カワノアユミさん アジア各国の日本人キャバクラにキャバ嬢として潜入取材を敢行のライター

沖縄旅行中も所持金がなくなりゲストハウス暮らしのキャバ嬢に

 アジア各国にある、日本人の駐在員などをターゲットにした「日本人キャバクラ」。タイ、香港、シンガポール、カンボジア、ベトナムの店にキャバ嬢として潜入し、著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』を発表したのがカワノアユミさんだ。女性目線からは語られることも少ない、東南アジアの夜遊び事情などについても話を聞いた。

アジア各国の日本人キャバクラにキャバ嬢として潜入取材を敢行

──18歳で水商売を始めた後、香港初の日本人キャバクラで10日ほど勤務されたんですよね。香港行きは興味本位で決めた感じだったんでしょうか?
「興味もありましたけど、給料が良かったのが一番ですね。『海外で働く』ということは深く考えてませんでした」

──その香港での経験で、海外で働く面白さに気付いたのでしょうか。
「香港では町にもあまり出なくて、凄く楽しかったわけでもなかったですが、『私はどこでも生きられる適応能力があるのかな』とは感じました。向こうの暮らしにもすぐに馴染めたので」

──帰国後、沖縄のゲストハウスに泊まりながら現地のキャバクラで働いていた……という話も面白かったです。
「23歳の頃ですね。『1ヶ月くらい沖縄に行くから来なよ』と友達に誘われて行ったんですが、所持金が3000円しかなくて(笑)宿代がなくなってからは、『キャバで働けばいいか』と思って、そのへんのスカウトマンを捕まえて働いていた感じです」

──勢いで動くタイプなんですね(笑)文章の仕事は昔か興味があったそうですが、ライターを始めるきっかけは?
「アジア旅行にハマっていた20代の頃、夜遊びのブログを書いていて、それを見たタイの日本人向けの雑誌から連載を頼まれたんです。特に文才もないんですが、『女のアジアの夜遊びをテーマにしてほしい』と言われて、それなら書けることが結構あると思って」

──初の著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』では、各国の日本人キャバクラで働きつつ、現地の夜遊びの状況などもレポートしていますね。構想を練ってから取材に行ったんですか?
「以前から知り合いのアジアに詳しいライターさんや、丸ゴンさん(丸山ゴンザレス氏)に相談はしてましたが、具体的には何も決まらず、とりあえずタイに行きました。それでタイのキャバクラで働いた話を丸ゴンさんにしたら『面白いからほかの国でもやってみたら』と言われて、各国を回り始めた感じです」

──海外の日本人キャバクラの求人をまとめたサイトがあることやカワノさん以上に多くの国で働いている女性がいることも読んでいて驚きでした。海外の日本人キャバクラで働く女性は、「何となく来た人」「現実逃避系」「男目的or男絡み」の3タイプがあるそうですね。
「シンガポールや香港はお金持ちのイメージが強いのか、男目的の人が多めでしたね。でも駐在員を見事にゲットしたコも、日本に帰って全然別の人と結婚してたりするんですけど(笑)」

──どの国も意外と生活費がかり、そんなに稼げないという話も意外でした。
「ベトナムやタイはけっこう稼げるんですけど、家賃も意外と高かったりしますね。結局、いちばん稼げるのは日本だし、日本で売れている若いコは海外の日本人キャバクラには行かないと思います(笑)だから現地で働いていたのは20代後半から30代が多いかな」

──カワノさんは海外で働くのが楽しかったですか?
「うーん。日常生活で、わりとありえないことが起きるのは楽しかったですね。たとえば食事に行って、付け合せの葉っぱを食べていたら『それ、犬のオシッコまみれだから食べないほうがいいよ』と言われたりとか(笑)」

──日本だとありえないですね(笑)あと、ムカつく男を「ゴーゴーボーイのムカデ人間に無理やり参加させてやる」と毒づいていたのにも笑いました。そういうショーは普通に見られるんですか?
「時期によりますね。規制が厳しくなると見られないんですが、落ち着くとまたショーが始まったりします」

──そういうショーに男性を連れていって反応を見るのが好きだそうですね。
「そうですね(笑)女の子を連れていくと、ショック受けて重い雰囲気になっちゃうことがあるので。まあ男の人でもキレる人はいますけどね」

──著書の発売後はどんな感想が。
「『ユルい本ですね』とか『人生劇的に変わる本ではない』みたいな感想が書かれていて、まあそうだなと思います。私が学生の頃は、世界一周旅行とか高橋歩さんの本が流行ってて、『海外に行きたい!』とみんなが思う時代だったんですけど、今はそうでもないみたいで。私は女性から『アジアの日本人キャバクラで働いてみたいと思いました!』という感想が届くのを期待していたんですけど、それは意外とありませんでした(笑)」(2018.5.16)

INFOMATION
『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』
やる気ゼロ、貯金ゼロ、計画性ゼロ。ポンコツキャバ嬢による、タイ、香港、シンガポール、カンボジア、ベトナムの「日本人向けキャバクラ」潜入就職&アジア夜遊び放浪記。

イースト・プレス 発売中
電子書籍もあり


PROFILE
カワノアユミ
東京都出身。18歳で夜の世界に飛び込み、歌舞伎町や六本木でキャバ嬢として働く。水商売歴15年以上のベテラン。11年、タイを中心に東南アジアの風俗や文化、旅を紹介する月刊誌『ジーダイアリー』(アールコスメディア)で女性の海外夜遊びをテーマにしたコラムを担当し、ライターとしての活動を開始する。現在はweb媒体を主に裏モノや夜ネタを執筆。『アジア旅行最強ナビ』『タイ旅行最強ナビ』(いずれも辰巳出版)などに寄稿。
公式Twitter
取材・文/古澤誠一郎