山下智道 “ハーブ王子”として活動する野草研究家

『TVチャンピオン極~KIWAMI~』(テレビ東京系)で初代野草・山菜王に君臨。日本サーナ株式会社が販売するハーブドレッシングのオフィシャルモデルを務めるほどスタイルが良く端正な顔立ちをしているが、大の野草マニアの山下智道さん。現在は海外でも活躍する彼の幼少期を振り返りつつ、今後の展望を聞くと――。

目指しているのはアジア野草研究家 人生300年は必要ですね(笑)
野草は“国産のハーブ”です!全種類を研究し尽くしたい。

写真=岡村隆広/『野草と暮らす365 日』( 山と溪谷社) より

──山下さんが野草に興味を持ったのは、幼稚園の頃だそうですね。

「父がエベレストに2回登頂した登山家で山に馴染みがあり、毎日のように生まれ育った北九州の近所に生えている草花に触れる機会を作ってもらっていたんです。3、4歳ぐらいから興味を持ち、5歳頃から正式名称を覚えるようになりました。父方の祖父は漢方を学んでいたらしく、本棚に専門書がたくさん並んでいたのを今でも覚えています。漢方薬には野草が多々使われていますし、祖母も野草好きで。どくだみ茶やよもぎ団子の作り方、スギナ風呂の入り方なんかを教えてもらいました」

──お母様の影響で生け花を習い始めたことも野草好きに拍車をかけたとか。

「4歳から習ったんですけど、先生が植物に詳しくて、活けていたのが山で採取した山野草だったんです。おかげで骨董品も好きになりました。花器や抹茶茶碗や火鉢、雑貨をそろえていた時もありましたね。野草に骨董品と、日本古来のものに囲まれて暮らしてきたので、野草を研究する仕事には、なるべくしてなったのかな、と今は思っています」

──ですが、高校卒業後に上京して芸能活動をしていた時期も。

「中学の英語のリスニング授業で聴いた、古い洋楽に衝撃を受けて音楽家を目指すようになったんです。僕、自分より上世代の昭和の音楽が好きなんです。授業で聴いて『こんな曲を歌ってみたい!』と感じたのは、カーペンターズやビートルズやマドンナでした。プライベートではやしきたかじんさんも聴きます。だから上京後は歌のレッスンに励みましたし、モデルをしたこともありました」

──その後、2015年から日本の野草研究を本格的に再開しましたよね。当時マイナーだった野草を広めるために、最初にしたことは何ですか?

「自分自身に“ハーブ王子”と命名したことです。以降ですかね、野草を知らない人も講座に足を運んでくれるようになったのは。僕は“王子感”がないですし似合っているとも思っていないので(笑)今は野草研究家と名乗っていますが」

──今や講座と観察会、料理教室が大盛況ですが、男女比は。

「9割ぐらいが女性ですが、男性は25歳から80代と幅広い層が参加してくれているので、たまに男性向けの講座も開催しています。男性と女性では、興味を持つ内容が違うんです。女性は食し方や美容への活かし方。男性は、珍しい植物を見つけたがるんです。僕も同じなんですが、男性は観察会に参加するとコレクター欲を刺激されるらしいです。男性は覚えるのが難解なシダ好きが多く、シダの植物研究会は男性だらけです」

──余談ですが、野草に詳しい男性は女性にモテるようになりますか?

「モテるようになると思いますよ。野草は自炊にも活用できるんです。例えば夏に自宅で女性をおもてなしするなら、日本全土の畑によく生えているスベリヒユを。湯がくとモロヘイヤのような粘り気が出てくるので、オクラと山芋と梅干しと一緒に混ぜて、素麺の上に麺つゆとかけたら完成です。簡単ですし『夏バテに効くから』なんて出せば、喜んでもらえるのではないでしょうか。他にはBBQの時に香草を採ってきて、鶏肉の上に置いて香草焼きを作るとか。カレーには山で採ったローリエを入れたらいいですし。野草に詳しくなると、わざわざ桜のチップを使わなくてもヨモギや松で燻製も作れるようになります。ちょっとした“変化球”が投げられるようになるんです。自然の中から食物となる野草をサッと採ることができたら、女性が男性に求める要素の“サバイバル能力”がアピールできて、モテにつながるのではないかと」

──山下さん主催の会が女性に人気ということが証明かもしれませんね。今後のキャリアプランは。

「最近有り難いことに、海外で仕事をする機会が増えているんです。去年からマレーシアやギリシャ、エジプトやネパールにも行き始めましたし、今後は台湾や韓国での教室も開く予定です。海外では現地の野草を使った料理教室や観察会をするんですけど、目標はアジア野草研究家です。海外の野草の魅力を日本に伝えて、日本の野草の良さを海外へと発信できる、架け橋的存在になりたいです。直近だと、日本全国の植物をまとめた書籍を出したいですね」

──目標を実現すべく、かなり勉強されているのがSNSでも伝わってきます。野草情報だらけですもんね。

「野草は“国産のハーブ”であることをもっと広めたいので、約8千~1万種全てを網羅するために、1日10種類ずつぐらい覚えています。たぶん、現時点で勉強し終えたのは4千種類ぐらい。海外の野草も研究したいですし、有用植物の歴史もまとめたい。時間が足りない…人生300年ぐらい必要ですね(笑)」(2019.7.16)

INFOMATION

著書『野草と暮らす365日』身近な場所で出会える野草で、暮らしはこんなに豊かに!季節ごとに活用したい野草約130種類を中心に、その見つけ方や見分け方から、栄養豊富な野草を生かした料理、香りを楽しんだり、部屋の飾り付けをしたりといった楽しみ方まで。“ハーブ王子”の魔法で、野草たちが暮らしのパートナーに変身する、そんな日々の驚きと楽しみを散りばめました。

山下智道(著) 山と溪谷社刊 1512円 発売中


PROFILE

山下智道(やました・ともみち)
福岡県北九州市出身。
野草研究家・作詞家・作曲家・ヴォーカリスト。登山家の父のもと幼少より山・自然・植物に親しんだことが植物愛の基盤となり、的確・豊富な知識と実践力で支持を集める。観察会やワークショップ等、全国を舞台に活躍中。テレビ出演や雑誌の執筆など多数。
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取材・文/内埜さくら