
---金子さんは、テレビ版「大奥」では、笛吹きの半井隼人役を好演。今回の舞台版では、14代将軍の徳川家茂役なんですよね。
今まで公開されたテレビや映画で、いろんな方たちがいろんなタイプの殿を演じていらっしゃいましたよね。僕も、これまでとは違うキャラを演じられたらいいなと思ってます。『こういう殿もアリなんだ』っていう、新しい一面を見せたいですね。
---舞台版は、03年にテレビでオンエアされた内容とほぼ同じ設定だと伺いました。
舞台版は、時代背景が違うんですよ。幕末なので、大奥にも時代の波が押し寄せてくるんです。僕が演じる家茂は、安達祐実さんが演じる妻の和宮に一途という設定。だけど、城内にはお手付きにした女性も住んでいる、という構造です。
---お手付きとは、殿と女性が肉体関係を持つことですよね。和宮に一途なはずが他の女性とも親密な和合を。
結婚前に他の女性で練習するのが、徳川家のしきたりであり、お仕事ですからね。仕事であれば、自分の意向と違うことでも、やらなければならないことってありますよね。おそらく、浅野ゆう子さん演じる大奥総取締役の瀧山から、強烈なプレゼンもあったと思いますが(笑)。
---金子さんご自身も、仕事であればノーとは言わないタイプなのでしょうか。
仕事だと言われたらノーとは言わない…いや、ノーと言いたいことは過去、ありましたね。自分の中で『これ以上やってはダメ』というラインを超えた仕事だったと思います。そのお仕事を受ける意義をご説明いただいたので柔軟に対応することができました。だから、家茂の気持ちが分からないこともないんですよ。
---殿役に指名されたことで、プレッシャーは感じてますか?
テレビ版のファンの皆さんを裏切れないという思いは、もちろんあります。でも、キャストの皆さんはその役を演じてきた方が多いので、安心して身を任すことができる土台があります。あとはどれだけ今創ってるモノに対して、足を引っ張らないようにするかが自分の課題ですね。この舞台はプレッシャーより安心感のほうが強かったんです。
---キャストはその役のエキスパート揃いですものね。
制作発表で浅野ゆう子さんにお会いしたら、気持ちがすごく楽になりました。瀧山といえば浅野さんじゃないですか。衣装を着ると、どっしりとした存在感があるんです。なので、『瀧山がいるから大丈夫だろう』と(笑)。
---監督の林徹氏も、「大奥」をこよ
なく愛する方ですし…。
そうなんです。キャストに加えて、音がついて衣装があって、大道具があって…。稽古さえ重ねれば何とかなるだろうと、大船に乗った気分ですよ。舞台監修は、原作者の浅野妙子さんですし。外れはないだろうなと。
---衣装といえば、やはり絢爛豪華な着物も見どころですよね。かなり重そうですが。
本当に重いんですよこれがまた!僕の勝手な推測ですが、袴だけで10キロくらいはあるんじゃないかと思います。舞台では、鎧と兜もつける予定です。女性陣も、ほぼ同じ重さの衣装をつけるらしいですよ。それで裾さばきをするんですから女優さんのほうが体力勝負ですよね。
---本番で他人の裾を踏んでしまったらどうしますか(笑)。
すぐに大声で『ごめんなさい!』と謝ります(笑)。そこを流そうとしたら、お客様に笑われてしまいますからね、きっと。『あ、ごまかした!』と。
---壮大な舞台装置も、ファンにはたまらないでしょうね。
僕も期待しているんですよ。舞台は枠が決まってるじゃないですか。だから逆に『お〜こうきたか!』となれば、お客様は驚いてくれるはず。“箱の中で見られるもの”という限界を超えるセットになると思うので、目が釘付けになるはずです。
---テレビ版も、豪華極まるセットだったとか。
コレ造ったんだ!? というものがたくさんありましたよ。監督がうれしそうに『すごいだろう?』と仰っていたこともありますね。『天井に細かい装飾をしてるけど、これってテレビに映るの?』みたいな(笑)。
---他にも、舞台ならではの見どころを教えていただければ。
役者同士がお客様の目の前で行う、生のやり取りです。舞台ごとに毎回“間”って変わるものなんです。それは、セリフを話すスピードであったり、目線であったり。テレビや映画だと、途中でカットがかかってストップされてしまうから、絶対に見られない部分ですよね。舞台だけは、それを鑑賞できるんです。
---現場の空気感みたいなものを直接感じられる、と。
演技は“気”のやり取りだと思うんです。相手からもらったエネルギーを、もっと大きく返すことで、何気ないセリフをお客様も面白く見ていただける瞬間があると思うんです。演技する方も不思議なところですよね。そこをお見せするのは、役者にとって一番難しくもあり怖いところですが。『大奥』は、ドロドロした人間模様を描いた作品。“気”の入った感情のキャッチボールを、生で見て肌で感じるのに最適な舞台なんです。
---金子さんが毎回実践させている、役作りの方法はありますか?
今回、安達祐実さんと夫婦役を演じさせてもらうので、セリフ以外の会話もして距離を縮めておきたいですね。夫婦らしい雰囲気が醸し出せるように。恋人や夫婦を演じる場合、必ず話をするよう心がけています。

---ということは、反対は…?
敵対してる役の人とはあまり話さないようにしています。殿はみんなから愛されるので、この舞台ではそういった方はいませんが(笑)。
---舞台は1日2回公演の日もあり、1ヶ月にも及ぶ長期間。ハードスケジュールですよね。
しかも、2回公演の合い間は1時間の休憩しかありませんから。4時間やって、1時間休み。休憩中は、髷が取れてる変な頭の殿様のままでいるんでしょうね、きっと(笑)。
---長丁場の仕事に入る際、気をつけていることはありますか。
1ヶ月を超える時は、できるだけ早めに仕事に合わせた時間のサイクルを自分の中で作るようにしています。感覚的な時間の管理ですね。
---最近ますます仕事が忙しそうですが、休日は取れていますか?
取れていますよ。休日は、家族と買い物やドライブへ行ったり。普通の父親をしてます。
---2人の女の子のお父さんなんですよね。3人目のご予定は…。
いや〜、今のところはありません。疲れてる時は、面倒を見てあげられないこともあるんですよ、実際は。
---金子さんは、ブレイクするまで100回以上もオーディションに参加されたとか。その時代を支えてくれたのが、奥様ですよね。
必死こいて『大変だね』なんて言いながら一緒にいました。僕は、夢に到達するまでの過程さえ楽しんでいるので、苦労とは感じないんです。
---来年からは、家になかなか帰れない全国公演も始まります。
地元の長崎県に、凱旋公演もできるんですよ。うれしいですね! 寝起きをともにするスタッフや共演者の皆さんとは、家族のように絆が深まると思います。個人的には、札幌も楽しみかな。日帰りで行ったことはあっても、滞在したことがないので。
---では男性読者に舞台のPRを。
女性の気持ちが分かる舞台です。女性の心については、想像がついてる方もいるかもしれませんが、女性は『大奥』で描かれた一面を持っていると思った方がいいかもしれないです。だからこそ、パートナーと一緒に鑑賞してほしいですね。あなたの隣りに座っているかわいい彼女も、こういう顔を持っているんだと(笑)。
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INFORMATION
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舞台「大奥」
大奥…そこは将軍・徳川家を支える女たちが住まう場所。将軍家の血筋を絶やさぬよう、さまざまな陰謀、愛憎、嫉妬、裏切りが渦巻くところ。ある人は大奥を「女の牢獄」と呼んだ…。時はペリー来航により開国を迫られる江戸時代末期。外交問題などで対立が深刻化した朝廷と幕府を融和させるために、孝明天皇の妹、皇女・和宮(安達祐実)が14代将軍・家茂(金子昇)に降嫁することになった。大奥に入っても京風を貫こうとする和宮が大奥に馴染むはずはなく、家茂の実母・実成院(江波杏子)との対立は決定的に。そこで大奥総取締・瀧山(浅野ゆう子)は大奥を仕切るために、和宮、実成院と対立しつつ、その存在感を示していく。しかし、そんな女たちを吹き飛ばすかのように、時代は大きく変貌を遂げようとしていた。
03年6月の放映開始時から圧倒的人気を誇ったフジテレビ系ドラマ「大奥」。テレビシリーズ、映画化と続き、今秋ついに待望の舞台化! 物語はテレビ第1シリーズでも描かれた和宮降嫁から明治維新までの激動の時代。豪華絢爛な衣裳に身を包んだ華麗なる女優陣と、最高峰のスタッフによる歴史絵巻エンターテイメント「大奥」の迫力に注目だ。来年5月2日から6月11日まで札幌、秋田、盛岡、仙台、山形、郡山、新潟、出雲、松山、高知、鹿児島、熊本、長崎、広島、静岡の全国15ヶ所へのツアーも予定されている。
【CAST】
浅野ゆう子・安達祐実・中山忍・金子昇・松尾れい子・鷲尾真知子・山口香緒里・久保田磨希・羽場裕一・江波杏子ほか
【STAFF】
原案/フジテレビ系ドラマ「大奥」より
脚本/浅野妙子 演出/林徹 劇化演出/吉村ゆう 音楽/石田勝範 主催/明治座 ・フジテレビ
企画制作/フジテレビ・東映・明治座
【INFO】
東京公演は9月29日(土)〜10月27日(土)
明治座 <全44公演>
問い合わせ=劇場
TEL.03-3660-3900
名古屋公演は11月3日(祝)〜11月29日(木)
中日劇場 問い合わせ=劇場 TEL.052-263-7171
舞台版:大奥公式HP
PROFILE
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金子 昇(かねこ・のぼる)
1974年10月18日生まれ 長崎県長崎市出身
趣味/料理・フットサル 特技/テニス・ビリヤード
長崎総合科学大学工学部建築学科を卒業後、一度はサラリーマン生活を送るが、役者を目指しオーディションに挑戦。99年ドラマ「女医」でテレビデビュー。01年、スーパー戦隊シリーズ「百獣戦隊ガオレンジャー」の主役ガオレッドこと獅子走役に抜擢され、一躍脚光を浴びた。現在はテレビドラマ、映画、バラエティー番組、舞台、CMなど幅広く活躍する。主な出演作に、ドラマ「ぼくが地球を救う」(TBS系)、「大奥〜第一章〜」(CX系)、「嬢王」(TX系)、「こちら本池上署5」(TBS系)、「てるてるあした」(EX系)、「家族〜妻の不在・夫の存在〜」(EX系)、「松本清張 わるいやつら」(EX系)ほか、映画「百獣戦隊ガオレンジャー/火の山、吼える」(01年、東映)、「マッスルヒート」(02年、東宝)、「ゴジラ×モスラ×メカゴジラ東京SOS」(03年、東宝)、「呪戒」(04年、ミライ)、「釣りバカ日誌16」(05年、松竹)、「魁!!クロマティ高校」(05年、キングレコード)、「メノット」(05年、ブループラネット)、「トワイライトファイル/影」(05年、ミライ)、「ITバブルと寝た女たち」(07年、アートポート)ほか、舞台「マッスル・ミュージカル」、「ラブ・レター」(06年)、「サムシング・スイート」(07年)などがある。
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