仕事情報誌ドカント

川島令美 川島令美
 豊潤な官能美を展開した文豪、谷崎潤一郎の傑作短編「刺青」が4度目の映画化。刺青を入れることで過去を洗い流すヒロインを演じた女優に、映画にまつわるエピソードを語ってもらった!!

●撮影/HIROKAZ ●取材・文/内埜さくら

---主演された映画「刺青〜堕ちた女郎蜘蛛〜」についてお聞きしたいと思います。まずは、脚本を読んだ感想を。
前に瀬々監督の作品を何本か観たことがあって。バランスの悪い男女を描いたものが多いんですよね。個人的に好きな監督さんだったんです。だからお話しを頂いた時に、空気感や作風はある程度理解していたつもりです。


---濡れ場があることも承知で?
台本上、必要なんだろうとは思ってました。それに、瀬々監督ならあるだろうなって。濡れ場は初体験でしたけど、撮影に入る前から覚悟はできてましたね。現場では、100%受け止めたつもりです。普通、映画ってカットごとでバラバラに撮影するんですけど、今回は、ストーリーに沿って撮る方が多くて。監督の配慮なんですけど、そのおかげで役にすんなりと入ることができて、演じやすかったですよ。


---川島さんの背中に描かれた女郎蜘蛛の刺青、かなり丁寧に作り込まれている印象を受けましたが。
肌絵師さんに描いてもらっていたんですが、完成するまで3〜4時間かかるんです。最初はくすぐったくて。でも1時間ぐらい経つと気持ち良くなって、うたた寝してました(笑)。


---撮影ごとに描き直しを?
1度描いてもらったら、取れないように気をつけてました。お湯をかけると消えやすくなっちゃうので、ぬるめのシャワーで我慢、みたいな。現場でお風呂に入った後、落ちにくくするために肌絵師さんに毎回お粉をはたいてもらってました。でも、身体の前側は洗えても、背中は洗えない日が続いて。最後は痒くて辛かったです(笑)。



---アサミという役を演じるに当たり、監督からはどんなアドバイスが?
最初に『アサミは感情を見せられない少女だから』と言われていて。辛いと自分の殻にふさぎ込んでしまう女性なんですよね。刺青を入れて強い人間に変化するまでは、あえて抑揚をつけない演技をしました。でも、感情を表現しすぎて『もっと気持ちを捨てて』と何度か監督に言われましたね。


---だけど、刺青を入れて精神的に成長してからは、出会い系サイトのサクラで男性を騙していたはずなのに、実際に会って謝るという。身体を提供して。
アサミは『サクラでした。ごめんなさい』と謝罪して、複数の男性と関係してしまうんですけど。う〜ん…それで本当に罪を償えるのかなっていうのはありますよね。自分が同じことをしてしまったら、覆い被さってくるものが巨大すぎて、きっと耐えられない。第三者が『何でそんなことを!?』って感じるような、不器用な生き方しかできないのがアサミなんでしょうね。ただ、人間には正確な道筋がないとも私は思ってますけど。


---作品にたびたび登場する、蝶もインパクトが強いですよね。
監督は『何を象徴してたのか忘れちゃった』って言ってましたけど(笑)。アサミは女郎蜘蛛の刺青を入れた後、最後に蝶も彫ってもらうんです。私なりの捉え方だと、その蝶が、セミナーに勧誘してきた二ノ宮を象徴しているんじゃないかなって。蜘蛛って普通、自分の巣に獲物を巻き込んで食べるじゃないですか。でも、蝶があまりに美しいから食べずに愛でた。アサミと二ノ宮の関係を現してると思います。



---本作には、かなり個性的な俳優陣が出演していますよね。
彫光役の嶋田さんの、演技に対するストイックさは勉強になりました! カメラが回っていない間も、監督や彫師さんと話を詰めていたし。現場の空気作りが抜群に上手くて驚きました。セミナー代表役の松重さんは、寡黙なイメージを持っていたんですけど、実は気さくな方で。だけど、目ヂカラがすごく強くて…私もあの目で勧誘されたら、ついて行ってしまうかも(笑)。ベテランの俳優さんに囲まれて演技ができたので、光栄でした。


---では最後に、PRをどうぞ!
殺伐とした現代社会の中にも救いがあると描かれている作品です。原作とは設定が違いますけど、アサミが刺青を入れるシーンは、耽美的な“谷崎ワールド”が表現されているのでお勧めです。ぜひ劇場に足を運んで下さい。
INFORMATION
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刺青〜堕ちた女郎蜘蛛〜
「刺青〜堕ちた女郎蜘蛛〜」
蜘蛛に抱かれ女は蝶になる

STORY

 始まりは出会い系サイトだった。妻子と別居し、自己啓発セミナーの勧誘をしている二ノ宮(和田聡宏)。不倫に破れ、自暴自棄になっているアサミ(川島令美)。出会い系サイトのサクラをしているアサミは、二ノ宮とメールのやり取りをしていた。メールの相手と会ってはならないという規則を破り、二ノ宮と会うアサミ。そこへ、セミナーの主宰者・奥島(松重豊)もやって来て、セミナーへと誘う。奥島の凄みに飲み込まれ、その日のうちに抱かれてしまうのだった…。

 
CAST
川島令美・和田聰宏・光石研・嶋田久作・松重豊ほか

STAFF
監督/瀬々敬久
原作/谷崎潤一郎(中央公論新社刊)

作/円谷エンターテインメント
配給・製作/アートポート
宣伝協力/アルゴ・ピクチャーズ
1月13日からユーロスペースにてレイトショー公開中

公式HP:刺青〜堕ちた女郎蜘蛛〜


PROFILE
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川島令美
かわしま・れみ

79年1月30日生まれ 神奈川県出身

97年にテレビドラマ「ガラスの仮面」でデビュー。映画、テレビドラマ、舞台、声優、バラエティ、グラビアなど幅広く活躍する。
女優としては映画「東京攻略」「悪魔が棲む家2001」を始め、連続ドラマ「G-taste」、主演ドラマ「D-girls」、舞台「HOBO」「狂恋デカダンス」「象面ガネーシャ」などに出演。他にも無類のサッカー好きで知られ雑誌の連載やMARIACIDAの服飾デザイナーなど多方面でその才能を遺憾なく発揮し活動の場を日々広げ続けている。

公式HP:R.K web

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