ゲスリーマン借金人生の思ひ出。の巻-前編-【下衆リーマン日記】13話

ゲスリーマン借金人生の思ひ出。の巻-前編-【下衆リーマン日記】13話 男性高収入求人ドカント

温湯(ぬるまゆ)シュウイチの下衆リーマン日記!

温湯(ぬるまゆ)シュウイチの下衆リーマン日記! 男性高収入求人ドカント

誰もが知ってる某一流会社勤めの金融マン。40歳妻子持ち。
長男は私立小学校に通い、妻は専業主婦で習い事に大忙し…。
そんな順風満帆な人生がひょんなことから600万の借金返済生活へ!
つちかった役職知識をフル活用!カラ交通費に経費水増し、株式投資に副業、ギャンブルetc…
一発逆転高収入を夢に見て、合法ギリギリの小遣い稼ぎに狂う日々…。
嗚呼、今年の8月にはようやく司法書士にお願いした債務整理の返済が終わります。
それまで嫁にはバレませんように(ナムー…。
AGAのハゲ薬をインドから個人輸入し副作用で精力が弱りはじめた、
温湯シュウイチのゲスい日常。
【注】読後感悪し

第13話 温湯、借金人生の思ひ出。の巻-前編-

■現金1,500円@週。全っ然バカにできませんって!

「いつもありがとうございま~す♪それではスタンプを押させて頂きますね~♪」
女子大生のアルバイトであろうか、可愛らしい店員が微笑む。

昼下がり、甘い香りに包まれた店内。心地の良いボサノバが流れている。
買い物に来ているのは女性客ばかり。品の良い主婦が多い。
“洋菓子の●●●店”

大きめの生シュークリームが絶品で、ここいらではちょっと有名な高級洋菓子屋さんだ。

仕事柄、オレには法人の顧客が多いので、客先へ訪問する際は“お土産”を持参する場合が多い。
時節にもよるが、週4~5個程度の“菓子折”を購入することも珍しくない。
その単価は、顧客の契約内容によっても異なるが、3千円~5千円といったところだ。
また、中元や歳暮の頃合いともなると、週10個~20個位の贈答品を買うこともある。

普通、オレのような管理職ともなると、そんな品物は部下の事務員に用意させるものだが、オレは必ず自分で買いに行く。
もちろん、お客様への感謝の気持ちを込めるため…などではない。

“ポンッ、ポンッ、ポンッ”
「おめでとうございま~す♪スタンプが貯まりましたので、現金1,500円と交換いたしますね~♪」

これだ、このためなのだ
なんとこの店では、スタンプカードが貯まると現金のキャッシュバックをしてくれるのである。

法人贈答品の洋菓子を会社の経費で購入し、特典のスタンプカードを現金と交換する。
金額はたったの1,500円だが、今時、ポイントではなく現金と交換してくれる店は大変貴重である。
この店の話を会社の女子社員から聞いた時は思わず小躍りしたものだ。

購入する個数も多いため、だいたい毎週1,500円の臨時収入はゲットできる。
月にすると約7,000~8,000円にもなる。今のオレには決してバカにできない金額である。

「何とかもう少し稼げないか…」とは思うが、贈答品の購入はこの辺りが限界か…。

こうなったら、あの可愛い女子店員を惚れさせて、スタンプを乱打させるしかないか?

いや、こんなスタンプ押しを強要するセコイうすらハゲに誰が惚れるというのだろうか…。

■ある日の出来事を境に、出来心!

ある日の出来事を境に、出来心! 男性高収入求人ドカント“ポンッ”
「今日は1個多めに押しときますね~♪」

「えっ?すみません。でも大丈夫なんですか、サービスなんかして?」
セコイうすらハゲは驚いた。

「大丈夫ですよ~♪このカードは首都圏の店舗共通ですし、いちいちチェックしてませんから~♪」
とびきりの笑顔で女子店員は言う。

「それに、いつもたくさん買っていただいてるし…」

さては惚れたな、この尻軽女め!

だが…。
「スタンプカードは、いちいちチェックしてません…」と彼女は言った。
ってことは…。
店のスタンプを複製しちゃうってのはどうだ?

■そのスタンプは、店の頭文字がひとつ入っただけの単純なモノ。

だが、実際に店のスタンプを複製し現金と引き替えたら、これはもう立派な犯罪行為である。
ダメ絶対!
しかし、金融屋のオレには秘技があるのだ。

秘技“スタンプ印影写し”

この技は、金融屋であれば誰しもが使ったことがある(嘘)技術で、お客と契約書を交わした際に“印鑑漏れ”があった場合などに重宝する伝統芸(嘘)だ。
いちいち印鑑漏れなんかでお客に書類を郵送したり、再訪問したりする奴なんていない(嘘)のである。

■温湯の3分間スタンプ印影クッキング~♪

温湯の3分間スタンプ印影クッキング~♪ 男性高収入求人ドカント用意するもの:板ガム1枚・100円ライター1個・ボールペン1本

①板ガムを包んでいるシルバーのアルミ紙を剥がします。
②アルミ紙を広げ、アルミ箔(銀色)の方を上に向け、100円ライターで包み紙の角を擦すります。
③すると、アルミ箔と白い紙が?分離します。
④それぞれをゆっくりと引っ張り、アルミ箔は捨てます。?
※使うのは白い紙の方です。
※アルミ箔と接着していた部分は使いません。使うのはガム側の方です。
⑤スタンプが捺印されている、印の部分にその紙をあてて、ボールペンで擦ります。
※紙がズレないように擦るのがコツです。
⑥複製されたかどうかの判断は、擦ってる間に紙に染みこんできます?ので一目瞭然です。
⑦スタンプカードにそのまま当てて、ボールペンで擦すります。

アッという間に、ポイントの複製が完了しましたね~♪
真似しちゃダメだぞ~、絶対♪

んーこれで当面食えるな。月1万円はゲットしたるで~!
待ってろよぉ~、尻軽娘~!

■思えば、こんな倹約生活もかれこれ10年近くになる…。

先月からは、ランチの外食もやめた。
“弁当持参”と言いたいところだが、ウチの嫁は弁当なんて一切作らない。
出社時にオレが弁当箱に“白飯だけ”を詰めて持って来ているのだ。

オカズは会社の近所にあるスーパーの“SEI●●”で調達する。
お総菜の揚げ物かカップ麺をセレクトして、1食200円以内を目指すのだ。
もちろん誰にも見られないように細心の注意を払う。
万引き犯の心意気だ。

■ビジネススーツまで、価格ヤスク!

先日も、いつものようにSEI●●でこっそりオカズを購入。
コロッケ&うずらフライで160円也。ルンルン気分だ♪

レジで無料のソースをもぎ取り、帰ろうとした時に気付いた。
会社履きのサンダルから覗いている靴下の親指あたりに穴が空いているのだ
何ともみすぼらしい…。
背に腹は替えられぬ、と衣料品売場に向かい“2足500円”のペラペラの靴下を購入す…ん?

なんと!SEI●●ってば、ビジネススーツまで売ってるではないか!
しかも驚くべきはその価格で、スーツ上下で8,800円ときたもんだ。

スマホで調べると、SEI●●のスーツはその“安さと機能性”で話題になっている。
何となしにスーツを見ていたら、すかさず店員が声を掛けてきた。
「どうぞご試着なさって下さ~い」

いや、確かにスーツは仕事上の必需品だし何着かは持っていなければならない。
しかし、世間的に高給サラリーマンと思われているオレが、SEI●●のスーツってのはどうなんだろうか?

部下やお客の前でスーツの話題になった時、どうすればいいのか?
「温湯さん、そのスーツってアルマーニ?」
「いや コレSAY YOU-!」

とかラッパーみたいに言えるのだろうか。(追悼・練マザファック)

■温湯家、鬼嫁のルール。

温湯家、鬼嫁のルール。 男性高収入求人ドカント自分以外が浪費することを極端に嫌うウチの鬼嫁。
趣味の悪いブランド物の宝飾品や、どんだけ塗りたくってもシミひとつ消えない高級化粧品なんかはホルホルと買い込んでいるが、オレの物などユニクロの下着ですら絶対に買わない。

そんな鬼嫁も、オレの商売道具であるスーツに限っては、“1シーズンで2着”まで買っていいと言っている。
もちろんいつでも買っていいわけではない。
“バーゲンセール期間中”に買わなければならないのだ。

「デパートのバーゲンにしなさいよ、生地がいいんだから!それで2着5万円以内で買えるんだから。それ以上のお金は出さないわよ」

要はスーツを買ったら、嫁から5万円を貰えるのだ。

去年も鬼に言われた通り、デパートのバーゲンセールでスーツを2着、5万円以下で買った。
しかし、庶民の味方SEI●●なら、2着1万5千円で買えるのである。

差し引き、3万5千円が懐に入る計算となる。(元々はオレの給料だが…)

だがしかし、流石にSEI●●のスーツは…どうなんだろ…。いいオッサン(うすらハゲ)が…。

「ご試着してみて下さ~い」
店員のババアが首からメジャーを下げて近寄って来る。

いや!やはり高給サラリーマンはSEI●●でスーツは買わない!

“ネクタイ・腕時計・スーツ”は大人の男の三種の神器じゃないか。
社長や富裕層を商売相手にしている以上、みすぼらしい格好はできないのである。
SEI●●で買うのはオカズだけ!(200円以下)
よし、ハッキリ言おう!

「この8,800円のヤツ2着お願いシャス!BB体(小デブサイズ)で!」

■自分の給料をロンダリング。温湯ヘイブン。

「だだいまー。今日はスーツ買ったからー」
家に帰り、“メイド・イン・ベトナム”のタグをハサミで切り捨ててから鬼嫁に告げる。

「チッ」

リビングから鬼の舌打ちが聞こえてきた。
そしてテーブルの上に5万円が無造作に置かれていた。

今もなお、こんな日常である。
1,500円のキャッシュバックや、200円以下のオカズを買うこと、嫁をダマくらかして金を奪うことに血眼になっている。
もう10年近く、こんなギリギリ切り詰めた生活をしている。
どこから道を踏み外したんだろうか。

借金だよなー、やっぱり。

■サラ金ファースト!サラ金ファースト!(byトランプ)

毎月給料日を迎えると、真っ先に銀行に向かう。まずはサラ金への返済だ。
特に中小のサラ金は、支払いが1日でも遅れると、すぐに“一括返済”と迫ってくるから面倒だ。
だから何より先に返済をする。“サラ金ファースト”の生活

とはいえ、ひと昔前みたいに、取立て屋がバイクに乗って自宅に押しかけて来ることは無くなった。
よく来たよな~、マル●
オレの借金の想い出はマル●から始まる。

今でこそ、お洒落なファッションビルを運営する会社だが、元は金貸し。
日本で最初のクレジットカードを発行した金融屋である。

時は昭和。オレがまだ小学生の頃の話。
当時家族(父母兄オレ)で住んでいたボロアパートに、借金取りの“マル●軍団”が来た時はパニックになったものだ。

当然、オレのクソ親父が借金をしていたのだが、少しでも返済が遅れると、すぐにバイクに跨って何人かの“督促軍団”がやって来るのだ。

奴等はアパートに着くや否や、“ダンダンダンダン”と大きな足音を立てて階段を昇ってくる。
そして2階の我が家の前で止まると、もの凄い力でドアを叩く

“ドンドンドン!” 「マル●でーす!」
“ドンドンドン!” 「温湯さーん!温湯さーん!」
“ドンドンドンドンドンドンー!”
その衝撃で窓ガラスはガタガタと揺れ、ボロアパート全体がミシミシと軋むほどの強さである。

“貸金業規制法”が改正される、はるか前の出来事。
取立て時間の規制も何もないのでやりたい放題、朝だろうが夜だろうが奴等はやって来る。

我が家の対応策はただ一つ。
“居留守”だ。

「マル●か…」
複数のバイクの停車するエンジン音を聞きつけ、親父が低い声でそうつぶやく。
一家団欒でささやかな晩飯にありついていた一同は皆凍り付く
すると親父は無言のまま、玄関から一番離れた部屋(といっても二間しかないのだが)の窓際に家族を集め、中腰体制を取らせる。

そして親父は右手の握り拳をグッと宙に掲げる
これは家族全員に“息止めろ”というサインである。(ア・イ・シ・テ・ルではない)
我々はまるで軍隊のように一糸乱れぬ規律の取れた動きを取り、親父に従う。

サラ金ファースト!サラ金ファースト!(byトランプ) 男性高収入求人ドカント

何しろボロアパートだ。
下手に動くと“ミシッ”と床の音がするし、コンディション次第では“カラカラカラ~”と隣の部屋の放屁どころかトイレットペーパーを巻く音すら聞こえてくる通気性の良さなのである。
一度、オペレーション中に咳払いをしてしまった兄には、親父から鉄拳制裁が下されたこともある。

「温湯さーん、電気ついてるやんけー、おるんやろー?」
「居留守はアカンでー、今日は何やー?カレーかー?」

そう、カレーなのである
晩飯がカレーなのも、電気が消せなかったことも、それなのに居留守ミッション中なのもご近所一帯にアナウンスされるのである。
しかし我々は動かない。ひたすら息を止めて動かない

「…」
10分、20分…。

「温湯さーん、また明日来ますわー。ええ加減にしといてやー」
このまま永遠に続くかと思われた“マル●襲来”も、奴等が荒々しく階段を降りていく音と共に終了する。

親父が宙に振り上げ続けた右拳を下ろすと、家族一同がやっと息を漏らす。
“フーーーーッ”

そして母が無言で冷め切ったカレーを温め直す。

親父はたいていこの“使徒襲来”の後、照れ隠しのように言うのだ。
「マル●の取り立ては凄いなあ、この会社伸びるぞー!株でも買っとくか?

そんな生活を送ってきたオレは、本当に借金を憎んだ。

ダメ親父のことはもう諦めていたが、“オレは絶対に借金なんてしないぞ”と幼心に誓ったものだった。