仕事情報誌ドカント

KABA.ちゃん KABA.ちゃん
 ピンクレディーに憧れ、懸命にフリを覚えていた小学生“男子”カバシマ君。「ダサいからイヤ」なんて言っていたあだ名“カバちゃん”を、“KABA.ちゃん”に変え、紆余曲折ありながらも芸能界に入るという夢を実現させてしまった。
そんなKABA.ちゃん流、あせらず、へこまず、挫折せず。明るく前向きに夢を実現させる方法とは!?

INTERVIEW /佐々木竜太 PHOTO/谷口達郎

---まず小さい頃のお話をお聞きしたいのですが。
もともとこんな感じで…。ナヨナヨしてたし、女の子の友達が多かったです。女の子といつも遊んでました。ピンクレディーが好きで、仲良しのコと、よくフリ真似とかしてましたね。でも近所にいたケイちゃん役のコが引っ越しちゃって、解散しなきゃいけなくなったんです。で、それをウチの兄に相談したら、『ソロ活動すればいいんじゃない?』って言われて…。さらに『ソロ活動するんだったら芸名もつけたほうがいいんじゃない?』って…、自分で新しいアイドルを開発しちゃったんです。弟とその友達を集めて定期的にコンサートを開いてました。兄、弟と兄弟仲がいいんですよ。

---元々、妄想癖とか空想癖が強かったんですね。
結構、夢見がちでしたね。こうなればいいなとか、ああなればいいなっていつも思ってました。とにかくちっちゃい頃から芸能界に興味はありました。ただなんか母親に放浪癖があって、いなかったことが、結構、自分の中では大きくて。なんかそれをみんなに、バレたくないから。バレないようにするには、いるように振舞っていなきゃいけない…。

---ある面で自分を演じていたわけですね。
そう、人に自分の弱い部分をあんまり見せたくないの。いつも弟と2人ぼっちだったり、結構、家族がバラバラだったので、ちょっと寂しいから、こう人の目を集めたいみたいのもあったのかもしれないですね。

---想像力が寂しいというマイナスの感情をカバーするための手段だったと。
でもそれは今思い返せばということで、実際ちっちゃい頃、特に寂しいと思ったことないかも。逆に親がいないから、家がお兄ちゃんの友達とかのたまり場になっちゃって、そういう風に人がいるのが楽しくなっちゃったり。あんまり家族にガヤガヤ言われないみたいな。でも時間が経って考えてみると、それは裏返しで本当は寂しかったんじゃないか? 大人になってそういう風に思う…。

---KABA.ちゃんなりの幸福の定義とは?
争いごとがなくて、なんか別にお金がなくても、いつも自分が信頼してる人が周りにいてくれるのが幸せな気がする。あと、帰る場所があるということ。これが意外と幸せかも。今まで家族がバラバラだったんで、帰るっていったらお姉ちゃんの家とか、弟の家にオジャマするとか、そんなんだったけど、母親が戻ってきて、 父親と一緒に住みだして、なんかこう実家みたいのができた。帰ると必ず2人いる。そこにみんなが集まるっていう感じで。

---仕事の話を伺います。例えば、振り付けのアイディアが出ない時とかの対処法は?
全然離れる。違うこと考えて、違うことやったり、散歩したりお出かけしたり。まったく仕事と関係ないことを考えて冷静になろうとするんです。『あ、振り付けしなきゃ』と思うまで。煮詰まってる時って、こう、まっすぐ、一点の見方しかできないんですよ。いろんなことを見ようと思ってても、“ココ”しか見ていないから結局同じなんですよ。発想の転換もできないし。だから一回これを取り壊すんです。そうすると“ココ”しか見えてなかったものが、違う角度から見えるようになるんで。自分はそうやってます。煮詰まっている時って絶対、同じところしか見えないから。

---粘り強く物事をやりきる性格と見受けましたが、どのように培われたのですか?
ん〜難しいなぁ。多分ウチが貧乏だったせいだと思う(笑)。そういう意味で貧乏でよかったって思う。欲しいモノを与えられず、それ、欲しいんだったらどうやって買う? うん、自分で一生懸命働いて、お給料もらってそれで買えばいいんじゃない? という…。

---そうですよね。小さい頃、ビニール袋で衣装を作ったりとか。貧乏=工夫ですよね。
負けず嫌いなんですよ。やっぱり、こう、そう見られたくないみたいなところから来てるのかな。自分で自分の負けを認めたくないの。挫折する人達って人のせいにすることが多い気がして、好きじゃない、そういうの。やってみてからでいいんじゃない? って思うし。あとね、やったこともないのに、判断されるのが嫌いなんですよ。やらせてもないのに、やらせて時間が経ってできる人もいれば、最初からできちゃう人もいるしみたいな。やってみないと分からないじゃないですか。

---あと、ものすごくポジティブ発想の持ち主だと思いますが、基本的に悪いことは想定しないんですか?
でもなるようにしかならないかなって思っているところがあって、なんか悪いことがあっても、あ、これは今、自分で経験しなければいけないことなのかな。って思っちゃうんです。そういう風に取っちゃう。変えることができないことは、あ、これは今、自分が勉強しなくちゃいけないことなんだって。

---自分の身の回りに起こった状況は良いも悪いも常に必要なことだという風に…。
そういう風に捉えるようになりましたね。お兄ちゃんがそういう考え方なんですよ。なんか食べようと思っても、そのお金がなかったら、あっ、これ食べるなってことなんだってことなんだって考えちゃう人なんで。

---お兄さんの影響が大きいんですね。
兄の影響が結構、大きいかもしれない。dosの活動が終わって、なんにもなくなった時に、アドバイスをくれたんです。『上見たんだったら下も見ておきなさい…』って。『底を見たら、あとは上がって行くだけだから』と。そこからヒントを得て、そっか、じゃあ同じバイトしなきゃいけないんだったら、楽しくやったほうがいいよなって思って。で、楽しくやるんだったらどうすればいいのかな? って。その辺で結構、学びました。

---一度、上を見ている分、へこんだんじゃないかなと思うのですが。
へこみましたよ。そこをうちの兄は気付かせてくれたんです。お兄ちゃんはアメリカで外人に肩をぶつけられて『痛いから20ドル出せ』と言われたけど、逆に『オレのほうがもっと痛いから50ドル出せ』って言い返した人(笑)。その外人は逃げていっちゃったそうです。自分は好き、その考え方って(笑)



---結局、ポジティブ発想のポイントは流れに身をまかせて、悪い状況でも必要なことだと考えることなのでしょうか?
もともと、そういう考えする人でもあったんですけど…。あと思い付きとか。意外と自分のカンを大事にする。

---具体的には?
今のタイミングでやったほうがいいなと思えばやるし。この仕事受けないほうがいいかなと思えばなるべく止める。…で、それで受けて、ホラやっぱりということが多々あったから。この人と仲良くしてると、なんか自分がとばっちり食いそうって思うと、それが何年か後に全然非もないのに、私のせいにされてるみたいな…ことがありました。

---恋愛においてもストレートということですが、男性は基本的に女性を好きになるじゃないですか。思いを遂げる時のジレンマって?
いや、でもすぐに言っちゃうからー。好きな人には好きってすぐ言っちゃう。もちろん拒否られることもいっぱいあります。『そうなんだ。うれしいけど応えられない』というのもいっぱいあるし…。でも言ってみないと始まらないもんね。その先、付き合いたいと思っても、付き合い始めるにはやっぱり言い出さないとダメだし。言ってくれるのを待っていても始まらない。

---慎重に様子を見ながらというのは。
好きなら好きって表現しちゃって、相手に伝えちゃっていいんじゃない? って思ってて。それで運よく付き合えるようになれば、ラッキーじゃん。恋愛に発展するような人に好きって言っていないから。普通に女の人のことを好きな人に告白をして、それが実るわけないっていうのが前提にあるから。それでいいほうに転がればラッキーじゃん、みたいな。失敗しても当たり前。だからいけちゃうんです。

---それもポジティブ・シンキングのひとつですね。結果がダメに近いことでも、上手くいけばラッキーだという気持ちで行動する、と。
でも慎重に考えるところもいっぱいありますよ。仕事の場合は特に。明日大丈夫かなとか、ちゃんと台本覚えられたかなとか。結構、そういうところは細かいですね。悪いことを考える、悩む時はトコトンまで悩むことをオススメします。

どうなると思いますか? 悩むことに飽きちゃうんですよ、悩んでいる自分が嫌いになるんですよ。『クヨクヨしていたのがバカみた〜い』って感じに。『あぁ、面倒くさい』って。好きなモノは好き、って言っちゃう。ストレスにしない、それが私の幸せです。



---自分の人生全体でダンス以外で影響を受けたことってどんなことが挙がりますか?
ダンスの目的でニューヨークに行ったこともそうだし、お兄ちゃんのアドバイス的なものもそう。大きい存在で、自分が変わった気がする、お兄ちゃんに性格が似てきましたね。もっと遡れば、母親が家出をしていなければ、人生とか性格とか…こうなってなかったかなというのもあるし。

---その渡米で、ニューヨークで受けた影響で大きいものは。
感性ってなかなか自分で開花したり身につけるというのは難しいと思うんですけど、なんか『こういうのもアリなんだな』とか、発想が柔らかくなれたというか。

日本ってレールを敷いたキレイな考え方みたいなものがあるじゃないですか、でも、アメリカって発想が自由なところがあって、『こうじゃなきゃいけない』 みたいのがない。ダンスはもちろんそうだし、生き方とかも自由な気がした。もちろん差別とかもいっぱいあるんでしょうけど、1人1人自分自身に、自信を持って生きている感じがすごい好きだった。見習わなきゃって思った。

---普通の人でも空想力、想像力というものを豊かにしてポジティブに生きる方法…を聞いたらどんな答えになりますか。
ただ、『ああ、こうなったら幸せだな〜』ということとか。『こうなったら楽しいな〜』っていうことをすぐ考える。イヤなものとイイものって、結構、背中合わせだから。イヤなものを考えたら、絶対イイことを考えれば…みたいな。帳尻合わせ、プラスマイナスゼロの法則。これって自分の定義があって、何でもそう、仕 事でも思考でも、感情、センスでも。

イイって言われることもあれば、ダメって言われることも絶対ある。イイって言う人がいれば、ダメって言う人が絶対いる。っていうのが絶対に頭に入っているんですよ。

それを常に頭に入れておけば、どんなにネガティブに、落ち込むことがあってもその逆を考えればいい。今は悪い状況に、環境にいるけど、ずっとそうじゃない。悪いことが重なれば、次に絶対、良いことが起きるから。でも何もしないで待っているだけはダメ、今を頑張れば、そうなるんだって。

---それって、どんな状況の場合ですか?
え? 何でもいいですよ。例えば、好きな人に告白できないんだったら、告白して付き合えるようなことを考えればいいじゃん。すごい簡単なことよ。自分はネガティブにあんまり考えないから分からないけど、基本的にイイってことを考えてたとしても、世の中、常に裏が、反対があるよっていうのが頭に入っているってこと。だから、ネガティブに考えがちな人はその逆を考えればいいんじゃない。

---見習いたいという人、多いでしょうね。
最初から諦めたら何も始まらないし。実現させるために、過程を考えて、そのために何をすればいいのか、アドバイスになるかなぁ。
INFORMATION
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ムック「KABA.ちゃん発!オ・マ・カ・セ エアライン」
(主婦と生活社)

“KABA.ちゃんの言葉が、アナタを心の旅にいざないま〜す”のキャッチフレーズ通り、元気の出るひと言がギッシリ詰まっている。


「ようこそ、KABA.ちゃんキッチンへ」
(ソニー・マガジンズ)
「定番のおいしいおかず」から「ホームパーティレシピ」、「あこがれの料理を作りたい!」「福岡の味、わが家の味」まで1冊丸ごと料理本。


 10月からスタートのテレビ通販番組「ポシュレ深夜版」(日本テレビ)に店長として出演。

 また、きむらゆういちさんのベストセラー絵本を映像化するアニメ映画「あらしのよるに」(杉井ギサブロー監督)で声優に挑戦。12月10日公開。

公式ブログ
http://anthem.co.jp/blog/kaba/


PROFILE

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KABA.ちゃん(36)
1969年6月19日生まれ。福岡県出身。

 本名/椛島永次(かばしま・えいじ) 趣味/旅行・映画鑑賞・想像

 1996年に小室哲哉プロデュースによる3人組ダンスユニット「dos」のメンバーとしてメジャーデビュー。

  デビュー曲の「Baby baby baby」をはじめ、シングル3枚、アルバム1枚をリリース。「日本レコード大賞」や「日本有線放送大賞」の新人賞など受賞多数。

  現在は数多くのアーティストの振り付けを担当する一方で、テレビのバラエティー番組やドラマでも活躍。CMやトークショーなどのイベント出演、雑誌の連載や書籍の執筆など引っ張りだこで、活動は多岐に渡り大人気だ。



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