河野万里奈 〝文系〟野球界を盛り上げる12球団〝箱推し〟アーティスト

パワフルな歌声で聴衆を魅了する本格派のアーティストでありながら、行間から滲みでる野球への偏愛を武器に気鋭のコラムニストとしても活躍する、河野万里奈さん。〝12球団箱推し〟を公言し、そのマニアックすぎる独自な視点でプロ野球を俯瞰してきた彼女に、あふれる野球愛の源と選手たちへの想いを訊いた。

つい4、5年前までは全人類がみんな同じぐらいの野球好きだと思ってました。

話し出すと止まらないマニアックすぎる野球愛。

──コアなファンをも唸らせるマニアックな視点の野球コラムで脚光を浴びる河野さんですが、本業はむろん歌手。書くようになったきっかけというのは?
「今年の5月に、約5年半ぶりに再メジャーデビューをしたんですけど、そのときに備えて自分をブーストできる武器をしっかり持っておきたい、っていうのがあったんです。で、ちっちゃい頃から好きだった野球についての発信を積極的にするようになったら、それを見ていた日刊スポーツの方が、野球担当の方を紹介してくださって。その場でオタクトークをしまくって、次にお会いしたときに、自分が気になる選手の『ここが気になる』というのを細かく書いたノートを持っていったら『これはおもしろい!』と。なので、本格的にメディアで書かせてもらうようになったのは、今年のキャンプからなんです」

──〝12球団箱推し〟を公言されていますがそれもずっと昔から?
「父が大分県の別府市出身で、母が兵庫県の尼崎市出身なので、始まりはホークスとタイガースのガチオタから。物心ついたときから親族一同がそろって野球好きだったので、誕生日は決まって球場に連れていってもらいましたし、実家が甲子園の近くにある今はGWとかで帰省するとだいたいみんなで阪神戦に行きますね。ご褒美=野球観戦って感じで、ずっと育ってきたから、つい4、5年前までは全人類がみんな同じぐらいの野球好きだと思ってましたしね(笑)」

──それは紛れもなくガチ勢ですね。しかしシーズン中ともなれば、ほぼ週6で毎日6試合。優先順位をつけないとさすがにフォローしきれませんよね?
「夏休み期間中だと、高校野球もあるので朝から晩まで野球を観て、見逃したりもう一度見直したい試合があるときは、深夜のリプレイ放送でチェックするって感じです。それでも目と端末が足りないので、その時々の〝好き度〟上位の選手さんが出る試合を優先するようにはしてますね。今季一番の注目はファイターズの〝ロンロン〟こと王柏融選手。今季中に行くつもりの札幌ドームで、12球団の本拠地も全制覇できる予定です」

──思い入れのある選手は他にも? SNSからは、ただならぬ〝鳥谷敬愛〟もヒシヒシと伝わってきますが。
「もう〝鳥谷さま〟に関しては別格なんです。私、ちっちゃい頃から言葉でコミュニケーションを取るのがすごく苦手だったのもあって中学に入ってすぐの部活で、部員全員から無視されるっていう経験をしたことがあるんです。まぁ、それ自体は私のことをよく思ってなかったコが『仲間外れにしよう』みたいに扇動したっていう、思春期にはわりとよくある話ではあったんですけど、そういう居場所のなさに絶望していたときに、ちょうど鳥谷さまがプロ入りして。私自身がすごく生きる力をもらったんです」

──下馬評の低さを結果で覆していった彼の姿に、自分を重ね合せたと。
「『地味』だとか『青木(宣親)と交換しろ』だとか、最初は散々な言われようだったのに、そこで変にリップサービスをすることもなく、プレーする背中だけでまわりを納得させたって言うのかな。その姿を見て、鳥谷さまにとっての野球が、自分にとっての歌になるよう、『私もがんばろう』と心底思えたんですね。なので私にとっては支えであり、道標であり、〝第3の親〟と言ってもいいぐらいの特別な存在。コラムを書かせてもらうようになって、グラウンドで練習見学をさせてもらう機会もあったんですけど、直接話したら物理的に死んじゃうんじゃないかと思って、まだお声がけはしたことはないんです。根っからの〝鳥谷チルドレン〟なので」

──愛が深すぎて、文字数がとても足りないので、無理やり話題を変えちゃいますが、12球団を熟知する河野さんが、今季の両リーグベストナインを選ぶとしたら、どんな顔ぶれになりますか?
「一応、私なりに考えてきたんですけど、セ・リーグだと、先発は文句ナシにベイスターズの今永投手。リリーフでタイガースの岩崎優(いわざき・すぐる)投手を挙げたいです。とくに岩崎投手は、成績はもちろん、私が唯一、自分で作詞作曲をした『アイキャントライ』っていう曲を登場曲に使ってくださっていることもあって、個人的にも思い入れの強い選手でもあるんです。ファーストにはやっぱり村上選手。セカンド&サードにはここへ来てブレイクした阿部選手と高橋選手の中日勢を選びました。ショートはもう『他にないからホームラン王でも狙うか』ぐらいの余裕を感じて選ぶのも悔しいですけど、坂本選手しかいないですよね(笑)外野は、ベイスターズの神里和毅選手とも迷いましたがこの3人。今季27試合連続安打とかまでやってのけた西川選手は、『外野にハマってよかったなぁ』と思いながら観ています」

──では、続いてパ・リーグは?
「先発は、開幕後の活躍を見て衝撃を受けた山本投手。リリーフは『困ったら平井』状態に自ら望んでなっている平井投手を挙げますね。不本意な起用法が続いても打率上位をキープしている鈴木選手はファーストで。セカンドには、彼のおかげで今季の野球人生がめちゃくちゃ楽しいので〝ナベリョー愛〟で渡邉選手。サードには、彼を目当てに京セラまで行ったと言っても過言ではないバファローズの中川選手を選びました。内・外野いろんなポジションで出場されてる牧原選手をショートに挙げたのは。『この人をなんとかして支えきゃいけない』というその一心(笑)ビッグマウスでも知られる辰己選手からは、想いを口にして未来を予約する、伏線を回収するために自分を奮いたたせる、その大切さを教えてもらったので勝手に恩を感じてますね」

──かなり〝河野色〟が色濃く反映された人選ですが、ここからさらにシーズンMVPをひとり選ぶとしたら?
「やっぱり10年越しでシーズン規定打席もクリアして、〝春の妖精〟を返上した大学の先輩。マリーンズの荻野貴司選手を挙げますね。これも自分のことになっちゃいますけど、私自身も大学生のときから、春はちゃんと単位を全取りできるのに、冬になると全然ダメっていうサイクルがあって、デビューしてからも、春にシングルのリリースやワンマンライブをしても、その後がなかなか続かないことが多くって。なので、スケールが全然違っておこがましいですが、打率ランキングの上位にも入る今季の荻野選手の活躍には、私としてもすごく勇気づけられるところがあったんです」

──となると、河野さんご自身もそんな〝春〟の呪縛からは卒業を?
「一応、11月20日に2枚目のシングルをリリースする予定にはなっているので、現状では〝卒業見込〟ですかね。私自身の今後の目標としては、ちゃんと生きざまを歌に乗っけて、自分の言葉をベストな状態で届けられる歌手になっていくこと。戦う人たちの背中を押したり、自分自身のがんばる背中で勇気を届けられるような、具体的な曲をこれからも作り歌っていけたらと思ってます」(2019.9.14)

【河野万里奈が選ぶ 2019私的ベストナイン】

【セ・リーグ編】【パ・リーグ編】
先発)今永 昇太(De)先発)山本 由伸(Bs)
継投)岩崎 優(T)継投)平井 克典(L)
捕手)梅野 隆太郎(T)捕手)森 友哉(L)
一塁)村上 宗隆(YS)一塁)鈴木 大地(M)
二塁)阿部 寿樹(D)二塁)渡邉 諒(F)
三塁)高橋 周平(D)三塁)中川 圭太(D)
遊撃)坂本 勇人(G)遊撃)牧原 大成(H)
外野)西川 龍馬(C)外野)荻野 貴司(M)
   近本 光司(T)   ブラッシュ(E)
   ソト(De)   辰己 涼介(E)
 DH)王 柏融(F)

INFOMATION
河野万里奈シングル『真人間入門』
阪神・岩崎優投手の登場曲『アイキャントライ』もカップリングに収録の再メジャーデビューシングル。現在、2ndシングルの楽曲を製作中で9月14日(土)青山RizMでのトーク&ライブイベントで詳細が明らかに。テイチクインペリアルレコードより好評発売中。


PROFILE
河野万里奈(かわの・まりな)
5月21日生まれ 福岡県出身。
「第4回全日本アニソングランプリ」でグランプリを獲得し、テレビアニメ「Aチャンネル」OPテーマ『Morning Arch』でデビュー。以降、数多のアニメ作品でテーマソングを担当する。また、生粋の野球好きとして知られ、独自の視点で綴る野球コラムでも目下、注目度が上昇中だ。
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取材・文 鈴木長月/撮影 おおえき寿一