キャバクラとセクキャバのボーイの仕事(前編)~接客や仕事内容を徹底比較!

キャバクラとセクキャバの男性スタッフ(黒服・ボーイ)~接客や仕事内容を徹底比較! 男性高収入求人ドカント

■都心の繁華街…とある雑居ビルでひっそりと営業するBAR。

時間は午前2時。
またいつものBARに向かってしまう。
カウンターには数人の客。その中の見知った顔がこちらに向かって手を上げた。

「久しぶりっすね、ライターさん。調子はどうっすか?」

男はそう言いながら、隣の席を私に勧めた。

「いやあ、何とか生きてるよ」

この男の名はえっと…、確かセイヤ君だったか…。
年の頃は30歳ぐらい。この街にあるセクキャバ(セクシーキャバクラ)で働いていたはずだ。
しかし何だろう、前とは少し雰囲気が変わったような…。
スーツ姿なのは相変わらずであったが、今日は何というか、いつもより“パリッ”としている気がする。

「少し雰囲気が変わったね?」

私がセイヤ君に問いかけると、あらぬ方向から声が上がった。

「セイヤは“セクキャバ”から“高級キャバクラ”に転職したんだよ!」

振り向くとマスターが私たちの前に来ていて、いつものバーボンロックを私の前に置いた。

■セイヤ君は、セクキャバからキャバクラのボーイになっていた。

「そのまま働いてりゃあ、若い女の子のオッパイが毎日拝めたのよぉ…」

マスターが心底もったいなさそうに言うと、セイヤ君は思わず苦笑いした。

「そう言えば、最近オッパイ見てねぇなぁ…」

遠い目をしてそうつぶやくセイヤ君に私は聞いてみた。

「何でキャバクラに転職したの?」

「それはですね、俺はこれからも“水商売一本”で生きていこうと思ってるんすよ。だから一度はキャバクラ、それも高級店で“接客”ってヤツを身に付けたいと思ったんすよ!」

「へぇ、なるほどね…」

とは言ったものの、彼が何を言っているのかイマイチ理解出来なかった。
“接客”なんてセクキャバにもあるだろうに…。

「キャバクラとセクキャバのボーイって、そこまで違う仕事なの?」

するとセイヤ君は答えた。

「セクキャバもキャバクラの一種なんですけど…。ちょっと、いや、かなり違うんですよ」

へー、そうなんだ。ちょうどいい、今夜のネタはセイヤ君の話にしよう。

■キャバクラとセクキャバのボーイ、仕事内容に違いは?

セイヤ君は澄ました顔で言う。

「一番の違いは、オッパイが拝めるかどうかってことです!」

「そりゃ分かってます」

するとセイヤ君は、ハイボールをグイっと飲んでから仕事内容について語った。

「まあまあ聞いて下さい。ボーイの仕事って、まずは掃除や買い出しなんかの“開店準備”にキャスト(女の子)の“出勤確認”から始まって…。オープンした後はお客さんの“ご案内”やフロアーでの“ウエイター業務”ですよね…。後はキャストの“管理”、そんな感じで…。この辺はキャバクラもセクキャバも同じなんですよ」

キャバクラとセクキャバのボーイ、仕事内容に違いは?

■キャバクラのボーイは“大人の社交場”の一員としての接客。

ウンウンと頷く私を横目で見ながら彼は話し続ける。

「キャバクラって、豪華絢爛な店内にソファーがズラーッと並んでいて、綺麗なドレスで着飾った女の子達がお客さんと席を共にする、“大人の社交場”ですよね。俺らボーイは、そんな店内をウエイター業務をしながら回るんですけど、その際の身のこなしや話し方、服装に至るまで、“大人の社交場”の一員として“ふさわしい振る舞い”をしなきゃダメなんですよ。ボーイがヨレヨレのスーツ着てふんぞり返って歩いてたらダメでしょ?」

「なるほど、“大人の社交場”の一員か、格好良いね」

「もちろんキャバクラの主役は女の子(キャバ嬢)ですけど、明るくオープンな場所で高級酒やフルーツを提供したりもするので、ボーイの身なりもキチンとしていないと雰囲気が壊れちゃいますよね。お客さんは高いお金を払って来店しているのに、ボーイが汚なかったら台無しっすからね」

「そりゃそうだ、気分が悪くなるよ」

「それに、高級店になればなるほど、キャストを指名するお客さんも多いので、失礼がないように気を配らないといけないです。キャストから『○○さんのボトルを出して…』なんて言われる前にテーブルに持って行く…みたいな」

「おー、それは大変な気遣いだね」

「後は、キャバクラの方がお客さんとのお付き合いが多くなります。キャバクラは会話を楽しむお店だから、お客さんとキャストのトークを盛り上げるためには、ボーイも会話に参加して協力したり、キャストと一緒にアフターにも呼ばれたりしますからね。やっぱ大切な常連さんだと断れないっすから…」

「へー、そんなお付き合いもあるんだ…」

「でもセクキャバだと、そこまでの接客は求められないっすね…」

セイヤ君は言葉を切り、少し考えてから言った。

「キャバクラとセクキャバでは、お客さんの“目的”が違いますから…」

キャバクラのボーイは“大人の社交場”の一員としての接客。 男性高収入求人ドカント

■キャバクラとセクキャバでは、お客さんの“目的”が違う。

「キャバクラに来るお客さんは“大人の社交場”で女の子とお酒とトークを楽しむ、といった感じですけど、セクキャバに来るお客さんはモチロン、セクシーなサービスを求めて来店しますから。セクキャバの別名は“おっぱいパブ”とか“お触りパブ”ですからね…」

セイヤ君が“おっぱい”と言う度にマスターがピクピク反応しているのは無視しながら…。

「そういった客層の違いが、接客の違いにも現れると?」

「セクキャバでも、キャバクラのお客さんみたいにヘビーな指名客もいますけど、たいていのお客さんはライトなノリの人が多いですね。会社の仲間や友人と飲み会の後に寄ってく、みたいな感じで刹那的っすね」

「キープボトルを覚える必要もないと…」

「そうっすね。キャバクラのお客さんは周りを見る余裕があるから、俺らボーイの姿も目に入ってるんですよ。だけどセクキャバのお客さんは、女の子の体やオッパイに目を奪われてるからボーイなんて“ノー眼中”なんですよ(笑)。俺らもお客さんの視界に入らないようにしますしね」

なるほど、と私は大きく頷く。

「でしょ?それにセクキャバは店の構造なんかも違いますから」

「店の構造?」

私が首を傾げると、セイヤ君はこちらを覗き込むようにして言う。

「ライターさんって、セクキャバに行ったことありますよね?」

「うん、だいぶ前だけど…」

「その時のセクキャバの店内って、どんな感じでした?」

「ウーン…確か暗かったような…ユーロビートがうるさかったような…」

セイヤ君は続けた。

「キャバクラは、フロアーがオープンで店内を見渡せるような造りが多いんですが、セクキャバは照明を暗くしたり、各席に敷居を立てて“ボックス状態”にしてるお店が多いんですよ」

「あーそうだったかも…」

セイヤ君は笑いながら続ける。

「やっぱり女の子をアレやコレやと撫でたり触ったりしてる姿を、ボーイや他のお客さんには見られたくないですからね、そのための配慮です」

なるほどー、と私はさっきよりも大きく頷く。

「実はボーイからは、しっかり見えてるんですけどね(笑)」

キャバクラとセクキャバでは、お客さんの“目的”が違う。