リットン調査団 知る人ぞ知る孤高のお笑い芸人にインタビュー

『おまえら時代の先、行きすぎやねん』ってデビュー当時はよう言われた。
ここまで来たらまだ何歩か先行ったろかな、と。

 まもなく結成34周年を迎えるお笑いコンビ・リットン調査団。「地上波バラエティでの活躍」に至上の価値が置かれた現在のメインストリームにあえて背を向け、ただひたすらに我が道を突き進むことを選んだ〝おっさん芸人〟の生きざまとは!? 芸能界屈指の大所帯ヨシモトでも異彩を放つベテランふたりを、単独ライブ終わりの楽屋に訪ねてみた。

「永遠の若手」と呼ばれ続けて気がつけば結成34周年となり…


──たったいま終わったばかりの『リットン調査団リサイタル~コントの夕べ2~』。いやはや濃密な1時間でした。まさか時空を飛び越えて、日本の近代史を駆け抜ける展開になるとは(笑)
藤原 まぁ、途中でネタも飛びましたけどね。即興で元には戻したから、なんとか形にはなりましたけど。
水野 エンディングでも言いましたけど、今回のはこれまで作ったやつの中で2番目に好きですね。だって、いまどきおらんでしょ? コントの最中に「五族協和」とか「鬼畜米英」とか叫ぶやつ。まぁ、設定自体は手塚(治虫)さんの漫画『火の鳥』のパクリなんですけどね。火の鳥の代わりに、某有名なくまのぬいぐるみが黒船来航からの日本の歴史を俯瞰して見てるっていうだけで…

──名前に「プ」がつくアイツですね! 個人的にはリットン調査団のコンビ名にあやかったネタなのかと。
水野 ないない。全然関係ない、我々に思想なんてないですから(笑)
藤原 とりあえず、終わってまず出てくる感想は「疲れた」やな。ここはもっと間髪入れずに言うたほうがええのにな、って頭ではわかってるところでも、呼吸が追いつかへん。老いましたわ。
水野 せやけど、年相応のゆっくりとしたコントやんのもなんか違うしね。そもそも、59歳と57歳なんていう普通やったら師匠クラスでもおかしない年齢で、年に4回もワンマンでイベントやる芸人なんて、我々だけですからね(笑)

──ここ数年はピンの活動がメインだったお二方が、ここへ来ての単独ライブ。そこにはどんな心境の変化が?
藤原 ほとんどの芸人はテレビやメディアの露出がなくても、なにかしらやってるもんですけど、僕らにはそれがなかったからね。このまま宙ぶらりんを続けてたら〝芸人〟を自称してるだけのフリーターになってまうんちゃうかな、と。
水野 で、藤原さんのほうから「3ヵ月に1回でもイベントやっていこう」って提案があって、ほんなら、とりあえず2年間は続けてみましょか、と。

──ネタ作りはこれまでと同様、すべて水野さんのほうが担当されて?
水野 そうですね。7月のトークイベントが終わって、「さぁ、作るぞ」とスイッチ入った瞬間からは、なにをするにもずっとネタのこと考えてましたね。「このアイデア、使われへんかな?」って。
藤原 まぁ、ひとりでやるときは僕も自分でネタも書くんやけど、水野さんが作ってきたネタを、ふたりで稽古して、合わせてっていうのが、ここまでやってきたリットン調査団のスタイルやからね。もちろん、ご要望があるなら僕にも出す用意はあるんやけど。
水野 アカン。この人は放っておいたらすぐに一線を越えて、デスメタルみたいなネタ作ってくるから(笑)
藤原 そやな。漫談から創作エロ落語までいろいろやってきたけど、基本ぜんぶ下ネタやから。サザエさんが三河屋のサブちゃんと不倫する話とか……。我ながらゲスいと思うわ(笑)

──ご自身のツイッターでも、毎日欠かさず下ネタばっかりつぶやいてますもんね。しかも、朝の7時台とかに。
水野 ってことは、毎日、バイトに向かう満員電車のなかでそんなゲスいこと考えてんの? ホルモンとキムチが並んだ食卓を寝起きで見る気分やな。
藤原 いや、村西とおるさんから言われたんよ。「やるなら、とにかく毎日続けなさい」って。で、自分がズボラなんも知ってるから、とにかく起きてすぐやるようにしてるんよ。そやないと、どんどん後まわしにしてまうしな。

──日々の継続は水野さんにも?
水野 僕はこう見えて、腹筋と腕立てを30回ずつ。大きい声出すにも腹筋はいるし、ウソでもそれぐらいはやっとこかなって。でも、数増やしたりは絶対にしないですけどね。それやったら今度は筋トレが目的になってまいますから。

──まもなく迎える35年目。今後、お二人はどうなっていくんでしょう?
藤原 自分でも頭おかしいと思うんですけど、僕には人生設計とか客観的に自分を見るみたいな感覚がまったくないんですよね。時々、「うわ、俺なにやってんねやろ」って怖くなることもあるんですけど、目先の目標はあっても、将来的なものはこれまで考えたことがない。いまだに20代の女の子ともヤリたいしね。
水野 同感。全然おかしないよ。みんなそれ、隠してるだけやから。今回のコントにもセリフとして入れましたけど、やっぱり生きてるうちに楽しまなね。ナンボ老後のお金蓄えてようが、死んでもうたらそこまででしょ、って。
藤原 ノムさん(野村克也)も言うてはった「いまの頭で、あの頃の身体があったら、めちゃくちゃおもろい芸人やのになぁ」みたいなことは、たまに思うけどな。でも、ホンマそれぐらいやね。
水野 デビュー当時は「おまえら、時代の先、行きすぎやねん」ってよう言われましたけど、ここまで来たら、まだ何歩か先行ったろかな、と。おっさんになったいまやからこそ、「どうじゃー、若手、1時間でこんなんできるか!?」いうもんを作りたい。そういう自尊心はこれからも持ってたいとは思うかな。(2019.12.16)

PROFILE
リットン調査団
大阪・桃山学院大で先輩・後輩の間柄だった水野透(メイン写真手前)と藤原光博(同奥)の2人によって、1986年コンビ結成。ダウンタウンがMCを務めたオーディション番組でデビューを飾り、若手の登竜門だった『心斎橋2丁目劇場』などで活躍した。現在は東京を拠点にするも、『ルミネtheよしもと』などへの定期出演はなく、3ヵ月に1回のペースで単独ライブを開催中。ともに演技力には定評があり、ドラマ・映画や舞台など役者としての活動も多い。2020年2月14日、ヨシモト∞ドーム ステージⅡにて単独ライブ開催予定!!

取材・文 鈴木長月