始め、多くのお笑いタレントがDJを務める「Dienoji Japan Night vol.2」が2月に東京・下北沢CLUB Queで開催されたばかり。


吉本興業(東京)所属。
公式サイト
「ダイノジ.com」
http://www.dienoji.com



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