イケメン限定バイトをフリーター虎次郎がリポート!

イケメン限定バイトをフリーター虎次郎がリポート

1.歌舞伎町の人気ホスト、“イケメン”ケンタからLINEが…。

今日もヒマなので、いつものように漫喫にでも行って時間を潰そうかと駅前に向かって歩いていると、LINEの着信が鳴った。
友人の”ケンタ“からのメッセージである。

確か…、ケンタは今、歌舞伎町で“ホスト”をやっているはずだ…。

そう。彼は有名なホストクラブで上位の人気を誇る“イケメン”男子なのである。
それはもう“ジャニーズタレント”の手越君ばりの二枚目で、すれ違う女性達が思わず振り返るほどの男っぷりなのだ。

そして彼は、自分がイケメンであると公言して憚らない。
「見た目の良さも才能だから」
こんな口癖にも、全く嫌味が感じられないほどのさわやかイケメンなのである。

故に、彼から「歌舞伎町でホストの仕事を始めた」と聞いた時も全く驚かなかった。

そんなケンタからのメッセージは…。
「一緒にバイト探さない?」

ついては、今日これから会って打合せをしようと言う。
他にやることもないので、オレはケンタと会う事にした。

2.“イケメン”ケンタがホストを辞めた理由とは?

待ち合わせ場所は、新宿の外れにあるカフェ。
オレはスマホで求人サイトをチェックしていた。
道すがら見つけた、男性向けの求人フリーペーパーの『ドカント』も覗いて見る。

するとそこへ「よう!」と片手を上げながら、ケンタがやって来た。
オシャレなコートを羽織ったその姿からは、イケメンオーラが溢れ出している。
ボロボロのMA-1モドキを引っかけたオレとは、ファッションも含めてレベルが違う。
こりゃホストでもモテモテなんだろう…、と思っていた矢先に…。

「そうそう、ホストはもうやめたよ」
ケンタは挨拶もそこそこに話した。

ああ、生き馬の目を抜くホスト業界、これほどのイケメンボーイでも生き残れない厳しい世界なのか、と思っていると…。

「ホストを始めてから、すぐにお客が付いて結構稼げたんだけどさぁ…。
店が“超体育会系”のノリで、“上下関係”とかすっげ~厳しいんだよね…。
おまけに、新人ホストに指名客がバンバン入ると、先輩ホストの“やっかみ”が凄くて…。
なんか“人間関係”が鬱陶しくなって、辞めたんだよね~」

なるほど、そういうことか。
イケメンにはイケメンなりの苦労もあるらしい。
世の中上手く出来てる。

ところで、ホストを辞めたケンタは、次にどんな仕事をするつもりなのだろう?
そのことについて問うと、ケンタは言った。

「ホストの仕事がイヤになったわけじゃないし、別の店に移ってもいいんだけど…。
せっかくだから、他にもイケメンを利用して稼げる仕事ってないかなぁと思ってさ」

3.イケメンをフル活用して稼げる仕事って何だろう?

はあ?
なんでオレが、イケメンならではの仕事を探さないといけないんだ…。

オレは思いつきで言った。
「レストランのホールスタッフとか、バーテンダーとかいいんじゃない?」
「なんで?」
「お客の女子にモテそうじゃん。楽しい事がありそうだし…」
するとケンタは首を傾げながら言った。
「レストランのホールスタッフとか、そのあたりのバイトだと、
時給1,000円程度で、深夜手当がついて1,200円ってとこだろ。
別にお客の女にモテたって、時給が上がるわけじゃないし、意味なくね?」

「・・・」

だよな。イケメンにとっては、モテるなんて日常茶飯だもんな。
特にメリットでもないってことか。

そういえば、そもそもオレは“ホストクラブ”の給与体系について全然知らない。
ホストがどうやって稼いでいるのか、月収はどのくらいなのだろうか?
ケンタに質問してみた。

4.ホストの仕事、その給与体系とは?

ホストクラブ。
イケメンが高収入を稼ぐ業界といえば、誰もが真っ先に思い浮かべるのがこの仕事。
お酒とトークを駆使して、女性客に最高のおもてなしする仕事である。

ホストの給料は歩合給・達成した売上によって給料金額が決まる
女性客がお店で使った金額(売上)に対して、
ホストが給料としてもらえる歩合率(バック)は、40~60%のスライド制が多い。
※例えば、売上が10万円だと、バック率は40%(4万円)、売上が100万円を超えると、バック率は60%にアップする。といったように、バック率が売上によってスライドしていく歩合の体系。
売上が上がればバック率も上がり、さらに稼げるようになっている。

逆に、売上が“ゼロ”なら給料も“ゼロ”となるが、
そんな時のための救済処置として“最低保証”がある。
これは基本給のようなもので、歩合が少なくても最低限この金額は貰えるというもの。
その最低保証金額は店によって異なるが、だいたい月給15万円~20万円である。

「歩合給か…、厳しい世界だな」
オレは思わず言った。

「でも、逆に上限も設定されてないからな。
バースデーイベントの数日間で、“ウン千万円”稼ぐカリスマホストもいる世界だから」

「それはカリスマホストだからでしょ。
でも“最低保証”があるから、給料ゼロにはならないのか」

「いや、最低保証は大体“期間限定”だから。
数ヶ月間売上が全然なければ、そのうち給料はゼロになるけどね。
そもそも最低保証に頼るようだと、ホストの仕事をする意味がないよ」

ため息を吐いたオレを見て、話を変えようと思ったのか、ケンタはこんなことを言った。

「ホストはホストでも、ちょっと違う仕事があるんだよね」

そう言ってケンタは“ちょっと違う”ホストの仕事について教えてくれた。

5.“出張ホスト”の仕事、その給与体系とは?

それは“出張ホスト”という仕事である。
ホストクラブのように店舗で女性を接客する業務ではなく、
その名の通り、ホストが女性客の元に派遣され、サービス提供をする仕事となる。

女性客の自宅やホテルに派遣され、マッサージや性的サービスまで行う場合が多い。
“男性派遣版”のデリヘルといった業態である。

ちなみに出張ホストも、女性が派遣されるデリヘルと同様に、
公安委員会への無店舗型風俗営業の届け出が必要で、本番行為も禁止されている。

出張ホストの給料は歩合給・達成した売上によって給料金額が決まる
歩合のシステムについては、ホストが登録した店舗やサイトによって、
売上の50~60%のバック率であったり、
売上の全額、もしくは大部分が手に入るが、月々の登録料を支払う必要があったり、
と色々なパターンがあるらしい。

「女性向けの風俗店ってことか、すげえな~」
気持ちイイこと出来て、なおかつ給料が貰えるなんて、なんていい仕事なんだ!
ケンタはオレの顔をじっと見つめながら静かに言った。
「そんなオメデタイ奴が多いから、出張ホスト業界には“登録料”とか“サイト掲載費”などの名目で、金を巻き上げる詐欺業者がいるんだよ!
“登録料を5万円払ったけど、全く女性客を紹介されない”とか“VIP客を紹介するから保証金10万円を払え”とかね…」

「お、おう・・・」

「まずは、無店舗型風俗営業の届け出を確認すること!
それに気持ちイイ~と思えるような、イイ女なんて出てこないよ…」

6.ホストと出張ホスト、稼ぎ方の違いとは?

確かに世の中、そんな美味しい話が転がっているわけない。 

「ホストと出張ホストだと、金の稼ぎ方が違うんだよ」

「えっ、どういうこと? だってどっちも歩合制だろ?」

「ホストクラブって、お客が店で1時間お酒を飲んだら1万円、という“時間制”の商売じゃなくて、お客が10万円のシャンパンを入れたら売上10万円、それが3本入ったら30万円っていう商売なんだよ。アッという間に売上30万円みたいな…」

ケンタがスマホを操作してオレに見せる。
そこにはある出張ホストのホームページが表示されていた。

「でも出張ホストは…、例えばこのお店のシステムは、4時間で3万円となっている。
女性客がこのプレイ代金を支払うわけだ。
仮に、バック率50%だと、1万5千円がホストの収入になるんだけど、
その女性客からもっと貰おうと思っても、時間の延長があるぐらいで、基本的には“時間いくら”の“時間制”の仕事なんだよ」

「そっか、じゃあ、ホストの方が稼げるってこと?」

「う~ん、そこが難しいところで・・・。ホストの方が売上は立てやすいと思うけど、
“売掛”(ツケ)をきっちり回収出来るか、というリスクもあるし…。
逆に、出張ホストは風俗と一緒で前金だから“取りっぱぐれ”がないしな…」

※売掛…女性客にツケで飲ませること。担当するホストが金額の回収をする。女性客から売掛の回収が出来なかった場合は、担当ホストの借金となるケースが多い。

「ホストの方がハイリスク・ハイリターンで、出張ホストの方が手堅い、って感じかな・・・」

そしてこう言って笑った。

「まあ、どちらにせよ、お客が付かなきゃ収入ゼロだけどね」

7.イケメンを活かしたバイト、他にはこんな仕事が…。

その後もイケメン向けの仕事を探してみた。
何しろ、二人とも時間だけは有り余るほどにあるのだ。

7-1.イケメンマッサージ

女性専用のマッサージ店で、“店舗型”の場合が多い。
イケメンのマッサージ師をズラリと揃え、アロママッサージやロミロミマッサージなどのマッサージ技術も高い
出張ホストと違い、性的なマッサージを一切行っていない。
60分8千円~1万円、90分1万2千円~1万5千円、などの利用代金となり、
その40%~50%がマッサージ師の報酬となる。
人気マッサージ師ともなると、出勤日は予約客で埋まり、月収50万円以上を容易に稼いでいるという。

7-2.レンタル彼氏

女性客の“疑似”彼氏となり、デートをするサービス。
テレビなどでも話題となり、主婦層の顧客が増えている。
レストランや映画館、デパートなどに派遣され、女性客と買い物や食事などをする。
男性(彼氏)のランクにより利用料金は異なる場合が多い。
新人男性の場合は、1時間5千円中堅クラスは、1時間6千円
人気のあるキャストの場合は、1時間7千円など。
デートは2時間以上の注文となるので、新人スタッフの場合は、1時間1万円。
そのうち報酬は40%程度が歩合給となる。
もちろん性的サービスは禁止されている。

7-3.AV男優

今、AV(アダルトビデオ)業界では、女性が鑑賞する“女性向け”のレーベル(女性のためのAV)がひそかな人気となっている。
しかも、そこに出演する男優達は“エロメン”と呼ばれ、世の女性たちの憧れの的にまでなっている。
こうした流れもあって、AV業界では“イケメンの男優”の需要が高まっているのだ。

ちなみに、AV男優の給料は、
いわゆるその他大勢の“エキストラ”や“汁男優”だと、1現場1,000円~5,000円
ステップアップしてAV男優として一本立ちしても、1現場1~5万円が相場。
だが、これが人気男優になると、年収1000万円を超える場合もあるという。
しかし“エロメン”達の画像を見てみると、そのイケメンレベルは非常に高く、
芸能人になるのと同じくらいのハードルの高さが予想される。

7-4.売り専・出張ホスト

ゲイの男性客の皆さんへサービスを行う。
勤務地は新宿二丁目あたりがやはり多いようだ。
給料は歩合制。
ちなみに、新宿二丁目の料金の相場は、
ショート(60分)で1万円~1万5千円
泊まりが3万円前後らしく、バック率は50~60%のお店が多い。

7-5.ゲイビデオ・出演男性モデル

ゲイの皆さんが鑑賞するAVへ出演する男性モデルの仕事。
内容は、単体ヌードなどのソフトなものから、カラミありのハードなものまで多種多様。
その内容によって、給料(報酬)も異なる。
20代前半の若者でイケメンであれば、
ソフトな内容でも1現場3万円~5万円程のギャラをゲットできる。
カラミありの内容だと、1現場10万円以上の報酬を得られる場合も多い。

それにしても探せば色々あるもんだな…。
オレが感慨に耽っていると、ケンタが驚いたようにスマホを見せてきた。

「ちょっとコレ見てみろよ、こんな仕事もあるんだ!」
その画面にはこう出ていた。

“イケメン添い寝士を募集中!”

8.イケメンだけが出来る仕事…。“添い寝屋”とは?

なんだ?添い寝士って?とその求人募集らしき説明文を読み進めていく。

どうやら“添い寝屋”というイケメンビジネスがあるらしい。
女性客の自宅やホテルに男性“添い寝士”を派遣し、女性と同じベッドに入って、腕枕で添い寝をしながら優しく話しかけ、癒しを提供するサービスだという…。

添い寝屋を題材にした漫画『シマシマ』(山崎沙也夏・講談社)も話題となり、2011年には三浦翔平主演でドラマ化(TBS)もされた。

なかでも「Rose Sheep」というお店が有名で、そのホームページを見てみると、これまた色んなタイプのイケメンがズラリと顔を揃えている。
確かにこんなイケメンの腕の中でピロートークをされたら、女性もメロメロになるだろう…。
その利用料金は、2時間2万円3時間3万円4時間4万円となっている。
思いの外、高額な料金を設定している…。
その中から添い寝士にどのくらいのバックがあるかは不明だが、2時間で1万円近くの報酬は手に入りそうなシステムである。

9.さて、イケメンはどの仕事を始めるのか…。

ここまで調べた時点で、ケンタが言った。
「どの仕事が気になった?」

ホスト、出張ホスト、イケメンマッサージ、レンタル彼氏、AV男優、売り専、ゲイビデオ…、添い寝士…。
 
正直、気になる仕事ばかりなのだが、オレに出来そうな仕事はない…。
というより、どの仕事も不細工なオレが採用されるわけがない…。

「ケンタはどうなんだよ?」
逃げるように逆質問をした。

「ん~、何だかどの仕事も大変そうだよな~。マッサージの技術を身に付けたり、オバさんとか男性客の相手をしなきゃいけなかったり…」

「そりゃイケメンだからって、簡単に稼げる仕事なんてあるわけないよ!」

「あ~、もう面倒だから“ママ活”で小遣いでも稼ぐわ~。知り合いがママを5人作ってて月に80万円とか小遣いもらってるんだよね~」

く、クソが!マジでイケメンが羨ましいわ!
オレもママ活したいよ!
どこかに“ブサイク”好きのママいないかな?

[ライター]フリーター虎次郎

気ままなバイト生活を送る、とある男の物語。
オレの名前は、トラジロウ。
といっても「男はつらいよ」の“寅次郎”ではなく、一字違いの“虎次郎”。この名は「男はつらいよ」の熱狂的なファンだった父と、大阪生まれで「阪神タイガース」をこよなく愛する“虎党”の母によって命名された。
そんな有難い名前を頂いたオレは、すくすくと“虎党のフーテン”に成長する。
ただし“寅さん”の時代のように、境内でバナナの叩き売り、なんてシノギがある訳なく、そこは現代流、求人サイトを時たま覗く気ままなフリーター稼業。
そんな“寅”ならぬ“虎”の仕事日記。
よろしくおたのみ申します。