ボーイが語る【同僚・上司・キャバ嬢・お客】キャバクラあるある
■現役男性スタッフが語るキャバクラのリアルな日常
5年近くキャバクラ業界に身をおいている事情通、今回で二度目のインタビューになる。
夜の街に怪しく輝くネオンスポット……そこで羽ばたく夜の蝶キャバ嬢たちと働く現場では一体どんなことが起こっているのだろうか?
やっぱり怖いスタッフはいるのか?キャバ嬢と付き合ったりできるの?お客にされた嫌なことは?気になることを直撃してみる。
「キャバクラ業界には興味があるけど、実際はどうなの?」と思っている男性諸君に、お仕事選びの参考にしていただきたい。
■キャバクラあるある『スタッフ』編
- まず最初に気になるのは一緒に働いている上司や同僚などのスタッフについて。
キャバクラ=夜の世界、そこで働く男性というと……半グレ風な強面(こわもて)スタッフをイメージしてしまうのは私だけではあるまい。曽根さん「自分は今まで2店舗でしか働いてないんで、たいしたことはいえないですけど……やっぱりお店は“体育会系のノリが多い”ですね。若い人間が集まっているんで“縦社会”じゃないとメチャクチャになっちゃいますから」
──やっぱり怖い上司がいたりしますか?
「いますよ、まず見た目が怖い(笑) でも怖いのにも意味があって、自分らは酔っ払いとかタチの悪いヤカラから女の子を守る仕事なんで、多少いかつい雰囲気がないと収拾がつかないので」──怒鳴られたりとかしますか?
「普通に仕事をしていれば全然大丈夫です(笑) めったなことでは怒られないです。やらかしたら怒られますけど」──やらかすとは?
「まず“遅刻”ですね、超怒られます。罰金を取る店もありますよ。キャバクラは“時間を売る商売”なので、まずは“時間厳守”が最低限のルール」──遅刻をしない……一般常識です。
「それがこの業界では常識じゃないんです(笑) だいたい新人ボーイは夕方の4時とか5時に出勤するんですけど、何度怒られても毎回遅刻するヤツがいますから。もう罰金で給料も数万円になっちゃう」──なんのために働いているんだ……
「こっちも遅刻してるヤツに電話は入れますよ、営業が始まる時間まで何十回も……でも全然出ない。『こりゃ飛んだか?』と思ってると……」──“飛んだ”とは“辞めた”とか“バックレた”ということですね。
「次の日にシレーッと出勤してくるヤツもいますし(笑)」──やはり“飛ぶ”人は多いですか?
「多いです、というより8割は1ヶ月以内で飛びますね(笑)」 ■入れ替わりが早いキャバクラボーイの世界
──8割が1ヶ月で辞める?尋常ではないですね。
「やっぱり仕事がきついんです。新人ボーイの主な仕事は“掃除”なんですけど、これがめっちゃきつい!店内にゴミひとつ落ちてない状態はもちろんですが、テーブルやグラス、壁や鏡までピカピカにしなければならない。汚れた箇所が上司に見つかったら……超怒られます」──遅刻の次は清掃に注意ですね。
「営業前にみっちり1時間以上は掃除をするので、冬でも汗だくになります」──そこから営業が始まると……結構きついですね。
「だから初日で飛ぶ人が多いです(笑) 思ってたのと違ったんでしょうね」──営業時間中も大変なんですか?
「もちろんです。灰皿交換、ドリンク提供、おしぼり出し、カラオケのセッティング……ボーイの仕事は限られているので単純作業が多いですけど、とにかくスピードが求められるので慣れるまでは大変」──もたついてたら怒られますか?
「いや怒られはしませんが、キャスト(キャバ嬢)からの評価は下がりますね。『チッ、使えねえな』って」──まさに時間を売る商売。お客さんは1時間で数万円も払いますからね。
「とにかくボーイは、キャストやお客さんから呼ばれたら大声で『ハイ!』と返事をすること。即返事、これが大事です。店内は結構な音量でBGMが流れているので負けないくらいの大声で『ハイー!!』とね。小さい声でゴニョゴニョしてたら……」──怒られますか?
「怒られますねえ(笑)そして返事をしたら即行動です。声がかかった席まで飛んでいってオーダーを聞く。飛んでいくとはいっても他のお客さんに迷惑にならないように走るのではなく“超早足”です。そしてオーダーを聞いたら即行動。ドリンクの注文だったらキッチンに、チェック(お会計)だったらフロントに伝え……とにかく営業中は動きっぱなし」──きつそうですね。
「夕方4時から24時過ぎまで動き続けるのでハードです。営業が終わっても深夜2時過ぎまで、キャストの送りの手配や締め作業(会計作業)、店内の片付けがありますから。慣れるまでは足腰ガクガクになりますよ。だから8割が1ヶ月のうちに……」──辞めちゃいますか。こりゃ若いスタッフじゃないと勤まりませんね。
「いや意外と最近は、30代のボーイも多いですよ。熟女系のキャバクラですと40代とか50代のボーイさんも見かけます」──中高年にも可能なんですね。
「ナイトワークなので基本的に”来る者は拒まず”の精神です。男性も年齢不問、未成年はだめですけど(笑) 前職や経験もまったく関係なし。遅刻しないで声が大きくて体力がある人ならば……」──仕事を続けられると?
「それだけじゃないけど(笑) キャストやお客さんからパシリのように使われても折れない心を持った人なら続けられます。あと年下の上司から説教されても聞く耳を持てる人なら大丈夫です」■キャバクラあるある『キャスト』編
キャバクラで働くならば、キャストとの関係も重要である。
きらびやかなドレスをまとったキャバ嬢たちとの仕事場は、一体どのような世界なのだろうか。──ボーイはキャストからパシリのように使われると?
「キャストにもいろんな方がいますからね。日々のストレスをボーイにぶつける人もいます。自分も昔、営業中に生理用品を買いに行かされたことがありました(笑)」──それはちょっと非常識ですね。
「キャバクラで働くと、女性を見る目が変わりますよ。 もちろんナンバーに入る(売上ランキングが上位の)キャストはスタッフにも気配りができる常識的な方が多いです。新人のボーイであろうが店長であろうが接し方を変えないですし、気持ちよく仕事ができます。お客さんは正直ですからナンバーに入るキャストにはきちんと理由があるんですよ」──ただ可愛いだけで売れる世界ではないと。
「“楽して金を稼ぎたい”という考えのキャストには常識のない人が多いですね。“出勤したらギャラもらえるんでしょ”みたいな態度のキャストもいますからね」──一般職では通用しませんね。
「夜の世界でも通用しません(笑) 水商売をなめてるというか、“時給だけもらえればOK”みたいな……学生さんとかのアルバイトに多いですね。スタッフからは”時給泥棒”って呼ばれます」──営業努力をしない。
「さらにそういった売上を作らないキャストに限ってシフトは誰よりも多めに出してくる、これキャバクラあるあるです(笑)」──座り続けて時給稼ぐぞと。
「それで出勤調整(キャストの出勤日を減らすこと)したりするとメッチャ文句を言ってくる。こっちだってお客さん呼んでくれるなら土下座して出勤してもらいますよ」──自分のことばかり主張するタイプですね。
「そう、キャバ嬢に向かないタイプなんですよ。相手を思いやることができない。スタッフに対して思いやりがない子はお客さんに対しても同じなんですよ。だからそんな子には”太客”になりそうな良いお客さんは付けられない」──曽根さんも結構ストレスたまってますね(笑)
「またそういう子が店の悪口を言いふらすんです。“あの店は稼げない”とか……ひどい子になると“他の店の方が稼げる”とか女の子に吹聴したりしますからね(笑)」■キャスト(キャバ嬢)との関係には注意
──キャストとの関係で気を付けている点は?
「キャストから”ビジネスパートナー”として信頼してもらうことです」──この人の指示に従っていけば稼げるようになると。
「キャバクラで正社員になると、何人かのキャストの担当になります。担当になるとキャストの売上の20%~30%が歩合として支給されます」──結構な収入になりますね。
「そうです、だから担当するキャストには『自分も全力でサポートするから一緒に稼ぎましょう』って伝えます。こっちも人間ですから真面目に頑張っているキャストにはどんどん稼いで欲しいですから、良いお客さんをガンガン付けてあげたり……」──伸びるキャストには協力を惜しまない。
「もちろんです。この仕事でおもしろいと思うのは、”女の子が化ける“ことです。接客なんて全然できなくて仕事中に泣いてた女の子が、ちょっとコツをつかんだら2、3ヶ月で月収100万円を稼ぐキャストに化けちゃう(笑)」──俗にいう“風紀”(店内恋愛)なんてことはありますか?
「ウチでは禁止です。風紀違反は罰金50万円。大手グループやきちんとした運営をしているキャバクラだったら風紀は厳禁だと思います」──あらそうなんですね。
「とはいえ、実際は”色管理”(色恋管理の略、スタッフがキャストと恋愛関係になって管理すること)している店も多いです。でも長い目で見たら、色管理なんてやらない方が得策なんです」──何故ですか?
「まずスタッフとキャストの恋愛関係を店に持ち込むと、だいたい他のキャストにバレます。女の子は敏感なんで(笑) そうなると当然”アイツはあの子をひいきしてる“といった噂になって、キャストのモチベーションが低下します。スタッフの指示を聞いてくれなくなる。結果、売上がダウンする……」──そうか……
「さらにインターネットの掲示板で”あの店は色管理だ“なんて噂になってしまったら大打撃です。新しい女の子が集まらなくなってしまう。キャストを指名しているお客さんの耳にも色恋沙汰が入ってしまうかもしれない」──スタッフと付き合ってるキャストを指名するお客はいませんね。
「若い男と女が集まって仕事をしてるから、恋愛関係に発展することもありますけど、店にとっては一時的にキャストの出勤が確保できたとしても長期的にはリスクばかりでマイナスなんです」■キャバクラあるある『お客さん』編
職場としてのキャバクラ、一緒に働くスタッフやキャストについて聞いてみた。
今度はお店でお金を使ってくれる”お客様”についてあれこれ聞いてみよう。──キャバクラに来るお客さんで大変な思いをしたことは?
「いっぱいあります(笑) まず”怒る人”。なんかよくわからないけど店に来たときはニコニコして優しそうなおじさんだったのに、ちょっと目を離したすきに超怒ってる。キャストに事情を聞いてもわからない」──酒乱ですか?
「んーどうでしょう。でも結構いるんです、怒る人。すごい些細なことでブチ切れちゃう人。”酒が濃い“とか”席が気に入らない“とか(笑) キャストに説教するお客さんは珍しくはないですけど、怒る人はちょっと大変ですね」──日常のストレスをぶつけてるんでしょうか。
「あと困るのはお客さんどうしのケンカ。隣がうるさいとか指名したキャストがかぶってたとか……お酒が入って、しかも女の子の前だからどっちも引かない引かない(笑)」──そんなときはどうするのですか?
「もうひたすらスタッフが謝ります。悪いことしてないですけど(笑) 『申しわけございません!』と土下座です。 誰かが詫びれば何となく場が収まったりしちゃうんで……」──理不尽だ。
「いやいや、一席数万円も使ってもらうんで土下座も仕事のうちです。変なプライドを持っていたらボーイは勤まりません。それよりゲンナリするのは……”渋チン客”ですね(笑)」──しぶちんですか?
「お金を使わないお客ですね。キャストにドリンク一杯もごちそうしないお客とか、週に何度も来てくれるけどフリーをつらぬくお客とか……キャストもフリーで同じ人に5回とか接客してると話すこともなくなりますよ」──一体何しに来てるんだろう?
「あるあるですけど、”金持ちアピールする人はケチ”とか(笑)キャストにとって重要なのは”今日いくら使ってくれるのか?“であってお客の預金残高ではないですから 」■夜の世界、好印象なお客さんは?
──こんなお客さんはスタッフから歓迎されるみたいなものは?
「そりゃ大金を使ってくれるお客さんでしょ(笑) やっぱ夜の世界はお金の切り方(使い方)がきれいな人が尊敬されてモテるんですよ」──一晩で何百万円も使うお客さんもいる世界ですからね。
「あとはチップをくれるお客さん(笑) 自分もボーイだった頃に来店すると必ずチップを1万円くれるお客さんがいましたよ。金融関係の人でしたけど、神でしたね」──気前がいいですね、そりゃモテるわ。
「良い女の子を紹介しちゃいますよね(笑) 逆に『今日は俺がおごるから』って言ってたのに結局割り勘にする上司とか、絶対モテませんね。キャストはよくみてますから、いただいた名刺に”渋チン上司”って書かれますよ(笑)」──LINEも既読無視しちゃいますね。
「ボーイが仕事をしていてうれしいのは、『すぐ帰るから』って宣言していたお客さんが延長してくれたり、初回フリーで来たお客さんが今度は指名で来てくれたり……普通に嬉しいです」