
---ミュージカルInto The Woods。が始まりますが、見どころを教えていただけますか?
まず、人間というのはしょうがないと。1つあげれば次くれっていうし、で、いい人間と思ったけど悪さしたり。人間のすべてというか。妬むし、憎むし、困ると人のせいにするし、全部入っていて…。
---カラフルでポップな印象の見かけよりも深いですね。
それがね、童話の形をしてるんで気が付かないんですけど、糖衣錠みたいな。飲みやすいけど、中に苦〜い薬いっぱい入ってるような。
---で、よく効くと。
最初から苦いっていってないところがズルいんですけど(笑)。逆に劇場では『わぁ〜カワイイとか、衣装がキレイとか』でも帰りに『この話、スゴイんじゃない?』って感じてもらえると思います。再演ということで、1回やってみて余計に分かりました。
---小堺さんにとってテレビとは違った、舞台の魅力とは何でしょうか?
ある意味、舞台はマッサージとかね…。軽い運動とかね…。そういう感じがします。ある種のリフレッシュというか。
---カンフル剤みたいになるわけですね。お昼の番組中心に割と毎日同じサイクルで動いている日常に何か新しいものを注入すると…。
はいはい。そうですね。
---テレビや舞台だけに限らず、仕事全体において、気をつけているというか、心がけていることは何かありますか?
(少し考えて…)はははっ。子供っぽいですけど、楽しくやることですね。楽しくっていうのは、自分だけでなく周りでかかわっている人にも。八方美人ですから(笑)。みんなに気持ちよくいてほしいんですよ。違う違うって追い詰めるのは僕はダメなほうなんで。
前に、大将(萩本欽一さん)にも言われたんですけどお前言うと『萎縮するから言わないほうがいい』と。まぁ、だからそれぞれあると思うんですよね、向き不向きが。奮起する人と落ち込む人と。それはどんな仕事でも同じだと思うんですよ。
僕の場合は自由にさせてもらっていいとこを取ってもらうのが一番いいし、僕も人を追い詰めるのがイヤだから…。正しくリラックスしていれば力って出る…と思ってるんです。
バラエティーの人がそうなのかもしれないけど、さんまさんとか僕とか所さんとか、関根さんとかより前のコメディアンの人は楽屋ではこう、恐くて、明るい人ではなくて、舞台でパァーッとやる感じの人が多かったんですね。でもこの30年代組以降は、楽屋とか収録前からうるさいくらいに騒いでるんです(笑)。そうじゃないと逆にあがっちゃう。だから芝居とか舞台のときでも楽屋の戸は閉めないですよ。暖簾かけとくんですよ。
---暖簾ですか?
ええ。そうすると、人が『こんちわ』と挨拶しやすいじゃないですか。
---企業でも最近ありますよね。壁を取り払って、コミュニケーションをしやすくする会社が。
そう。それでね、開けといてね、足を見てると分かるんですよ。調子悪いヤツは足がずれてるの。シャキシャキ歩いている人と、疲れている人は分かりますよ。
---テンションって出ますよね、動きに。
僕らは稽古終わったら飲みに行っちゃったりするけど、制作の人たち、演出家の人や助監督や装置の人は、それから仕込み直したり疲れているわけですよ。だからそう、疲れてるから冗談言いに行ったりとか。
---すごい気遣いですね。
(あわてて照れるように)あ、いや、ホントは言っちゃいけないんですよ、こういうの。気遣いは、気付かせるなって(笑)。
---ははは。
でもやっぱり、僕自身もそうなんですけど、落ち込んでいるときに『ほっといてほしいな』と思う反面『大丈夫だよ』って声をかけられると嬉しいんですよ。そういうのも含めてみんなが楽しくしてくれてると気持ちいいんですね。
---そういった兄貴分的な部分のある小堺さんですが、お子さんなど家族への接し方はどのような感じなんでしょうか?
僕は前から言っているけど『ディズニーランドに子供と遊びに行きましてね』なんていうのは、本当は子供に遊んでもらってるんですよね。遊んでくれてるんですよ、子供が。そういう風に思ったほうがいいですよ。それで、ちょっとやらしい話で言えば、資金力はこっちがあるわけですから(笑)。
---連れてってやってるっていうより、自分が遊んでもらってるって感覚のほうが疲れないですよね。
僕、実際、本当にね、自分が遊びたいから付き合ってくれって言いますからね(笑)。
---それは、子供にとってはすごく嬉しいですね(笑)。
その親と子供の関係を師匠と弟子の関係に置き換えてお聞きしたいのですが、小堺さんの師匠、萩本欽一さんから得た人間的な影響は何でしょうか?
やっぱりねぇ…諦めないんですよね。諦めないイコールしつこいんですけど、テレビ番組とかで80点とれば文句言われないところを、120点取ろうとするんですよ、大将。だから本番の日でも変えますし。ただ、僕らはそこから入っていったから…ものすごく楽ですよ。他のところは、あんまり変えないからね。そういったからといって、怠けてるとかいう意味じゃないですよ。
---映画監督さんとかでも大物になればなるほど、直前まで練って変えていきますね。
もっともっとって思うんですよね。欲張り、しつこい、諦めない。すごいですよ。帰んないんですよ。本当に帰らないからね。でね、僕、やっぱり見てらっしゃるんだと思う。そこで、『お疲れさまでした〜』って帰っちゃうのか。『大将何やってるんだろう?』って興味持って、残る必要ないのに見てるとか。
いいでしょ? 姿勢としてね。でも、そこで『僕、残ってます!』っていうとダメですから。
---そうですよね(笑)。あんまり小ズルくやっちゃダメなんですよね。
萩本さん、いろんなとこで書いてくれてるんですけど『小堺と関根は欲かいてなかった』って。
---いや〜要領よかったんじゃないですか? やっぱりちょっと賢いっていうか…(笑)。
そうかなぁ。
---出さないながらも、なんかこう…。
あ、僕、大人がいっぱい来るウチだったからかもしれないけど、そういうのが…大人と話してるのが多かったですね。
---それ大きいですねぇ。子供って言葉では分からなくても大人の雰囲気を肌で感じ取って学習してますもんね。
そうなんですよ。うん、だから、同級生と話しているより、年上の人と話してるほうが好きだし。今でも先輩と話すほうが安心です(笑)。後輩だと気を遣っちゃうの。つまんないんじゃないかなぁとか。大丈夫かなぁとか。しょうがないから、気に入られるために洋服あげたりして(笑)。それ聞いてルー大柴まで取りに来たんです。お前がなんで来るんだって。
---ははは。ではその芸の話に続きましてお昼の長寿番組としてライオンのごきげんよう。が長く続いていますけれども、番組のボルテージというかテンションを保つというのはとても難しいと思うんです。現代はうつ病で会社を辞めちゃったりする人がいるじゃないですか。
そのボルテージをどうやって保つのでしょうか?
あのボルテージをね、保つとうつ病になりますよ。いいこと言ってくれたんだ、フジテレビ三宅ディレクターが。『小堺くんね、1週間に5日あるだろう? 月火水木金って。その中で2日面白ければいいんだから』って。『野球選手は、3割でスゴイっていうだろう? 10打席で3回打てばいいんでしょう?』って。で、全部面白いと見ないんですって。
---見ないですか。それはどうしてなんでしょうか?
『あ、今日、小堺くん、困ってる、汗かいてる、面白い、明日どうなんのかな?』ってことです(笑)。石坂浩二さんにも同じこと言われました。『小堺くんが楽しそうに喋ってる日つまんない』とちょっと困って『そうなんですかぁ…』って言ってる日のほうが、お客さん面白いんですって。ああ、そうかもしんないって思って。もちろん努力はしないといけないんだけれど、毎日、面白くしようっていうのは難しいですよ。さんまさんだって大将だってウケないときありますからね。そしたらこっちは…別に…大丈夫じゃないですかぁ。
---発想の転換をして気を楽にするんですね。
だから僕、そう思うんですよね。努力はしても毎日100点なんてなかなか取れませんよ。
---そこはある意味、最初っから諦めるというか、いい意味で諦めて、バランスを取りながら自分なりのベストを尽くすように頑張ると。
そう思いますねぇ。あと…飽きないことですね。飽きると…辛いもんね。
---そうですね。でも、ひとことで飽きないように。といっても、なかなか難しいと思うのですが…。
これは『新婚さんいらっしゃい』について、三枝師匠が言ってました。『毎日、違う人が来るから飽きようがない』と。『ライオンのごきげんよう』も毎日同じ人をゲストにお招きしているわけではないから…。
---確かにそれはそうなんですよね。
ゲストがひとり変わっただけで、場の雰囲気がすごく変わるんですよ。それは面白いなぁと思って。やっぱり僕も飽きようがないです。
---またその面白さのポイントを見抜く感覚も鋭いんでしょうね。で、そんなキャラクターの濃い芸能人の方たちと上手く絡んで場を仕切っているわけじゃないですか。
そのコツというか、意識しているものはありますか?
ラジオでもゲストとお話したりする機会がありますが、とりあえずこっちが欲しい結論に持っていこうとか、コレを言って欲しいとかはやらないことですね。だから僕、資料ってものをあまり頂かないんです。資料を読むとそこから入っちゃう。その日その時の○○さんに会えばいいんですから。わざと本番までご挨拶に行かないんですよ。相当恐い方でないと(笑)。
---あはは!
でも、ディレクターとゲストの方の軽い会話を聞いているんです。『どうぞ〜』って来た時に、『ゴルフ行ったんですね〜』と切り出しちゃう。あと緊張させないこと、リラックスしてもらうことです。最初の話に戻りますけど、リラックスするとその人の本音とか本当の部分を出してもらえるんですよ。
---ドカント読者にメッセージをお願いしたいのですが。
僕ね、宮本武蔵の“水の如く”っていう言葉が好きですね。それは僕のやっていること全体そうなんですが、ムリさせないとか…。
---水は流れるままにと。
そう。水は高いとこから低いとこに流れるでしょ。どんな形にもなるし。掴めないし。でも固まると、岩になるし。温かくなればアチッ〜となるし。
---変幻自在に。
でしょ。で、なくちゃ死んじゃうし。そういうのがいいなと思いますね。
---水のように柔軟に考えて…。
そうそう。暑いときに『何で氷になれないんだ』と考えてもしょうがないから、暑いんだったらお湯になっちゃえばいいんですよ(笑)
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INFORMATION
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ミュージカル「Into the Woods」
出演/諏訪マリー・小堺一機・高畑淳子・天地総子・シルビア・グラブほか
会場/新国立劇場 中劇場
日程/06年5月19日(金)〜6月6日(火)
04年6月の初演で、中劇場に壮大な森が出現したブロードウェイ・ミュージカルが、大人気に応え早くも待望の再演が。
シンデレラや赤ずきん、ラプンツェルなどグリム童話の登場人物たちが歌い踊りながらメルヘンの世界を描き出し、彼らは様々な困難に立ち向かい、それぞれが新しい生き方を見つけ、感動のフィナーレへと展開。
宮本亜門の新演出、舞台装置、そしてクライマックスの「みんなひとりじゃない」を始めとする美しいミュージカルナンバーの連続、そのすべてが観る者を虜にする!
PROFILE
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小堺一機(こさかい・かずき)
1956年1月3日生まれ。50歳。千葉県市川市出身
専修大学在学中の77年にTBS「ぎんざNOW」素人コメディアン道場で優勝。
79年、勝新太郎主宰の「勝アカデミー」第1期生に。
84年からスタートしたお昼の番組「いただきます」から「ライオンのごきげんよう」は、04年8月に首の腫瘤摘出手術で約1カ月間休んだ以外は、21年間、司会を続ける。
TBSラジオ「コサキンDEワァオ!」「小堺一機のサタデーウィズ」レギュラー。
76年から10年に渡って茶の間の笑いを独占した「欽ちゃんのどこまでやるの!?」の3枚組DVDボックスが好評発売中。
8月18日〜8月27日まで新宿・シアターアプルで小堺クンのおすましでSHOW21「リトル・グランド・ウッズ」が上演される。
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