ガールズバーで働く男性スタッフの仕事をリポート!
■ガールズバーの現役スタッフにお話しを聞いてみた!
- 今回インタビューをお願いしたのは、新宿は歌舞伎町のガールズバーで現役スタッフとして勤務しているトモヒコ君(27歳)。
ほっそりとした顔立ちに白いシャツとグレーのカーディガンがよく似合う、爽やか系ファッションのイケメンさん。一見どこかの優秀な大学にでも通ってそうな青年の雰囲気である。トモヒコ君今働いているお店で2年近く働いています。カウンター20席のお店で18時から翌4時まで営業しています。女の子は1日10人位出勤しています。男性スタッフは店長と僕、あと2人の4人体制で回しています。
私のように夜のライター稼業なんてものを何年も続けていると、いわゆる“水商売”にの世界に身を置く男性が放つ“独特の雰囲気”みたいなものを嗅ぎ取れるようになってくるのだが……。
トモヒコ君に目を向けてみると、彼からはそんな“夜の気配”は一切感じられない。
むしろスタバかなんかのカフェで“うんちゃらマキアート”でも作ってそうな男の子である。 ■“コロナ禍”でお店への影響は!?
かくいう私も40歳を過ぎた頃から、キャバクラで飲んだり風俗に行ったりするのが面倒になってきている。
むしろ、カウンター越しに可愛い女の子を眺めながら、軽く1杯飲むのが丁度良かったりするのである。
そんな時にとあるガールズバーで知り合ったのがトモヒコ君であった。
カウンターのなかでワイワイと働く女の子たちのうしろで、静かに黙々とドリンクを作っている彼に興味を惹かれて話しかけたのがきっかけである。
まずは、挨拶代わりに“コロナ感染拡大”による影響について聞いてみる。
歌舞伎町は4月頃を境に街から人の姿が消えてしまった時期があったが、客入りはどうだったのだろう?いやー、大打撃でした!3週間完全休業しました。でも最近(11月)はお客さんが戻って来て去年より売上も良くなってます。近距離で接客するキャバクラはまだまだ苦戦しているお店も多いですけど、アクリル板を挟んでカウンター越しに接客するウチみたいなガールズバーは徐々に復活してますね。
後述するが、ガールズバーとキャバクラの接客スタイルの違いが、コロナ禍での集客面に影響を及ぼした。
依然として苦戦を強いられているキャバクラ店では、ガールズバーへと営業形態を変える会社もあるという。■そもそも“ガールズバー”とはどのようなお店なのか?
- 「ガールズバーってどのようなお店なの?」「キャバクラと何が違うの?」まずはそこから聞いてみよう。
ガールズバーとは、その名のとおり、女の子がカウンター越しに接客したりお酒を作ったりするバーです。 キャバクラと違って、朝の5時~6時まで営業しているので、会社員のお客様はもちろん、夜の業界の人たちがお仕事終わりに来てくれたりします。ちなみにキャバクラは“風営法2号営業”なので、“営業時間延長地域”の歌舞伎町や繁華街でも“深夜1時”までしか営業できないんですが、ガールズバーは“深夜酒類提供飲食店”の届出なので、“終夜営業可能”なんです。
確かそうだった。2006年頃、当局の規制が厳しくなって歌舞伎町でもキャバクラで深夜の時間外営業ができなくなった頃からガールズバーが急増したのである。
■キャバクラとの違い① “接待行為”はNG!だけど……
- 確か当時は、ガールズバーが数多くオープンしたのだが、キャバクラと同じ“営業スタイル”を続けて“風営法違反”として“摘発”が続いた。
いわゆる“キャバクラ隠し”のガールズバーが結構あったことを思い出す。- 営業形態には注意が必要で、深夜酒類提供飲食店のガールズバーでは、キャバクラと違って“接待行為”がNGです。“接待”の定義が難解ですが……。ソファーやテーブル席を設けて女の子がお客様の隣に座って接客する行為はNGです。
隣りに座るのが禁止だからカウンター越しの接客になっているのである。
また、厳密にいうとお客様とカラオケで“デュエット”したり、特定のお客様の近くで“継続して談笑”するのもNGみたいです……。だからキャバクラにあるような女の子の“指名制度”はありません。接客する女の子は順次入れ替わっていきます。
女の子を指名できないどころか、継続して談笑するのも禁止なのである。
指名制度がないから女の子が営業する必要もないんです。お客様が女の子の連絡先を聞くのもNGにしているお店もありますから……。そういうスタイルなのでキャバクラよりは料金が全然安いですよ。料金システムは“60分3千円飲み放題”なんてお店が多いです。
たしかにキャバクラよりはリーズナブルなんだが、他によいところはあるのだろうか?
ガールズバーには指名制度がないので、働いている女の子はキャバ嬢と違って“指名”や“同伴”の“ノルマ”や“罰金”がないんです。 だから仕事をするハードルが低いので、女子大生やOLさんなど普通の女の子が集まりやすいんですよ。
なるほど、ガールズバーはキャバクラみたいにキャバ嬢との“恋愛ゲーム”を楽しむ場所ではなくて、基本的には女の子がバーテンをしている“普通のバー”なのである。
■キャバクラとの違い② 男性スタッフの仕事内容は?
- ではガールズバーで働く男性スタッフはどのような仕事をしているのだろう?また、キャバクラの男性スタッフと仕事内容の違いはあるのだろうか?
- ■開店準備、閉店作業、掃除
- 開店時間の1時間前(18時頃)に出勤して、店内の清掃や席のセッティングといった開店準備をおこなう。また閉店後(翌4時)のあと片付けもおこなう。
- ■ホール業務全般
- グラスや灰皿、おしぼりなど席のセッティング、お客様のご案内やオーダーの確認、ドリンクやフードの提供、アイスや灰皿の交換などのウェイター業務をおこなう。
- ■その他雑用
- タバコ、備品などの買い出しなど、お店で発生するさまざまな雑務をおこなう。
仕事はキャバクラの男性スタッフとあまり変わりません。大きく違う点は、ガールズバーには本指名や場内指名といった指名制度がないので“女の子の管理”が楽なところですね。ガールズバーの男性スタッフの仕事って、キャバクラと比較するより……普通のバーとか飲食店(居酒屋)の仕事と似ているような気がします。可愛い女の子とワイワイ働ける特典はありますが(笑)
■“ビラ配り”や“客引き”も仕事なの?
夜の繁華街をウロついたことのある人は見たことがあるだろう。
ミニスカートやショートパンツ姿で太ももを露わにした女の子がビラを配りながら、道行く男たちに声をかけている光景を……。
『ガールズバー、いかがですか~♪』と、野球場のビールの売り子みたいなかけ声を出しながら街角に立っている姿を……。- あの路上でおこなうビラ配りや声かけも仕事に含まれるのだろうか?
集客面では非常に効果的だと思うのだが。最近はビラを配ったりして客引きをするお店は減りました。ウチの店も以前はやってましたけど今はやってません。ガールズバーって深夜酒類提供飲食店の営業になるので、深夜営業の居酒屋などと同じ括りなんです。だからお客様への声かけも『まあ大丈夫だろう』みたいなノリでやってたと思うんですが、今は“迷惑防止条例”もあって規制が厳しくなっていますから……。それに女の子たちも嫌がりますしね。今は求人情報に“ビラ配り・客引き一切なし”ってわざわざ謳って、女の子の応募が増えるようにしてます。
たしかに“客引き禁止”の指導をしている警察の姿もよく見かける。
■キャバクラとの違い③ 男性スタッフの給料は?
ガールズバーの男性スタッフはどのくらの給料をもらっているのだろうか?ド直球で聞いてみた。
ウチのお店は、アルバイトは時給1,300円スタートです。正社員だと初任給が月給25万円です。キャバクラと比べたら給料は安いですね、やっぱりキャバクラとガールズバーは“接客濃度”が全然違いますから自ずと給料も違って来ます。まずお客様が使う金額が違いますよ、キャバクラは一席“ウン十万”なんて普通ですからね、その分女の子のレベルや接客内容、男性スタッフの振るまいなどサービス全般の“質”は問われます。
では何故キャバクラじゃなくてガールズバーで働くのだろう?給料が高いほうがよいのではないだろうか?と問うてみる。
たしかにガールズバーのほうが給料は安いですけど、“気楽”なんですよね。
■ガールズバーで働く理由とは?
- 気楽……それは仕事が楽だから?
いや、仕事内容はそれほど違いはないですけど。知り合いのボーイさんに聞くと、キャバクラってなんか男性スタッフのノリが“体育会系”で、“上下関係”も厳しそうでボクには合わないかなと……キャバクラと比べたらガールズバーのほうがもっと“ゆるい”ですね。気軽な雰囲気で働きやすいです。
先に述べられていたように、キャバクラは高額なサービスを提供する故により高度な接客を求められ、お店の雰囲気が厳しくシビアになっていくのだろう。
キャバクラの場合は、男性スタッフの給料に、担当するキャバ嬢の売上歩合がバックされるので高収入を稼げますが、その分“女の子の管理”が大変になります。当然上司からも女の子の出勤管理や接客を厳しく指導されたりしますから…。
■キャバクラとの違い④ 働く女の子にも違いが!?
働いてる女の子のタイプも、キャバクラとガールズバーでは大きく違うという。
キャバ嬢って、お客様を呼べば“歩合”(バック)が付いて収入が増えますが、その分指名を取らなければならない“ノルマ”や、同伴出勤ができなかったときの“罰金”、といった厳しいルールもあるのでプレッシャーからピリピリしてる子が多いんですよね。また女の子同士が“ライバル関係”だったりもするので……
女の闘い……ちょっと怖い。
だから、キャバクラって男性スタッフがそれぞれのキャバ嬢の“担当”になって、色んな“ケア”をするんです。女の子のの仕事に対するモチベーションをキープしてもらうために、グチを聞いたり悩み事の相談相手になったりしながら彼女たちにヤル気を出してもらうようにします。あくまでお店は“女の子が主役”なので。
だが、女の子が主役という意味ではガールズバーも同じではないのか?
いや結構違います。 もちろんガールズバーにも“ガチ”で稼ぎに来ている女の子はいますけど、どちらかというと『友達と一緒にヒマな時間でお小遣いを稼ぎたい』みたいな軽いノリの女の子が多いんですよ。やっぱり高収入を稼ぎたかったらキャバクラで働きますから。でもキャバ嬢よりは全然稼げないけど『キャバクラには抵抗がある』とか、『ノルマや同伴、アフターなんて面倒くさい』といった女の子が多いんです。女子大生とか昼間は普通の会社でOLさんをしている子とかナイトワーク初心者の“素人”女子が結構働いてるんですよ~。
そのようにナイトワーク初心者の女の子が多いから接客の質は高くないが、逆に遊び慣れたお客さんには受けたりしているのだろう。
よい意味で、“気軽”なノリ、お友達感覚のカジュアルなバーといったところか……。そうです。お客様もフランクな方が多いので、僕ら男性スタッフと友達みたいに仲良く話してくれる常連さんも結構います。 自分は元々『店長になりたい』とか『水商売で成り上がりたい』みたいな欲もないんで……上下関係とかプレッシャーが少なくてほどほどに稼げる今のアルバイトは気に入ってます。カワイイ女の子と知り合えるし(笑)
■ナイトワーク初心者の“登竜門”としておすすめ!
トモヒコ君は「自分にとって“やりたいこと”が見つかるまでは、ガールズバーのアルバイトを続ける」という。
たしかに、男性でも女性でも『ナイトワークの業界で働いてみたいけど……』と迷っている水商売初心者の方にとっては、“登竜門”として“気軽く”ガールズバーで働いてみるのもよいかもしれない。
しかし。
最後にトモヒコ君はコロナ禍で移り変わる業界事情を話してくれた。
コロナ禍でキャバクラからガールズバーに鞍替えするお店が増えてきて、最近のガールズバーでは“キャバクラ並みの高額料金”を設定しているお店が増えて来てます。接客スタイルはカウンター越しのガールズバーと同じなんですけど、女の子のドリンクの金額が高かったり、高額なシャンパンを入れさせたり……ガールズバーだからといってあんまりハメを外さないように注意してくださいね(笑)

かつては歌舞伎町の名店エアポートが主戦場であったドカント編集部の中の人。ナイト業界をウォッチし続けてウン十年。コロナに負けるな夜の街!アダルティーな業界を応援し続けるライター。