【夜の仕事人インタビュー】キャバクラ・ボーイの仕事について、現役黒服が教えます!

【夜の仕事人インタビュー】キャバクラ・ボーイの仕事

曽根隆也氏(26歳)の場合

今回、取材に応じてくれたのは、池袋のキャバクラでマネージャー職についている青年である。曽根隆也氏、26歳。

日焼けした顔肌に整えられたアゴヒゲ、カールした長めの髪から覗く耳には輝くピアス。
ジャケットにシャツ、そしてタイトなパンツに至るまで黒ずくめで決めている。
とどめはティアドロップのサングラス。
お兄系?というのだろうか、ソッチ系のファッション誌から飛び出てきたような若者…。
というのが彼の第一印象である。
私のようなオッサンと会話が噛み合うのか、一抹の不安が過ぎる…。

「おはよーございまーす!今日はよろしくお願いしまーす!」
小洒落た黒ベースの名刺をこちらに差し出しながら、意外にも明るく大きな声の挨拶。
ん?グラサンを外したら何とも愛らしい瞳をしているではないか…。
オラオラとした見た目とは違って、社交性のある好青年なのかも知れない…。

前職の広告代理店で配属された職種は、“営業”…。

曽根氏は、都内の私立大学を卒業後、企業や店舗の求人広告を扱う広告代理店に入社した。

「なんか”広告代理店”って響きがカッコ良くないですか?マスコミっていうか、クリエイティブな感じで。まぁ、それぐらいのもんですよ(笑)」

しかし、実際に仕事を始めてみると、その厳しさに驚いたという。

「配属されたのが営業部だったんで、仕事といっても毎日電話で”アポ取り”ばかり…。扱ってるのも求人広告だから、クリエイティブなムードなんて何にも無かったんですよね」

──思い描いていたイメージと仕事内容とのギャップが大きかった。それで退職を?
「それもあるし、営業成績も悪かったんで…。営業電話を掛けるのがホント苦手で…。それでも仕事だし上司に怒られるんで、イヤイヤ電話をするんですけど、『忙しい時に電話してくんじゃねぇよ!』とか怒鳴られたりすると一日中ヘコむんですよ…」

しかしその営業の仕事から、どのような経緯でキャバクラの黒服(ボーイ)に転職したのだろうか。
それを問うと、曽根氏は苦笑いしながら頭を掻いた。

仕事が肌に合わず苦悩している時に、天使の囁きが!?


「広告代理店で働いてた時に、キャバ嬢と付き合ってたんですけど…」

──おっ!その女の子に「一緒にキャバクラで働こうよ」って誘われたとか?
「いや全然違くて、彼女が愚痴ってくるんですよ。『お店の黒服が女の子に”手を付けてる”』って…」

──ええっ!?何故彼女はそれを知ってるの?
「そのお店は朝3時まで営業していて、ラストまで働いたバイトの女の子達はお店から支給される”送り代”(タクシー代)を節約するために、始発電車まで”店泊”(お店に泊まる)するコトが多かったらしいんですよ…。それで彼女も店泊した時、奥の席で隠れるようにマネージャーの男と女の子が寄り添ってるのを見かけたらしくて…。それとなく観察してたら、マネージャーがキスしながら女の子の体を触り始めて…、しまいにはスカートの中に手を忍ばせたって言うんですよ」

──いいな~、じゃなくて、キャバクラって風紀(男性スタッフとキャバ嬢の男女関係)は厳禁なんでしょう?
「もちろんですよ!しかも店内ですからね(笑)彼女も『メッチャ気持ち悪い』って超怒ってましたね。『どうりでその子はエコヒイキされてると思った』とか言って(笑)」

──そりゃそうだ。
「でも、自分はその話を聞いて思ったんですよ。『給料を貰いながら可愛い女の子とイチャつけるなんて最高の仕事じゃね?』って…」

──えっそっち!?それが転職の理由?マジ…?
「マジッスよ、大マジ(笑)一年くらいだったらバイトしても面白そうかなって。彼女に聞いたら時給も1,300円スタートとか結構良いし…」

──若いって素晴らしいなぁ(遠い目)
「まあ現実は、ウチのお店も”風紀がバレたら罰金100万円”だし、今思うと、我ながらアホだなぁと思いますけど(笑)でもその頃は、広告代理店の営業の仕事に嫌気が差してたこともあって、そんな話に背中を押されちゃったんですよね~」

キャバクラ業界への転職を決意するも、面接のハードルは高く…。

”キャバ嬢とヤレる”といった、いかがわしい動機でキャバクラ業界への転職を決意した曽根氏であったが、採用へのハードルは意外に高かったという。
「キャバクラサイトや高収入求人サイトを見ながら、歌舞伎町の高級店とか、都内に系列店を持ってる大手グループをピックアップして面接を受けたんですけど、全部不採用でした」

──ホント?この人材不足のご時世、若い男性なんて引く手あまたじゃないの?
「見た目がネックになったんですよねぇ。ロン毛にヒゲピアスで(笑)その頃は正直言ってキャバクラ業界をナメてたんですよね。水商売なんてチャラくても全然OKだろって。でも実際は大違いで、『髪切ってヒゲ剃ったらまた来てね~』どこもそんな感じで全く相手にされませんでした」

──で、どうしたの?髪切ってヒゲ剃って面接に行ったの?
「いやいや、いくら仕事のためとはいえ嫌じゃないですか。その頃はまだキャバクラの女の子とヤル気満々だったんで、容姿は重要だと思ってたし」

──そっちにヤル気満々って…。でも採用されないと始まらないでしょ?
「そうなんですよ、だから今度は大手の高級店やグループ店にこだわらずに、男性向けの高収入求人サイトを細かくチェックしてみたら、意外に見つかったんですよ。”髪型自由””ヒゲ・ピアスOK”みたいな感じで求人を出してるお店が…」

──それって高級店や大手グループは面接の際、それなりに厳しく”品格”みたいなものを求めてくるけど、中小のお店はもうちょっと”アットホーム”というか、そこまで規律が厳しくないお店もある、ということ?
「そんな感じですね。自分が採用されたお店、というのは今働いてるお店ですが、求められたのは”やる気”だけでしたから(笑)第一、面接官がヒゲピアスでしたからね」

──それで無事、キャバクラ業界に滑り込めたと…。それは正社員としての入社?
「いや、最初はバイトから始めました。お店の雰囲気も、キャバクラの仕事もどんな内容なのかよく分からなかったんで…。女の子の“体験入店” と一緒で、ボーイ(男子スタッフ)にも”体験入店歓迎”ってお店は多いんですよ。”1日1万円”で”日払い”みたいな」



いよいよキャバクラでボーイのバイトをスタート!

こうしてキャバクラのボーイ人生をスタートさせた曽根氏だったが、すぐに厳しい現実を思い知らされたという。
「だって、勤務初日にいきなり先輩スタッフから”風紀は厳禁!発覚したら罰金100万円”って雇用規約を見せられたんですよ。もう目の前が真っ暗になりましたね」

──まだその話(笑)
「でもそれが転職の最大の動機ですからね。それが初日で完全に崩れちゃって。バイトで入って良かった、すぐに辞めようってマジで思いましたよ、その時は…」

──そこを乗り越えて今も働いてるという、その理由は?
「お店の感じも超良かったし、まぁせっかく採用されたんで、少しは様子を見てみようと…。それで働いていたら、これは営業の仕事よりも、精神的には全然気楽だなぁって思えるようになって…」

──精神的に気楽? それってどういうこと?
「これまでの営業でやってた仕事って、見ず知らずのお店や会社にいきなり電話を掛けて営業するじゃないですか…。そしてほとんどの人から『忙しいのに何なんだよ!』って邪険にされるわけですよ…。でも、キャバクラのお店に来るお客様っていうのは、ウチを選んで来てくれてるんですよね。だから営業というか接客もしやすいし、気持ち的にも全然楽なんですよね~」

──お店に遊びに来てる時点で、もうお客様の導入部分は終わってるんだもんね。
「そうなんですよ、拒否られないって大事ですよ(笑)」

──でも、キャバクラって今でも“客引き”をやってるお店も多いんじゃないの?法律的にはNGだけど…。それが”電話アポ”みたいなお客様導入の仕事になるのでは?
「当店では客引きやキャッチはやっていません!もしやらされてたら、速攻で仕事辞めてます(笑)よく街で『客引きキャッチは犯罪行為です』みたいなアナウンスが流れてますけど、自分は浄化作戦の大大賛成派っすよ~」

時給1,300円のアルバイトから、月給30万円の正社員へ!

”キャバクラのボーイになれば女の子とヤレる”
そんな淡い期待を一瞬にして打ち砕かれながらも何とか仕事を続けた曽根氏。
その後はどのようなキャリアを歩んだのだろうか。

──バイトから始まって、その後の経緯はどのような感じですか?
「バイトで2ヵ月ほど働いた頃に、店長から『正社員になって本格的に働かないか』って誘われました。それまでは週4日勤務のシフトにしてたんですが、正社員になると、お店の定休日以外は出勤して週6日勤務になります。『大変にはなるけど給料も上がるから』って…」

──そして正社員になったと。お給料はどんな感じで上がったんですか?
「バイトの時は時給1,300円、1日9時間、週4日勤務でだいたい月給20万円くらいだったのが、正社員になったら月給30万円になりましたね」

──3ヵ月目で10万円近くの給料アップ!今は”マネージャー”ですよね?正社員からマネージャーになるまでにはどのくらいの期間がかかりました?
「まず正社員になってから、半年で”主任”になって、そこから1年半くらいで”マネージャー”になったから、約2年ってことになりますね」

──2年でマネージャー!それってスピード出世ですよね?
「いやいや、この業界だと全然普通ですよ」

──そうなんだ…。それでお給料の方は?どのくらい昇給したんですか?
「主任になった時は月給33万円、マネージャーになって月給38万円になりましたね」

──月給38万円!20代だったら高給取りですよね?
「マネージャーになると女の子の担当になるので、月給38万円は基本給で、女の子の売上の20%の歩合給が付きます。だから月によって変わりますけど、だいたい月収は50万円は越えてますね…」

──そんなに稼いでるの!?
「ウチの店長なんて30半ばで年収1500万円ですよ!」

──でも、それだけの給料を貰えるってことは、昇格につれて仕事はどんどん大変になるのかな?ボーイの仕事内容について教えてくれる?
「開店・閉店業務に、営業中はホールスタッフとしてお客様の案内やウェイター業務。まずはそんなところがメインの仕事になりますね。それで昇格していくと、雑用的な仕事は少なくなって、ボーイの管理や女の子のマネージメント、それに“付け回し”の仕事なんかも入ってきます。その先は女の子や男性スタッフの面接、それに店の経営に関する仕事なんかもあると思うんですが、それは自分よりもっと偉い人間の仕事になりますね」

──”付け回し”って女の子をどのお客様の席に付けるか指示を出す仕事ですよね。
「えぇ、今はもう任されてますよ」

──もうすっかり現場の指揮官ですね。ついこの間まで”ボーイになったらキャバ嬢とヤレる”なんて勘違いしてたのに…。
「いやいや勘弁して下さいよ…」



キャバクラ・ボーイの仕事内容や給与体系まとめ

【仕事内容・給与体系】
●正社員
ボーイ(黒服)・・・月給25万円~30万円
 ↓       清掃・買い物等の雑用全般、ウェイター係、アイス・灰皿交換など
主 任    ・・・月給30万円~
 ↓        新人ボーイの教育係・雑用・女の子の付け回し業務など
マネージャー ・・・月給35万円~
 ↓       新人の女の子に接客方法や指名の取り方などを教育。
         女の子の担当になり出勤管理※売上歩合も発生する。
店 長    ・・・月給50万円~※月収100万円オーバーも可能
         女の子の面接、売上管理、お店全体をまとめる。

●アルバイト 時給1,300円~1,500円
日給10,000円~12,000円

【待 遇】
日払い可能、個室マンション寮完備、食事付き、送りアリ、社保完備、スーツ貸与、交通費支給

【タイムスケジュール】
17時・・・出勤
19時・・・営業開始
25時・・・営業終了
26時・・・帰宅

昼の仕事とナイトワーク、その違いといえば?

──広告代理店の営業っていう“昼職”からキャバクラ業界という“ナイトワーク”に転職して、何か仕事の違いみたいなものは感じましたか?
「う~ん、キャバクラの仕事は夕方5時スタートなんで早起きしないで済む…とか」

──ま、まぁ、そうですよね。それ以外に違いは?
「夜の業界、ナイトワークの方が給料はいいですね。広告代理店で働いてた頃の給料はいくら残業したところで月20万円そこそこでした。それがキャバクラで正社員になったら月給30万円ですから」

──確かに、10万円近い差は大きい!その差はどこからくるのだろうか?
「働く時間帯が深夜ということもあるんでしょうね。コンビニなんかも深夜は時給が上がるじゃないですか。でも何より、キャバクラ業界って風俗業界なんかと同じ“ハイリスク・ハイリターン”なジャンルの仕事として括られていて、そのイメージに沿って高い給料が設定されているような気がしますね」

──きつい、怖い、危険、みたいなマイナスイメージがあると…。
「でも実際にはキャバクラってただの飲み屋だし、特にハイリスクでもないんですが(笑)」

──なるほど、そんなイメージに引っ張られて給料が高くなっていると。昇格・昇給が早いってのも同じ理由だと?
「スタッフの回転が早いのが大きいと思いますね。給料が高い分、休日が少なかったり大変な部分も多いんで、結局それに耐えられなくなって辞める人も多いんですよ。お客様や女の子を相手にするのであまりに無愛想だと務まらないですしね…。でもまぁ決して難しい仕事じゃないし、そつなくこなしていけばトントンと昇格・昇給していく事も多いですから、そのスピードも昼の仕事との違いかもしれませんね」

”デキちゃった”こともあり…大手グループへの転職も視野に。

こうして“昼職”からキャバクラのボーイへ転職し、今やマネージャー職と華麗に転身した曽根氏。 そんな彼に今後ついて尋ねてみると、意外にも思案顔となった。

──あれ?これからもキャバクラ業界で生きていくんじゃないですか?
「それはそうなんですが、今のお店でこのまま仕事を続けていくか、大手のグループに移ってステップアップを目指すか迷ってるんですよ」

──えっ、でもそのお姿では…、面接に行ったところで…。
「そうなんですよ(笑)でも自分も26歳だし…。いつまでもこんな恰好してるのもどうかなぁと思って…。それに、近々結婚する予定なんですよ」

──それはおめでたい!その彼女はどこで見つけたんですか?
「前にウチの店で働いてた子ですね」

──ええ!?(キッチリお店の女の子に手を付けてるじゃん!)
「いやいや、在籍中は自分が担当してた子なんですけど、付き合ったのはお店を辞めてからですよ!」

──えええええー。(全然信じてない!)
「それがですね、ついこの前『デキちゃった』って言われちゃって。最初はビックリしましたけど、まぁ授かりものなんで。だから生まれてくる子のためにも、もっと稼がなきゃなって思ってるんですよ」

──あぁ、そういうことですか。もし良かったら彼女の写メとか見せて下さいよ。
「えっ、いいっすけど…、そんなに可愛くないですよ?」

そう言って差し出されたスマホの画像を見て、愕然とした。

──うわっ、チョー可愛いじゃないかー!(何故か落ち込む)
「マジッスか?このレベルだったらウチの店にいっぱい居ますよ。何なら明日、お店に来て下さいよ。どんどん良い女の子紹介しますよ!」

すっかりマネージャーの顔になった曽根氏が、そう言って笑った。