温湯(ぬるまゆ)シュウイチの下衆リーマン日記!
誰もが知ってる某一流会社勤めの金融マン。39歳妻子持ち。長男は私立小学校に通い、妻は専業主婦で習い事に大忙し……
そんな順風満帆な人生がひょんなことから600万の借金返済生活へ!
つちかった役職知識をフル活用!カラ交通費に経費水増し、株式投資に副業、ギャンブルetc…
一発逆転高収入を夢に見て、合法ギリギリの小遣い稼ぎに狂う日々。
嗚呼、来年の8月にはようやく司法書士にお願いした債務整理の返済が終わります。
それまで嫁にはバレませんように(ナムー
AGAのハゲ薬をインドから個人輸入し副作用で精力が弱りはじめた、温湯シュウイチのゲスい日常。【注】読後感悪し
第7話 温湯、愛と憎しみのボレロ!の巻
■同情するなら、ギガをくれ。
- 人事部より学生の「採用面接官」の依頼があった。
そのため、毎日会社に缶詰状態で、朝から晩までクソ学生の面接に追われている。
面接官なんてちっとも面白くない。
当然、社内に拘束される時間も長いので、経費のちょろまかしもできない。
肝心な副収入が、全く途絶えてしまっている……毎月の借金返済額7万円、支払いは待ってくれない。´д` ;
多忙のため愛人宅に通えず悶々とする日々。
仕方なしに、夜な夜な嫁に隠れ布団のなかでコッソリとスマートフォンでXvideosを視聴しまくっていたらアッと言う間に速度制限になってしまった。
とてもじゃないが追加のギガを購入する余裕はない……
それからは、帰宅時にマックでエロ動画を落とす日々が続いている。放置状態にしていた愛人からLINEが来た。
「話しがあるので、明日は家に来てください。詳しくはその時に……」
何やら切羽詰まった様子。用件を聞いても既読スルー。
まさか別れ話?
それとも、ちょいちょい財布から千円抜いているのがバレた?翌日、朝から晩まで採用面接でヘトヘトになりながらも愛人宅へ向かった。
■そこにはいつもと様子が違う愛人が……
家に入ると、珍しく愛人がオレにコーヒーを淹れてくれる。
ちなみにこのコーヒーメーカーは、オレが取引業者から仕事の見返りでもらったバリスタ@ワイロマシーンである。
水を入れボタンを押すだけでドリップ完了という優れもの。
にも関わらず、最近ではコーヒーを出してもらった記憶がない。このところ忙しくて愛人宅に行ってないのは先にも述べたが、オレの金銭状態も悪化の一途をたどり、月末に愛人宅の家賃を入れるのが精一杯。
外食や旅行もなければ、プレゼントすらあげてない。愛人の子供が寝たのを見はからって声を押し殺しながらサクッと情事を済ませて帰る関係。
釣った魚にエサをやらない男、甲斐性ナシと見限られたか……と思っていたが今日は何やら雰囲気が……違う、ような気が……
■ヒリヒリとした緊張感のなか話しを切り出す……
「話って何?」
そう聞くと愛人はキッと険しい表情になった。
「私、妊娠した……産むから……覚悟したから!」と目の周りを赤らめ一気に言い放った。
『ンゴッ』
思わず言葉にならない呻き声が漏れてしまう。動揺のあまり、恐らくこのような場面では一番言ってはいけないワードを口走ってしまった。
「は?誰の子?」
赤らんでいた愛人の顔は瞬時に青ざめ、般若のごときツラ構えに豹変。
「ふざけんじゃないわよ、アンタの子にに決まってるでしょ!たぶん京都の時よ(前編参照)私産むからね」『ンゴッ』
言葉が出てこない。顔には脂汗がにじみ脇汗もベッチョリ。
テーブルに置こうとしたコーヒーカップから、コーヒーが全部ズボンにこぼれてしまう。「それから言っておくけど、私アンタと別れないから」
『ンゴッ』
一瞬にして、家庭、会社……いろんなことが目まぐるしく頭をよぎる。
愛人との火遊びの代償は大きい。「アンタヤリ逃げする気?散々私の身体をもて遊んでヤバくなったらバックレるの?」
愛人が怒鳴る。気がつくと正座をしていた。「最近全然家に来ないし、徐々に私と関係を終わらせようとしてるみたいだけど、そうはいかないわよ!もし逃げたらアンタのこと会社に言うからね!オタクの管理職とゲス不倫して妊娠させられたって!とにかく認知してもらうから。養育費に教育費、払ってもらうからね!」
これは地雷!
完全に苦情客、クレーマーの様相ではありませんか。
ここは一旦、社内マニュアル通り、土下座をしながら一切の反論をせずに、ひたすら聞く。全身を耳にしてひたすら聞き役に徹する。「それからね、たぶん妊娠が原因で体調もよくないしパートも休むから!産婦人科に行く費用とパートの分を合わせて当面のお金20万用意して!」
もうヤ○ザの車にカマ掘ったようなもの言いではないか……
「ゆくゆくはこの家も手狭になるから引越しも必要!」
オレはひれ伏し、うつむいていた視線をチラッと上げてみた。
愛人は血走った眼で虚空を見つめながら、ウットリと喋り続けている。「私には上の子もいるから実家に帰るわけにはいかないし、お手伝いさんも雇わなければならないじゃない……」
おいおい独り言始まっちゃったよ。
と思ったら不謹慎にもクスッとしてしまった。「なに笑ってんだ!!」
いきなり美顔ローラーが飛んで来た。いけない、いけない。そうはいっても一流企業の管理職のオレ。瞬時にお仕事モードに切り替える。
『クレーム対処マニュアル』
とにかく相手の主張を聞き、まずは謝罪し、お客様に解決策を提示をすること。①仰せの通りでございます。→後々不利になりそう。
②申し訳ありませんがすべて致しかねます。→刺される。
③私の一存では決めかねますので「社」に戻り一旦検討を。→刺される。
④第三機関入れて争う。→会社や嫁にバレてすべて失う。
⑤無言でダンマリ。はい、オレは⑤を選択。ダンマリ。
今度はマニュキアとクルクルカーラーが飛んできた。「とにかく来週までに20万用意して!あー体調悪い」
愛人はそう言い残し、ベッドのなかに入ってしまった。
せめて妊娠してるなら今宵は生で、とオレもベッドへ続いたが足蹴にされた。
■完全に八方ふさがり……
とぼとぼと愛人宅を出た。完全にお先真っ暗だ。とにかく、金を作らないといけない。てっとり早く金を作るには……
いくら考えてもよい案は浮かばない。
今回は得意の“ちょろまかし”で、間に合うものではない。
もはや質屋で何かを換金するぐらいしか思い浮かばなかった。
落ち込んでばかりもいられない。金目の物を探すか……早速帰宅し、とっくにイビキをかいて寝ている鬼嫁に気付かれぬように、こっそりとタンスの奥から嫁のダイヤモンドの結婚指輪を拝借。
何年もタンスの肥やしになっているこの指輪、もうあのぶんぶくれた指には入るまい。
それからオレがまだ景気のよかった頃に買ったオメガの時計、そして同じくロレックスの時計を鞄にしまった。明日は朝から質屋へ向かう。
■質屋で換金 高価だから高値で売れるわけではない
翌日、まず向かったのは、昭和の匂いが漂う路地裏にある個人商店の質屋。
店に入ると年配の爺さんが出てきた。
サイズが合っていない襟ぐりの大きすぎるYシャツに毛羽だったエンジ色のチョッキ姿。城南電機の宮路社長に似てる。
何だかすでに後悔……「買取?質草?買取のほうが若干高め。質草は利子を頂戴します。利子はこの表の通り。鑑定は無料」
とにかくぶっきらぼうな説明。
こちらがお願いする前から薄汚れた白い手袋をはめ、既にルーペで鑑定を開始。
しかも質草(時計・ダイヤ)を載せるトレーも汚れている。10分ほど待たされ、宮路が電卓を叩きながら言う。
「全部込みで10万。どうするお兄さん?」唖然(゚o゚;;
宮路からそれ以上の説明はないが、素人目に見積もってもそんなに安いはずがない。「ちょっと考えます」と言うと……
「よし、11万!」
「いや、ちょっと出直します」そう言うと今度は……
「ホナ12万!」
もう意味がわからん。「13万!これが限界!!」と叫ぶ宮路の声を背に逃げるように退散。やはりここは安心の大手の買取店ヘ向かう。
駅前にある「お◯から屋」。
担当者は若くてさわやかな好青年。スーツにネクタイ姿である。
丁寧かつ優しい口調で質問をしてきた。「いつ頃どこで、いくらでお買い求めになりましたか?」
「丁寧に使われていますね」
「グレード感はBですね」など的を射た会話。店員は裏に引き返し、パソコンを使い熱心に何かを調べている。市場の売買実勢状況を見ているとのこと。
「需要と供給ですからね、高価だからといって高値で売れるわけじゃありません」
クソ宮路とは大違いの説得力。お待たせしました、と笑顔でこちらに振り向き買取値を告げる好青年。
まず嫁のダイヤの指輪。
「ダイヤは基本1カラットでないと値段がつかないんです。買値は45万円とのことですが、ウチでは3万円です」「ささささ、3万円!?」(゚o゚;;は?唖然
次にオメガの時計、スピードマスター。
「買値は13万円ということでしたが、こちは質草で3万5千円」ロレックスの時計。
「買値30万円ということでしたが、今回は17万円」「3点の合計で、23万5千円です。 ロレックスやルイヴィトンは人気があるので高値で買い取れます」
『来週までに20万用意しろー!』愛人の要求が脳裏をよぎる。
結局、指輪を売るのは止め、時計2個を質草にして20万円を作った。
ちなみに、ロレックスやルイヴィトン以外で高値買取されるのは、やはりゴールド(金)とのこと。
あっ、そういえば……愛人宅にあったカルティエの金ネックレスを思い出し聞いてみる。
「カルティエの金ネックレスは、いくら位で買取できます?」
担当者は丁寧に答える。
「ものにもよりますが15万から17万円にはなると思います」「あと人気の品は商品券やらチケットですね。高値で買い取りますよ」
「チケット?」
ちょうど財布に入っていた千葉県浦安市の某有名テーマパークのワンデイパスチケットを見せると、買取価格6,200円と言われたので、即換金。たしかワンデーパスの販売価格は7,400円。 客には6,900円で販売するという。
店としては1枚700円の利ざやか……丁寧にお礼を言い質屋を出る。
■換金した20万を手に愛人宅へ向かう
- 「体調はどう?」
「別に……」
手土産にケーキを持って愛人宅へ行ったが、今日はバリスタ@ワイロマシーンが作動する気配はない。とりあえず用意した現金20万を渡す。
「・・・」
ん?反応が薄い。さっきから愛人の様子が変だ。よく見ると顔が赤い。体調でも悪いのか?
いや、顔が赤いだけではない、喋ると酒臭え。よく見たら缶酎ハイ3本も飲んでる。しかもストロング系じゃねえか。妊婦が酒を飲んでよいのか!
■ペテン師と詐欺師だまされてリビエラ(名作)
- 愛人を問いただすと……
「昨日は、市販の妊娠検査薬で陽性反応が出たからアナタに言ったの。そして今日産婦人科に行って正式に検査をしたら……妊娠してなかったの……」『ンゴッ』
「よかったね、これで私と別れて他の女のとこに行けるわよ」
ん?何言ってんだコイツ?
よくよく聞いてみると……
オレが愛人宅に寄り付かなくなったり、金回りが悪くなったのは、別の女ができたからではないか?その女に金を使ってるんじゃないか?と疑っていたという。いや、きっと今回の騒ぎはオレの気持ちを確かめるための狂言だったのではないか……
「来週までに20万」と無理難題を押しつけて、オレがどうするのかを見定めていたのでは……何が認知だ、養育費だ、引っ越しだ、お手伝いさんだ!
怒りで目の前が真っ赤になったが、今回の件でコイツがキレるとヤベエ奴だと思い知った。怒鳴り散らしたいところだったが、ここはグッと我慢。
とりあえず、心にもない甘い言葉をかけて愛人を抱く。 ■だが今回ばかりはお仕置きが必要だ……
事後、ご機嫌な愛人とピロートーク。
「そういえばさ、ウチの取引先の古物商が使ってない貴金属とか高値で買い取るって言ってたよ」
「へー」
「オレ、オメガの時計を売るんだけど 何か売りたい物ある?」
「特になーい。ヴィトンは使ってるし。私、貴金属に興味ないから」
「そういえば、お前カルティエのネックレスあったじゃん。アレどうした?」
「アレは前の会社の社長が誕生日にくれたのよ。興味ないからそのまま……」
「じゃあ、売れば?そんなの持ってても仕方ないしオレが高値で売ってやるよ」
「たいして値がつかないでしょ?」
「じゃあ 明日質屋で鑑定してみるか?そのあと寿司でも食ってさ……」愛人はさらに機嫌がよくなった。
水色の錠剤をガリッと噛み、もう1回戦突入。翌日、二人で宮路のジジイがいる質屋へ行く。
宮路はカルティエのネックレスを汚ねえトレーにのせてルーペで鑑定。「はい、お待たせ3万!」
まさに想定内の回答。このジジイ完全に客の足元を見ている。「3万3千円!」 と叫ぶ宮路を背に、白目でお礼を言って店を出る。
愛人は得意げな顔でオレに言う。
「ホラ言ったじゃん、そんな値段なんだよ~」まさに需要と供給。フフ。
「それよりお寿司行こうよ~」何も知らない愛人は上機嫌である。
『これは投資だ』と自分に言い聞かせ、久々に回らない寿司屋で豪華に食事を奢る。
そして、奴のカルティエを預かることに成功。その条件はただ一つ。
3万円以上の値がつくなら売ってもOK(≧∇≦)ウヒャヒャ■翌日マトモな質屋「お○から屋」へ……
- 買取希望のカルティエの金ネックレスは、予想通りの値がつく。
査定価格17万円。迷わず売る。愛人に「昨日の質屋より1万円も高く売れたよ」と4万円渡す。
「すご~い」大喜びしている。そして、オレの利益は13万円。
今回のお仕置きはこの位にしておいてやる。
■例のチケット欲しいんだけど 20枚位……
- オレに千葉県浦安市の某有名テーマパークのチケットをくれた金融マンに連絡を入れた。
「え?チケット20枚?ちょっと多いですね。アレはあくまでも贈答品なんです。あまり大々的にはしないで下さいね」
「大丈夫だよ。今後毎月10枚位なら融通できる?」
「それくらいなら大丈夫ですが……その代わりまたお客さんの紹介お願いしますね」
ということで、例のテーマパークのチケットを毎月10枚融通してもらえることになった。
チケットは彼の会社の社内斡旋価格で1枚5,400円。
当然原価で譲り受け、これを6,200円で換金ショップに持ち込む。
1枚あたり800円の利益となる。
今回は20枚なので、アッという間に1万6,000円の利益になった。そして今後、毎月10枚横流しするので8,000円の副収入が決定!
今のオレにはデカい金額だ。ウハウハしていたら、学生時代の後輩から電話がかかってきた。
「ようやく退院できました。ご迷惑かけて申し訳ありませんでした」退院?聞くと、しばらく入院していたという。
「いや、先輩から紹介してもらって保険に入っていてよかったです。かえってプラスになりました」え?ちょっと待って?プラスって何?その話し教えくれない?ナニそれ?
ウルトラCやないかーい!
俺のふんりゅう!(五話参照)どころじゃないぞっ!(≧∇≦)次回、温湯人生初の計画入院!
肉体的には痛いが合法的に大金転がりこんできました。
- 質屋に質草
- 質屋に行くなら大手がおすすめ!
ちなみに質草はダイヤなどの宝石類は全然ダメ。
ヴィトンかロレックスあたりが高値。
男にヴィトンを貢がせて、即質屋に売っ払うキャバ嬢の気持ちがわかる。
あくまでも需要と供給。要らないモノは売る。 - チケット横流し
- リスク→少数ならほぼノーリスク。
リターン→1枚800円の利益。インターネットで売ったら管理番号から足が付く。
あくまでも街なかのチケットショップへ。 - 愛人契約
- リスク→刑事罰はないが、会社にバレたら社会的地位を失い、嫁にバレたら物理的に生命を失う恐れあり。
リターン→プライスレス?ただし「妊娠」には気をつけて!「狂言」にもね♪
