田家大知さん ゆるめるモ!Pのアイドル運営術とは!?

路上で自ら女の子をスカウトし、業界の経験・コネがゼロの状態からアイドルグループを立ち上げた田家大知さん。そのグループ・ゆるめるモ!は、ワンマンライブで1000人以上を集客するような規模にまで成長した。「いつも無茶で無謀」という壮大過ぎるビジョンと、実は緻密なマネジメント能力が同居する、サプライズだらけのアイドル運営術について話を聞いた。

ゆるめるモ!での活動で学校の教科書に載るような考え方の革命を起こしたい!!

「体制F○CK!」と言うと若い子は「ん?」という反応

──学生時代は海外放浪してたんですよね。
「バンドをやっていて音楽オタクだったので各国の音楽に触れながら世界を一周しました。卒業後は海外に関わる仕事もしたかったんですが、そのきっかけも掴めずズルズルと国内でライターの仕事をしていて、途中から『文章の仕事も向いてないな』と思うようになって。そんな時期に原発事故があり、『海外に避難所を作ろう!』と思ったんですよ

──急かつ壮大な話ですね……。
「僕の計画はいつも無茶で無謀なんです!あとその頃は、就活の失敗で自殺する若者のニュースにも凄く違和感があって。『日本の大企業に入れなきゃ人生終わりって、おかしいでしょ』と思ったんです。それでアジアに目を向けてもらうためのウェブサイトを始めたんですけど、PVは1日何十とかでした

──その頃に〝ももクロ〟と出会って。
「マレーシアのライブのレポートを書いて、現地でオフ会も開催しました。そしたら60人くらい人が集まって、日本人は初海外の人ばかりだったんです。そこで『人を海外にまで動かすアイドルって凄いな』と思ったのが、アイドルグループを作るきっかけでした

──そこから何のコネも経験もなく、路上のスカウトでメンバーを集めたのが、また無謀で凄いです!よく女の子もついてきたなと。
「路上で計300人くらいに声をかけて、最終的にメンバーになってくれたのは4人でした。その頃からのメンバーのけちょんには、『僕についてきたことが君の才能だ』って言っています(笑)

──ゆるめるモ!はニューウェーブ等をベースにした音楽性や、名盤をオマージュしたジャケットで話題になり、コアな音楽好きにも支持されましたよね。一方で新著の『10年続くアイドル運営術』では、それだけでは届く層に限界があったとも書かれていました。
「自分みたいな変態的な音楽好きは数が限られているんですよね。カルト的な人気でもライブはクアトロ(収容人数750人)止まり……というグループは多く見てきましたし

──それで、若者に人気の邦楽ロックの要素なども取り入れるようになるわけですね。
「ガラパゴス的なジャンルと言われますけど、多くの若い人達の心を掴んでいる音楽ですよね。僕も若者に人気の邦ロックバンドを浴びるように聴いて本気で研究しました。そうやって作った曲は賛否両論ありましたけど、やっぱりパワーが凄いですし、新しいファンも増えた楽曲でした

──逆に、コアな音楽好きのファンには不評な部分もあった……と。
「離れていく人もいましたね。でもゆるめるモ!は、切羽詰まって袋小路に迷い込んでいる若い人達を救いたいグループ。自分みたいな音楽好きのおじさんにも聞いてほしいんですが、その人達が喜ぶ要素だけだと、新陳代謝が起こらないと思ったんです

──世の中に対して感じる窮屈さや違和感の内容が、田家さんの世代と若者では違う……という話も面白かったです。
「学校の窓ガラスを割るような反抗期もないみたいですね。僕が『体制F○CK!』みたいなことを言うと、『ん?』って反応が多いですし(笑)昔よりも何事も放任で寛容になったぶん、何かに歯向かうエネルギーもなく、ただ退屈で、死ぬまで時間が過ぎるのをただ待っている……みたいな人が増えたように感じています。そういう子たちの刺激になるものを貪欲に提供していきたいです

──アイドルグループの目標も「オリコン1位」「武道館でライブ」等ではなくなってきている……という話も本にはありました。
「握手会を沢山やってCDを積ませれば、枚数が稼げることはバレちゃいましたし、そこは本当に変わりました。武道館を目標にしていたグループでも、記念受験のようにライブをやって解散しちゃうことも多いですし。だから数字的な目標を持つことよりも、メンバーのやりたいことや得意なことをきちんと聞いて、本人がワクワクできるような活動を続けられることが大事だと思っています

──メンバー個々人の夢も叶う環境を作るわけですね。それも田家さん自身に明確なビジョンがあるからこそできることだと思いますし、グループ運営の話は、会社で働いている人が読んでも面白いと思いました。
「ありがとうございます!実際、ほかのグループを見ていても、運営に本当にやりたいことがない場合は、すぐグループが終わっちゃうんですよね。一方で情熱はあっても、マネジメントをしきれず潰れていったグループも多くて。いろいろ難しいんです(笑)

──最後に、この先のゆるめるモ!の目標を聞かせてください。
「悩みを抱える若い子たちに、『こうすれば解決できちゃうよ』という提案を面白おかしい形でしていきたいですし、考え方の革命を起こしたいですね。〈ゆるめるモ!は19年にこの考え方を提唱した〉みたいに学校の教科書に載るようなことをしようと思います」(2019.10.16)

INFOMATION

書籍『10年続くアイドル運営術
~ゼロから始めた〝ゆるめるモ!〟の2507日~』
田家大知、大坪ケムタ著 コアマガジン 866円
無の状態からアイドルを作るノウハウを紹介した前作『ゼロからでも始められるアイドル運営』の続編。コア層の人気を得たグループがマスの人気獲得を目指すためのメソッドやアイデアを紹介している。


PROFILE
PROFILE●田家大知(たけ・たいち)
74年東京都生まれ。大学在学中に世界26カ国を放浪後、フリーライターに転向。12年に全くの未経験からアイドルグループ「ゆるめるモ!」を立ち上げた。その後も着実に人気を伸ばし、なおも数々のサプライズを提供し続けているプロデューサー。DMMオンラインサロンにて、アイドルプロデュースのノウハウを教えるオンライン講座「ゼロからでも始められるアイドルプロデュース」開催中。ゆるめるモ!は現在、けちょん、しふぉん、ようなぴの3人で活動。11月14日(木)には代官山UNITで「後藤まりこ×愛しておくれ×ゆるめるモ!3マン『未来の戦い』」を開催する。

公式HP

取材・文 鈴木長月/撮影 おおえき寿一