仕事情報誌ドカント

我修院達也 我修院達也
「鮫肌男と桃尻女」で異色な役柄を開拓し、フジテレビ月9「ビギナー」にレギュラー出演。その後、大人気ドラマ「電車男」にもレギュラー出演。その他、アニメ界の巨匠・宮崎駿監督の「ハウルの動く城」では声優業もこなすなど、精力的に芸能活動を続ける、我修院達也。進化を忘れないベテラン怪優が今回挑んだのは、映画「逃亡くそたわけ〜21才の夏」「ROBO☆ROCK」の2作! ポジティブに人生を切り拓く彼の姿勢は、知っておいて損ナシ!!

Interview/内埜さくら Photo/大駅寿一

---まずは今秋公開される映画「逃亡くそたわけ〜21才の夏」について。我修院さんが演じた役柄について教えて下さい。
主演の美波さんが演じた花ちゃんという女の子が鬱病で、ボクは彼女の幻想の中にだけ登場する日本兵。実在しない人間を演じさせて頂きました。


---難しそうな役ですね。監督からアドバイスなどは?
いや、全部お任せでしたよ。ただ、実在しない人物を演じる場合はさじ加減というか、テンションの調節が大変なんですよね。やり過ぎたと思うぐらいに演じて、そこから削っていく作業が必要なんです。今回は、やり過ぎたかな? と思ったら監督からOKをもらっちゃいましたけどね(笑)。


---この作品では、かなりハイテンションな我修院さんを見られるということですね(笑)。
以前『鮫肌男と桃尻女』に出た時、テンションを高くしすぎて浅野忠信くんが本番で吹き出してしまったんです。それより更にハジけてますからね。動きも小動物的で、カメラを早回ししているかのよう。コミカルに仕上げたつもりです。


---我修院さんが演じた日本兵について、もう少し詳しく聞かせていただけますか。
花ちゃんの幻覚には、ボク以外の架空の人物も5人登場するんです。中でもガッツ石松さんと、お笑いコンビ・シオコショウのベルナールくん。この2人は、とにかく怖い。彼らが出てくるだけで、花ちゃんは怯えてしまうんです。だけどボクは、鬱病を緩和させようとする癒しの存在。ボクだけが、彼女の味方なんです。


---なるほど。ガッツ石松さんとは、現場でどんな話を。
ベルナールくんが、この撮影が終了した後、K|1に出たんですよね。彼は『アゴ上げちゃ駄目だ!』などと、ガッツさんに指導を受けていましたよ。元世界チャンプから教えて頂けた訳ですから、彼は幸せ者ですよね。ボクはガッツさんから、精神的な面でとてもためになることを教えて頂きました。ボクにとって、仕事は闘いです。スポーツに関する精神論は、ジャンルは違えど自分の仕事にも応用できますからね。でも、すごく真面目にお話しされた後『これだけやっておけばOK牧場!』って言ってましたけど(笑)。


---あはは。しっかりとオチはあったわけですね(笑)。
ガッツさんが演じた役は、見ていて気の毒になるほど大変そうでしたけどね。セリフがカタカナの羅列なんです、呪文とかお経のように。脈絡もリズムもないから、覚えようがなかったと思いますよ。


---他に、撮影で印象に残ったエピソードなどがあれば。
ボクね…雨男なんです。ロケ地の九州に到着したら、嵐でした。ロケバスが走行中に、生木が道路に倒れてくるほどひどい台風。撮影どころではなく、スタッフさんは宴会を開いていましたよ。まぁ、悪天候のおかげで美味しいお酒が飲めましたけどね。


---まさか、映画「ROBO☆ROCK」の撮影でも雨が降ったとか…!?
もちろん(笑)。撮影は地下のスタジオでしたから、雨の影響は受けずに済みましたけどね。歌手として屋外ステージに立つ時も、いつも雨ですよ。前座の歌手が歌っている時は晴れてるのに、ボクの曲のイントロが流れると黒い雲が近寄って来るんです。で、歌い終わると雨が止むっていうのがお決まりのパターン。逆に、狙うとダメらしくて。雨が降らないので放水車を使って撮影して『撤収!』の掛け声がかかった途端に雨がザーッ、とか。




---映画「ROBO☆ROCK」では、「逃亡くそたわけ〜21才の夏」に出演している美波さんと、またしても共演でしたね。
でもボクは遠藤憲一さんとしか撮影現場では会ってないんです。だから実は…知らなかったんですよね。美波さんが同じ映画に出てるって。台本を読んで、初めて知りました。


---こちらの作品では、どのような役を?
女性下着マニアの神様です。パンツとパンティーの違いを真面目に説くという…。出来上がったチラシを見たら、“神様”が“男”に変更されていましたけど。それじゃ、ただの変態でしょ、みたいな(笑)。


---遠藤憲一さんとの掛け合いも楽しみです。
遠藤さんにも必要以上に近寄ってオーバーな演技で笑わせてしまい、NG出させちゃいましたね。ボク、本番になると役のイメージに合わせてガラッと雰囲気を変えちゃいますから。そういえばドラマで、オダギリジョーくんや北村総一朗さんにも同じことでNGを出させてしまったことがありましたね。共演者の方にNGを出させてしまい、申し訳ないと思いますけど…ボクも真剣ですからね(笑)。


---我修院さんは、独特の“キャラ声”をお持ちですからね。
お若い方たちにはあの声しか出ないと思われているのか? ちょっと悔しいですね(苦笑)。営業に行くと『普通の声が出た!』と驚かれるんですよ。以前に、『普通の声で演技して下さい』というオファーをもらったことがあって。喜んで現場に入ってカメリハしてたら『ちょっとテンション上げて下さい』とお願いされたんです。これ以上声を高くしたらキャラ声になってしまうのに…と思ったら結局、キャラ声のまま本番を終えました。それが自分に求められていることなんでしょうね、今は。


---今こうしてお話しされてる我修院さんの声は、落ち着いていて渋いですよ。
ありがとうございます。こういう普通の声の役をやりたいですね!! 現在やっているキャラ声は、あくまで個性としてわざと作っているだけですから。




---今後、チャレンジしてみたい役はありますか。
特技の空手を活かして、ブルース・リーのようなアクションものに出たいですね。器械体操もやっていたから、スタントなしでOKなんです。25年以上、毎晩筋トレも欠かしてないんですよ。腕立て伏せと腹筋をしないと、フロには入らないことにしてるんです。もう、日課の一部ですね。胸筋も動かすことができるんですよ〜(と、胸筋をピクピク)。鍛えずに体を老化させてしまうのがイヤという理由もありますけどね。


---芸能生活50周年を迎えて今もなお、多方面で活躍する原動力はどこから生まれるのでしょうか。
歌手としては…ヒット曲がないからでしょうね(笑)。1曲でもヒットがあれば、“一発屋”としてナツメロ歌手になってしまっていたかもしれません。守りの態勢に入ってしまうでしょうから…おそらく。ですから、これから音楽で一発がんばって当てたいと思います。


---役者としては?
キャラ声を使わない普通の役者として認知されたいという気持ちが、パワーの源ですね。


---ご自身で守り通してきた哲学などはありますか?
とにかく、あきらめないことです! 続けて行けば、夢は必ず掴めるものなんです。よく『これだけやっているのに』と言う人がいますよね。それは思いあがりであって、努力が足りないから夢が掴めていないだけ。ボクも今までの人生、いろいろありましたけど、あきらめなかったからこそ今があるんです。自分の息子が小学生ぐらいの時から、同じことを教えてきましたよ。大人になってから『オヤジの言ってたことは正しかった』と感じてもらえたみたいですね。


---ためになるお言葉、ありがとうございます! では、最後に今後の抱負を!!
昔から、演技、歌、楽器…マルチにこなしてきて器用貧乏と呼ばれてきました。今後もマルチで何でも器用にやりますが、このページを読んでくださった方! これからはボクのことを“器用貧乏”と呼ばずに、“器用大臣”と呼んでください(笑)
INFORMATION
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映画「逃亡くそたわけ〜21才の夏」

“逃げるのに理由なんていらない”おんぼろ車で九州の田舎町を駆け抜ける、大学生の花ちゃんと鬱で入院中のなごやんの2人の前に広がった暑い夏の物語。「わたしの21才の夏は二度と来んちゃもん!だけん、逃げないかんとって!!」。精神病院から逃亡し、様々な土地をおんぼろ車で旅しながら心<脳>の葛藤とともに人々や社会との関わりなどを通じて、何かを感じ取っていくROCKなロードムービー。躁鬱病などを取り扱った本作は、現代日本に急増している“心の病”を、若い2人を通して明るく爽快に描いている。原作は、「沖で待つ」で芥川賞を受賞した絲山秋子の同名小説。現代女性の本音を描き出す、今注目の作家である。

【CAST】
出演/美波 吉沢悠 木下ほうか 吉野公佳 我修院達也 高良健吾 ベルナール・アッカ 中島浩二 つぶやきシロー ガッツ石松 田中麗奈 大杉漣ほか

【STAFF】
監督/本橋圭太 
原作/絲山秋子 製作/牧義寛 配給/シネハウス

【INFO】
10月20日から渋谷Q-AXシネマほか全国ロードショー公開
公式HP

ROBO☆ROCK
ROBO☆ROCK
映画
「ROBO☆ROCK」
自称天才便利屋のマサルは、オタクな男ニラサワから依頼を受ける。それは、ランドツェッペリンという幻のロボットを起動させるためにマサルの声が必要だという素っ頓狂なものだった。一方、マサルはヤバイ運び屋仕事でハメられてしまい、絶体絶命のピンチに。果たしてマサルの運命は? そしてランドツェッペリンは実在するのか!? 監督は「ブリスター!」「スピードマスター」の須賀大観。主人公マサルは「パッチギ!」で高い評価を獲得、その後も出演作が続々と公開中の塩谷瞬。ニラサワには阿佐ヶ谷スパイダースの中山祐一郎を配し美波、本多章一、鮎貝健、遠藤憲一ら豪華キャストが集い、主題歌はザ・クロマニヨンズが手掛けている。

【CAST】
出演/塩谷瞬 中山祐一郎 美波 本多章一 鮎貝健 デニス・ガン我修院達也 村松利史 佐伯新 山本浩司 岡田将生 うえだ峻 遠藤憲一ほか

【STAFF】
原案・監督/須賀大観
製作/モブキャスト・GDH・博報堂DYメディアパートナーズ・メディアファクトリー
VFX制作・制作/ゲネロ・スタジオ 配給・宣伝/アステア

【INFO】
11月、渋谷Q-AXシネマ他、全国ロードショー!ショー公開
公式HP


PROFILE
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我修院達也(がしゅういん・たつや)
我修院達也

56年に映画「異母兄弟」で中村賀津雄の少年時代役でデビュー。その後、作曲家の北原じゅん氏に師事し歌、作曲、編曲を学び、テレビ番組「少年ジェット」「怪人二十面相」に出演し、注目を集める。68年に演歌歌手・桜一平として歌手デビューするも翌年には若戸章に改名。80年、若人あきらに改名。テレビの隠し芸で披露した郷ひろみのものまねで話題になり、フジ・サンケイグループの放送演芸大賞ホープ賞を受賞。91年3月に熱海で釣りをしていて事故に遭い記憶障害になるが、同年の「笑いの王国」(テレビ朝日)での復帰を機に作詞、作曲、編曲、歌手活動を中心に演技派の俳優として展開。93年、現在の我修院達也に改名。98年に映画「鮫肌男と桃尻女」(石井克人監督)の山田役で強烈な怪演を披露し以降、映画やドラマ、CMなどで意欲的に活動。昨年、芸能生活50周年を迎えた。主な出演作に映画「PARTY7」「茶の味」「地獄プロレス」「ワースト☆コンタクト」「赤龍の女」、テレビドラマ「ビギナー」「電車男」など、アニメ映画「千と千尋の神隠し」「ハウルの動く城」などがあり、“怪優”の異名を持つ。

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