仕事情報誌ドカント

千原ジュニア 千原ジュニア
名コメディアン東八郎を父に持ち、“欽ちゃん”こと萩本欽一を師匠と崇め、蓄積年数早6年…。「いつテレビ出るの?」と言われながらも、ポジティブ性質により「苦労時代? 実感ないなぁ…」と、あっけらかん。「何でも吸収する」「流れに乗る」をキーワードに展開されたインタビュー。明らかに温度の低い言葉の根底にある、内燃エネルギーとはいかに?

Interview/佐々木竜太 Photo/HIROKAZ

---東さんが出演される舞台「産隆大學應援團」の内容からお聞きしたいのですが。
ストーリーは大学の応援団に愛情を持てない団長の奮闘話なんです。僕が演じる団長は、気持ちがふらついていて、そこにOBの応援団長が戻ってきて、もう一度喝を入れ直してくれる。その中で友情とか、上下関係とか、そういうものを規律正しく見直すことによって、希望が見えていくという…。存続の危機を迎えた応援団に、伝説の熱血団長が再入学することで巻き起こる騒動を描く青春コメディーですね。

---東さんの役どころは、応援団長ですか。
団長なんですけれども、ロマンチストで、か弱いんです。

---か弱いんですか!?
いろんな規律があるのも、時代の流れだし…みたいなね。熱血は熱血なんですけれど、何か緩いところもあるっていう。『もう、その古い体制は、どうかと思うよ』とか言って。

---そこに、今井さん演じる昔の団長が、「それじゃ駄目じゃないか」的な感じで、喝を入れにくると。
それで精神の弛みを直してくれる。バカバカしいことを一生懸命やろうじゃないかって。

---この舞台の見どころというのは。
一生懸命やることが、こんなに可愛らしくて、笑えて、泣けてという…。一生懸命やるっていうのは、カッコ悪いことじゃないよというところですね。

---一生懸命やるのが気恥ずかしいっていう風潮がありますよね。
それとは逆に熱い気持ちを前面に出して、汗かいていこうよって。体を動かしてね。一生懸命応援してくれる人たちがいれば、頑張って生きていけるよっていう。元気を出してもらえればうれしいし、共感して、また違う人を応援したくなれば素晴らしいじゃないですか。

---脚本と演出を担当される今井さんは、「僕のベスト3に入る大好きな作品」と張り切っていると聞きましたが、印象はどうでしたか。
ひと言でいえば、やっぱり『熱い』ですよね。暑苦しいと言ってもいいくらいで(笑)。本当に応援団、応援団長みたいですよ。そのままの人ですね。言ってること、やってることが団長です。その熱さにどこまで対応できるかなという悩みもあります(笑)。僕はすぐに休もうとする人間なんで。だからこう、目を盗んでね、どうやって休もうかと考えてます(笑)。

---そうなると、今井さんとのコミュニケーションは、まだまだこれからですね。
ええ。一緒に仕事するのも初めてですから。だからメッキがはがれないようにね。いろいろ懐に入っていこうということばかり考えてます。あまり怒られないようにって(笑)。

---台本を読んだ後、役作り、キャラクター作りについてどんなことを。
すべて今井さんに任せてあります。自分で作っていくと、間違えちゃうこともあるんで。幸い、今井さんから『作ってこなくていいよ』と言って頂いたので、『じゃ、本当に作らないでいこう』と。それは素直に。『だって言ったじゃないですか〜』みたいな(笑)。

---稽古もこれからですか。
今井さんの稽古は厳しいらしいですね。稽古前に1時間ぐらい走ったりとか、腕立て伏せや腹筋など“肉錬”という自衛隊仕込みのスパルタ特訓がいろいろあると聞きまして。これから会うたびに『ちょっと体弱いんで』と言っておくことにします。

---許してくれますかね。
作戦を練っている最中です(笑)。最初から一生懸命に30回、50回ってやると100回やれるまで、やらされるじゃないですか。だから、5回くらいでヒジ悪くしたとかいうと30回やっただけで『お前頑張ったな』って言われるじゃないですか。そうやって、どうにか誤魔化すテクニックを今は前もって考えてます。舞台前に“肉錬”でダウンしちゃったりするんですって。だから早めに倒れておかないと、稽古にならないなと。本番で倒れる前に演技で倒れておかないと(笑)。

---その辺の役作りが重要なんですね。
芝居の演技というよりかは、今井さんをクリアするための演技です。『肉練では目指せ骨折者なし・救急車なし』とは何ですか、と。



---計画的ですね…。東さんの“下町のプリンス”“下町のおぼっちゃま”キャラは父・東八郎さんの影響が大きいですか。
影響ですか?家に東八郎がいただけですからね。僕は父親が亡くなってから芸人になろうと思ったんで、影響は特にないんです。生きている時に芸能人になりたいと思ってしっかり見てたわけじゃないから。亡くなって欽ちゃんのところに入ってから、欽ちゃんの師匠がウチの親父なので、こうやって教えてたんだっていうことを教えてくれているということになるんです。

---間接的に教わっているような。
だから多分伝達してる途中で、変わってると思うんですけれど。ほとんどがアレンジじゃないかな(笑)。実際、もうほとんど原型がないと思うんです。

---では、萩本さんのところに入ってからはバリバリ気合いが入っていったと!?
いや、まず芸能人になりたいというのがなかったんです。コメディアン、お笑いということ自体が、ものすごく大変な仕事だと思っていたんでちっともやりたいと思わなかったし。

---そうなんですか。
うちの親父の周りにね、お弟子さんがいて、みんな貧乏でバイトしながら、本当にこんなところまで自転車で来てるのか!!っていう苦労を見てて。で、そうやって頑張ってともなかなか芽が出ない。どんどん辞めていくわけじゃないですか。そういうのを子供の時から見ていたからこれは普通にできる仕事じゃないなと。

---華やかな部分だけでなく、裏の部分を見ているから余計に芸人になりたくなかったと。その後、芸能界に入ろうと思ったきっかけとかは。
親父が亡くなった当時、取材の方が来られていて、いろんな質問をウチの母親にぶつけるわけですよ。『誰かお子さんの中で、後を継ぎたいなんてコはいないんですか?』なんて質問をしてまして。『やってくれたらうれしいです』なんて、母親も言ってるんですよ。で、『どうですか?次男の貴博さん!!』なんて聞かれたら『頑張ります!!』としか言いようがなかったですね。そんな時に『いえ、あのー、僕、ちょっとイヤです』なんて言えないじゃないですかッ!!

そういう流れで、やりたいですって言ったら、新聞に『次男貴博コメディアン目指す!!』とか、書かれちゃって。『おし!!やるか!!』ってノリで。

---流れに乗っちゃったんですね。
はい。そしたら、欽ちゃんがまた『お〜ぅ。オマエ、やるのか。オレが面倒見てやるよ』って。だからそんなに苦労したと、そういうのないんですよね実感として。

人から見ると、6年間給料なしなの?とかビックリされますけど。夜中にバイトして、何時間か寝たら、また欽ちゃんのところに行くという生活で。

---お父さんが亡くなられてから、お母さんが一人で5人の子供を育てたというのは、とても大変だったと思うのですが。
ウチの親父も突然亡くなっちゃったわけですから、母はこれからは一家の大黒柱にならなくてはいけないということで、何日か経ってから子どもたちを集めて『パパが死んじゃったけど、これからはパパの分もママが、やっていかなくちゃならない。パパとママの役割をするわけだから、私のことを今日からパマと呼びなさい』って言い始めちゃって。これには、さすがにヤバイな…と思ったんですよ。パパとママの役割するのはいいけど“パマ”と呼ぶ必要ない!!って。



---パマですか?お母さんもかなり気合いが入っていたんでしょうね。でもそうやって周囲の人に支えられて、現在があるわけで。では、芸人としてのこだわりを教えてください。
今までの仕事、なんでもそうなんですけど、特にこれがやりたいとかっていうのがないんです。自分が『コレをやりたい』というのは、もう少し年を取ってからやればいいやっていうのがありますね。自分自身に、それなりに責任が出てこないと自由なことも、やらしてもらえないだろうし。

---確かに経験が信用ですものね。
ある程度、年齢が経ってからでもいいやと、それまでは自分に何があってるか見つけてもらおうと思って。僕にレポーターが合ってるかと思えば、レポーターの仕事入れてくれるとか、ドラマに使ってみたいなという人に使ってもらって、それを見てくれた人が、また声かけてくれるかなというか。

---メチャクチャ素直なんですね。
だって二世なんでもすもん。うまいこと、きちゃってるだけですもん(笑)。

---あんまり勢い込んでないところが、逆にいいのかもしれませんね。最後に今回の舞台について、意気込みやメッセージを頂けますか。
舞台って、基本的に女性の方が見に来ることが多いじゃないですか。でもこの舞台は男性が見ても、もの凄く楽しいものになってます。カップルだったりとか、男性同士でも見に来て欲しいなと。今井雅之の硬派なところと、硬派を避けて生きてきた東貴博の軟派なところが、どう溶け合うのか…。しっかりとした舞台になるのかね。

心配だったら見に来てください!!それと肉練には正直、ビビッてます。勘弁してくれればいいんですが、芝居の中身より自分の身が心配で。そんな練習があるとは知らずにこの仕事を受けたんですから。

---心配だったら見に来てください!!って面白いですね(笑)。1万円札で汗をふくヒマもなさそうで。
ギャグは無理でしょう。辞退するワケにもいかないし。ホントみなさんに心配かけると思うんで、ちゃんとやってるかどうか、見に来てください。

---確認しに!?
そう、生存確認も含めて、行きましょうということでぜひ見に来てください。チアボーイズが奮闘する肩の凝らないコメディーですから楽しんで頂けると思います。
INFORMATION
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15弱
■舞台 「産隆大學應援團〜地上最強のチアボーイズ参上〜」

一昨年、深夜枠で放送されたフジテレビの超熱血コメディードラマ「産隆大學應援團」が舞台作品になって登場。3月26日から4月3日までの東京・紀伊國屋サザンシアターを皮切りに福岡・西鉄ホール、石川・金沢観光会館、兵庫・新神戸オリエンタル劇場、仙台、札幌、広島などを回り、全国12カ所25公演の全国ツアーを敢行する。

俳優の今井雅之が脚本&演出を担当。個性的な団員たちを主人公に、煩悩と葛藤だらけの青春を描く。

原作/金子茂樹

出演者/東貴博(Take2)・隈部洋平・脇知弘・是近敦之・今井雅之ほか

主催/フジテレビジョン
後援/ニッポン放送
企画・製作/フジテレビジョン・エルカンパニー
公式HP:
産隆大學應援團 全国ツアー2007




PROFILE
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東貴博(あずま・たかひろ)
1969年12月31日生まれ 東京都台東区出身

88年、萩本欽一主宰の「欽塾」に入塾し、94年、深沢邦之とのお笑いコンビTake2を結成。舞台、映画、テレビ、ラジオなど幅広く活躍。ラジオ「東貴博のヤンピース!」「高田文夫のラジオビバリ-昼ズ」(ニッポン放送)、テレビ「銭形金太郎」「2時っチャオ!」「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」「爆笑問題の検索ちゃん」「晴れたらイイねッ!」「そうだ!自然に帰ろう」「難問解決!ご近所の底力」などにレギュラー出演中。5月18日〜6月3日に天王州 銀河劇場で行われる舞台、熱海五郎一座「狼少女伝説 TOH!!」にも出演が決定。

公式HP:
Take2東貴博“Prince Cafe”


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