デリヘル店長が語る【コロナ禍の風俗店】リアルな実情

■風俗店(デリバリーヘルス)の店長に聞く

「風俗業界は不況に強い」と世間ではいわれているが、新型コロナウイルスというかつて経験したことのない感染症の脅威の前では、まるで歯が立たなかった。

2021年10月……
第1回目の緊急事態宣言から約1年半が経過した今、日常を取り戻しつつある東京の街。
今回は、都内城東エリアで12回線を使ったデリバリーヘルスを運営中の会社で店長職を務めている磯村さん(仮名・41歳)にお話しを伺ってみました。

■2020年4月7日 1回目の緊急事態宣言の発出

ご存知の通り風俗の商売は濃厚中の濃厚接触ですから、お客様は激減しました。

私は7年程、風俗業界で働いていますが、こんなに電話が鳴らない日々を経験したことはありませんでした。

1日2人しかお客様が入らなかったこともありました……

男性スタッフもアルバイトを含め18人いましたが、4人を解雇しました。
送迎ドライバーも全員解雇。社員スタッフが送迎を兼業しました。

残ったスタッフも給料は30%カットです。
私は店長ですから、コロナ以前は月給50万円をもらってましたが、35万円になりました……
売上が戻ってないのでしょうがないですが、10月の今もそのままです(笑)

■女の子への影響

当然女の子もコロナウイルスを怖がります。
他の女の子と一緒の事務所待機を嫌がったり、お客様の自宅派遣をNGにする子も増えました。
業界未経験の新人女性の採用も見送りました。

とにかくフリーのお客様が全然来ないので、採用しても保証給が飛んでいきます……
ですから、指名が入っている女の子を中心に出勤させて、指名が取れない子は出勤規制(出勤日を減らす)にしました。
また、事務所近辺に住んでいる女の子には、出勤させず自宅待機をしてもらってやりくりしました。

■女の子によって明暗が分かれる

指名客を持っている女の子はすごいですよ。
コロナ禍でも常連さんは週に1度、月に1度と必ず遊びに来てくれます。
客足の途絶えたこの時期に大変助かりました。

「よく知らないフリーの女の子と遊ぶより、いつも会ってる女の子のほうが安心」
コロナ禍なので余計にこのような心情なのでしょうか……

お店側としても、予約が入っている子や常連客が多い子の出勤を優先します。
人気がある子が稼げなくてお店を辞めちゃわないように、少ないフリーのお客様も優先して付けます。

コロナ禍では、女の子の勝ち組と負け組がはっきりと分かれました
指名上位の女の子はコロナの影響が薄かったです。収入も3割から4割減といった感じでした。

指名の取れない女の子は稼げないので他店に移り、そこでも稼げないのでまた移籍して……
東京で感染が拡大したら東北や九州に出稼ぎして……そんな悪循環が生まれてました。
特にgotoトラベルの時期は、この業界の女の子移動が 地方に感染拡大させた要因の一つだと思ってます。

コロナ感染拡大のなか、世間からは夜の街の商売、ホストクラブやキャバクラなど接待飲食店がターゲットになって非難されました。
なぜか風俗店は蚊帳の外におかれ、さほど騒がれませんでした。
一時期パチンコ店も非難の的にされてましたが、風俗店は世間にバレなくてよかったです。

■コロナ陽性者は出た?

私もいろんな風俗店の方と情報交換していましたが、風俗店でも表沙汰にならないだけで、女の子を中心に感染者は出てました。
特にオリンピック開催前、第5波の頃は毎日いろんなお店から「陽性が出ちゃったよ」って連絡がありました(笑)

ウチも女の子やスタッフから陽性者は出ましたが、幸運なことにクラスターは起こらなかったです。
やはり第5波の時期は感染拡大を実感しました。
ウチの店でも10名以上の女の子が陽性になりましたし、スタッフも3名が感染。

業界的に急に連絡が取れなくなる女の子も多いので、お店が把握できていないだけで感染者はもっといたと思います……
7月から8月にかけて女の子の感染者は日ごとに多くなりました。
感染経路は不明ですが、居酒屋やカラオケバー、ホストクラブに行っていた子が多かったです。

コロナ禍になって、「ホストクラブに行った女の子はクビ」などの規約をつくったお店もありましたが……この仕事は女の子が抱えるストレスが大きいので、息抜きを規制するのも難しいです。
第5波の真っ只中、感染者が連日爆上げしているときも、歌舞伎町のホストクラブは入店前に行列ができてましたから(笑)

■コロナ禍のお客様

コロナ禍では「高級店ほどお客様が減って安い店ほど繁盛していた」と、吉原のスタッフは言ってました。

恐らく、高級店を利用するエグゼクティブな客層は風俗遊びを控えたのでしょう。

例えば、銀座や赤坂、六本木の高級クラブは閑古鳥が鳴いていたが、蒲田や錦糸町の大衆キャバクラは連日大盛況だったのと似てますよね。
ある店舗型のお店では、コロナ禍なので更に安価なキャンペーンを実施したら、朝から大行列ができてましたから(笑)

あまり大きな声では言えませんが……ウチの店でも「こんな時期に遊びにきてんだから安くしろよ」って感じでマナーの悪いお客様が増えました

■今後のコロナウイルス対策は?

もちろん感染対策には細心の注意を払って営業しています。
デリヘルは、女の子とお客様が1対1で密接しますので、女の子が感染対策の意識を持っていないと何が起こるかわかりません。

しかし、キャバクラのように会話がメインのサービスではなく、一度に複数の人たちが集まる密集や密閉状態をつくる商売ではありません。
運営のやり方次第では、感染リスクを相当減らせるのではないでしょうか。

ワクチン接種が広まるのが一番効果的だと思っています。私も女の子やスタッフにワクチン接種を勧めています。
とはいえ強要するわけにはいかないので……
きちんとヒアリングしたわけではないのではっきりいえませんが、女の子の接種状況は30%~40%ほどではないでしょうか。若い子ほど接種をしていないですね。

理想は「当店の女の子は全員ワクチン接種済み」と打ち出したいですね。
また、お客様に向けても「ワクチン接種済み割引」などのキャンペーンをおこなってワクチン接種をどんどん促したいです。

■コロナ禍の女性の応募 メンエスは好調

コロナ禍の女性の応募は減りました。お店も新人の採用を見送っていた状況でもありましたが……
ウチのグループではデリヘルの他にも色んなタイプの風俗店を運営していますが、非風俗店メンズエステは逆に女性の応募が増えました

ワンルームマンションがプレイルームで、性的なサービスはないお店ですが、コロナ禍では女性のニーズとマッチしていたのでしょう。
ワンルルーマンションに女性1人で待機して、お客様を迎え入れる流れなので、受付スタッフからギャラを受け取る以外は、基本的には誰とも顔を合わせない

サービスの制約も少ないです。
デリヘルならば、ディープキスから始まり全身リップ、玉舐め竿舐め……など決められたサービスを完遂しなければならないですけど、メンズエステはオイルやアロマを使って全身をマッサージすれば問題はありません。
それでいて客単価は2万円~2万5千円などデリヘル並みですから……

■コロナ禍を逆手に取った企画が好評

オイルマッサージをメインにしたデリバリーエステで、“マスク接客”を始めてみたのですが……意外とお客様にも好評で売上が伸びています。
もちろん、女の子にもマスク接客の評判はよくて、質の高い女性からの応募が増えています。

またメンエスに来るお客様はデリヘルと比較して過激なサービスは求めていないので、お互いにマスクを着用したまま接客する場合も多いです。

風俗業界は大変な状況だったので、デリヘルや店舗型で稼げなくなった女の子がメンズエステに大量に流れてきました。
まさにコロナ禍にマッチした業種ですよね。

■スタッフの採用状況

正直、売上はまだ戻ってきていないので、男性スタッフの募集はメドが立っていません
ドライバーさんは何名か雇いましたが、今は現存のスタッフで切り盛りするしかない状況です。

デリヘルは、受付スタッフが一度にたくさんのお客様を接客するわけではありません。
電話やメール、LINEなどを駆使して少数精鋭で切り盛りできる仕事です。
これをよい機会として、運営スタッフの業務を一から見直しているところです。
ただ、年末頃には売上もコロナ前に戻って、新たなスタッフを迎え入れたいですね。