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男の"夜職"相談室
風俗・キャバクラ・ホストクラブ。
男のナイトワークのオススメは?前編

男の“夜職=ナイトワーク”専門のQ&Aサイト
ここは新宿歌舞伎町、繁華街の裏通りにある古いビル。
怪しげなスナックやマッサージ店が入り乱れるこのビルの一室に「男の夜職相談室」はある。
といっても、ドアに表札などは一切掲げられていない。
「男の夜職相談室」とは、運営しているホームページのタイトルで、ここはその事務所。
そのホームページには、様々な境遇の男性達から、
風俗やキャバクラ、ホスト業界といった「夜職=ナイトワーク」についての質問や相談が送られてくる。
それに答えるのは、この相談室の“オーナー”である。
そのオーナーとは、小柄でガングロ、首元には金のネックレスをジャラジャラと鳴らしている、極めて怪しい風体の爺さんなのである。
過去の経歴は一切不明。聞いたところで何も教えてはくれない。
このオーナー、そんな胡散臭さとは裏腹に、持ち込まれた質問や相談事には、時に優しく、時に厳しく、返答をする“だけ”。
相談料の類は一切取ることはない…。
サイトの運営費や事務所の家賃、唯一のスタッフである私のバイト代等、諸々の経費はそれなりの金額になるはずだが…。一体どうやって賄っているのであろう。
そんなオーナーの財力を考えると、ひょっとするとこの爺さん、ナイト業界では“伝説の男”とか“フィクサー”とか呼ばれていたのかも知れない…。
まあ、しかし私としては、出社してホームページに送られてくる質問や相談事を整理するだけで、最低賃金の2倍近くの時給が貰えるのだから、この爺さんが何者だろうと全く関係はないのである。

オーナーは事務所に来ない。ネットを覗いていると…。
くっそ、また損しちまったよ・・・
私はパソコンの画面に表示されたFX口座から目を逸らして、天を仰いだ。
ここのところ1週間以上、オーナーは事務所に姿を現さない。
あまりにヒマなので、この時間を有効活用できないかとネットを睨み続けた結果、
“FX投資で副業”というページを見つけてしまった。

少額の投資からスタートできます!月にウン十万も稼ぐことが可能!!
なんて甘い言葉に踊らされてギャンブル感覚で始めてみたのだが・・・、結果は惨憺たるものだった。
最初こそビギナーズラックで少しばかり勝ったものの、その後は負けまくり、銀行口座にあった数万円はあっという間に溶けてなくなった。

「あ~あ、何がウン十万だよ…」
私は天を仰ぎ、ため息まじりに呟いた。
その時、背後に何かの気配を感じて振り返ると、私の背中越しにオーナーがパソコンを覗き込んでいた。

「ほぉ、FXか。どうだい調子は?その様子を見る限り聞くまでもないか、ハッハッハッ」
オーナーは日焼けした顔をテラテラさせながら高笑いをしている。
先週見た時よりも“黒光り度”が増しているような…。
このところ事務所に現れなかったのは、さては、南の島でバカンスでも楽しんで来たのか?

「ちょっと、声も掛けないで何なんですか!」
FXで有り金をスッてしまったことも相まって、私はイラッとしながらオーナーを睨みつけた。

「おいおい、逆恨みは無しにしてくるかのぅ。君がFXで遊んでいる間も、ワシは君にギャラを払ってるんじゃからのぅ…」
そう言われると返す言葉もない、ぐぬぬ…。

「ところで君、“相談”は来とるんか?」
「ええ、随分長い間お休みにされてたんで、夜職の初心者から上級者まで、相談が溜まってますよ」
私は精一杯の嫌味を込めて言った。

「う~ん、それじゃあバカンス明けだから軽いところから…、いや違う違う…、まずは初心者からの質問にしようかのぅ…」

私は仏頂面で1枚の書面をオーナーに手渡した。


ご質問・ご相談
【タイトル】
上京中です。初めてのナイトワーク、どんな仕事・職種がいいですか?
お名前:重森ヒサノブ様
年 齢:20歳
住 所:北海道から上京
【内容】
現在、上京して友人宅に居候しています。これから東京で夜の業界、ナイトワークで仕事を始めようと思っているのですが、何かオススメの仕事や職種はありますか?

僕は北海道の田舎(札幌からも遠く離れた寂れた町)の出身です。
小学生の時に水産会社で働いていた父が突如蒸発し、その後母は僕を育てきれず、施設に預けました。
母はその後何度か面会に来ましたが、やがて姿を見せなくなりました。
中学になった頃、母は札幌で再婚したと知らされました。
母の居場所、連絡先は教えれらましたが、その後一度も連絡をしたことはありません。

施設で育った僕は、高校を卒業して地元の水産会社で働き始めました。
僕が生れ育った町では仕事の選択肢はほとんどなく、自立のためにやむなく選んだ仕事だったのですが、やはりそれではやる気が湧かず、職場の人間関係もうまくいきませんでした。
また、いきなり蒸発した憎い父と同じ仕事をしていることにも嫌気が差して、2年足らずで退職し、その後、同じ施設で育ち東京に出た先輩を頼って上京しました。

上京後は先輩のアパートに居候しながら、先輩と同じ居酒屋のバイトを始めました。
先輩が一緒なこともあり職場には馴染めたのですが、仕事にやりがいを感じることは出来ませんでした。
また、どんなに懸命に働いても時給1000円程度のバイト生活に将来的な不安も感じるようになりました。

そんな時にスマホで偶然見つけたのが、男性向けの高収入求人サイト「ドカント」でした。
そこにはナイトワークを中心に給料の良い仕事がたくさん載っていて驚きました。
特に、店長や幹部候補になると相当な高収入が見込めると書いてあります。

そしてそんな高収入とともに僕が心惹かれたのは、どの求人にも「未経験大歓迎」「学歴・職歴不問」と書かれていることでした。

それを見て、僕のような田舎出身の高卒の男でも、頑張り次第では高給取りになることが可能なのかと、ナイトワークの仕事に興味を持ちました。
そこでしっかり自分のポジションを確立して、蒸発した父や、結果的に施設に置き去りした母を見返してやりたいと思っています。

しかし、上京したばかりの僕には、ナイトワークの業界というと、どのような仕事や職種があるのか、イマイチよく分かっていません。

そこでお願いなのですが、ナイトワークの仕事の中で初心者でも可能なオススメの仕事や職種を教えてもらってよろしいでしょうか。

初歩的な相談ですみませんが、右も左もわからない僕にアドバイスをお願いします。


「いきなり重い話じゃのぅ…」
オーナーは相談の書面を読み唸った…。
「こんな厳しい境遇から立ち上がろうとしている若者には、しっかりアドバイスをしてやらんとな!」

オススメのナイトワーク①風俗店 男性スタッフ
オーナーは私の隣にやってきてデスクに身を乗り出し、パソコンを操りながら言った。
「風俗店の男性スタッフの仕事については、今まで何度も扱ってきたから、仕事内容は君も分かるじゃろ?」
「えっと、接客とか、後はえっと…」

「オイオイ、まったく“夜職”相談室のスタッフがそんなことでどうするんじゃ。FXやっとる場合か!」
ウググ…。オーナーは続ける。

「風俗店は業種的に、二つに大別されるんじゃが、それぐらいは分かっとるじゃろ?」
「う~ん、あっ、分かった。 “店舗型”と“無店舗型”の風俗店っすよね?」

「それも分からんようなら、クビにしようと思ったわ」
オーナーは呆れ顔でそう言いながら、風俗店の男性従業員の仕事内容について、次のように語った。

●風俗店男性スタッフの仕事内容
お客様の受付・接客
店舗型風俗店の場合は対面での接客、無店舗型風俗店は電話による対応がメインとなる。
店内の清掃
店舗型風俗店の場合は、店内にプレイルームや待合室があるので、それらの清掃業務。
無店舗型風俗店の場合は、事務所や女性キャストの待機場所などの清掃業務。
ドライバーの管理
無店舗型風俗店に特有の仕事。お客様の元に女性キャストを派遣するドライバーの管理業務。
女性キャストの出勤管理、ケア
店舗ホームページの更新
備品の確認、発注
イベント・キャンペーンなど企画の立案
女性キャストや男性スタッフの求人業務


「そうそう、こんな仕事内容だった! 結構やること多いんですよね」
「でもまあ、企画の立案や面接は幹部候補になってからじゃし、慣れれば難なくこなせる仕事じゃ」

そう言いながらオーナーは私のデスクのパソコンを操作した後、その画面を顎で指した。
そこには某高収入求人サイト「D」に載っている、ある風俗店の男性スタッフ募集の求人情報が表示されていた。

【風俗店男性スタッフ(都内・デリヘル)の求人情報】
■給料
[正社員]店舗スタッフ:月給30万円~
[正社員]店長・幹部候補:月給50万円~
[アルバイト]店舗スタッフ:時給1,200円~
インセンティブ(歩合)・各種手当あり
店長になると月給70万円~100万円も可能
交通費全額支給
■待遇
日払いあり・個室寮完備・社会保険完備・有給制度あり
■勤務時間・休日
[正社員]10時間勤務、週休1日(週休2日も可能)
[アルバイト]シフト制
■資格
未経験大歓迎、学歴・職歴不問

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「未経験でも月給30万円スタートの仕事なんて、ナイトワーク以外で中々見つからないですよね」
「そうじゃろ。それに役職が上がって幹部候補になると給料はグーンと上がるし、店長になれば年収1,000万円も夢ではないからのぅ」

「年収1000万!?でも、そこに辿り着くには辛くて長~い道のりがあるんでしょうねぇ…」
「いや、それがそうでもないんじゃ」
オーナーは人差し指を左右に振りながら続けた。

「これは風俗業界に限らず、高収入系の営業会社や色んな仕事にもいえることなんじゃが、“楽をして他人より稼ぎたい”みたいな軽いノリの奴はすぐに辞めてしまうんじゃ。その結果、男子スタッフの回転率が高くなるから、地道に仕事を続けていけば、結構早く昇格のチャンスが巡ってくるんじゃよ」

「へぇ~、どれくらい続ければいいんですか?」
「う~ん、それは店の規模によっても、ケースバイケースじゃが…。半年程で役職が付いて、新店オープンといったタイミングが合えば1年チョイで晴れて店長、なんてケースもあるからのぅ…」

「マジですか?それは俄然やる気が出るなぁ~!」
「こういったタイミングの妙も風俗業界ならではじゃのぅ…」

「それでは次に待遇は…、おっ、“個室寮完備”か。こりゃあ相談者さんにはメリットが大きいですね」
「そうじゃな、今は居候のようじゃから、まずは自立をせんとのう。それには寮に入るのが手っ取り早いじゃろ」

あとは“社会保険”あり、“有給制度”あり、へぇ~こりゃあもう普通の会社と変わらないな…、と読み進めていくと、“週休2日”という文字が目に入った。
「あっ! このお店、週休2日も可能ってことは“ワーク・ライフ・バランス”を考慮してるってことですね?」
「おお、君も少しはワシの話したことを覚えているようじゃな」
オーナーは笑った。

「ワーク・ライフ・バランス。つまり最近はプライベートの時間を重視する若者が増えたから、以前は12時間労働で週休1日制が多かった風俗業界も、人材を確保するために変わってきとるんじゃ。このお店は週休2日が選択可能、ということじゃが、“完全週休2日制”や“実働8時間”なんて店も最近は増えて来とるしのぅ。社会保険や有給制度が積極的に導入されているのも同様に人材確保のためじゃ」
「なるほど、時代に合わせて風俗業界も変わってきてるんですね~」

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「じゃあ次のナイトワークは、キャバクラの男子従業員じゃ。業界では“黒服”や“ボーイ”などとも呼ばれておるんじゃが、その仕事内容は…」
と、そこでオーナーがこちらをチラリと見たので、私は思わず目を逸らす。
するとオーナーは「まあ、わかるまいな…」と呟いて、説明を始めた。



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