月収1千万のホストだった男が語るホストクラブの光と影【夜の仕事人インタビュー】

元ホスト 真也氏の場合

元ホスト 真也氏の場合 高収入求人ドカント
サイボーグ009の島村ジョーみたいな髪型や、日焼けとは違う土気色の肌つやも気になるが、まず目に付くのは歯の白さ
それは何というか清原みたいなセラミック的な白さ。

「歯、きれいですね」と言ってみると、「気付きました?メッチャ高かったんすよ」 と前歯をニッと剥き出しうれしそうに笑う。
400万しましたよ、ガハハ」 と年季が入った酒灼け声で笑う。

新宿歌舞伎町の区役所通りを真っ直ぐと職安通りのほうへ向かう。一角を左に折れると、お世辞にもきれいとはいえない古びた雑居ビルがある。
入り口の集合看板に、黒地に白文字で書かれた「バー●●●●」を見つけた。
薄ボンヤリとした暖色照明の店内、カウンター席10席、テーブル席が2つの小さな店。
このバーを経営しているのが今回お話しを聞く、真也氏(32歳)
元ホストだ。

真也氏は4年前、28歳までホストを生業としていた。
その後知人のホストクラブの手伝いを続け、このお店は2年前、30歳になってから始めた。
「ホスト」というと、年がら年中鏡で前髪をチェックしている自意識過剰なメンズをイメージしてしまう。
そんな苦手なタイプの人だったらどうしようかと不安に思っていたが、心配は杞憂に終わった。
真也さん、「ホストの話は何でも聞いてよ~」 と話し始めたらトークが止まらない人だった。

こちらに質問する隙すら与えないようにテンポ良くダミ声で捲し立てる。
「千葉の工業高校を2年で中退してね。地元の先輩が不良でホストクラブをやっててさ、まぁ今思うとホストもどきの店だったけど。17歳の頃そこで働き始めたんだよね……」
もちろん17歳は違法だが、そこから彼のホスト稼業がスタートする。

「当時うちの地元だとグレちゃった奴がやるのは金融屋かホストだったから。『○○先輩は闇金で月ウン百万稼いでる』とか『○○君はホストやってて羽振りがよい』とか、中坊の頃からそんな噂ばっかり聞いてたからさ、お姉ちゃん好きの俺なんか迷いなくホストに入ったね」

「その店は俗にいう田舎ホストでさ、ナンバーワンでも売上100万とかだったよ。地元のキャバ嬢やスナックのお姉さん、風俗嬢がお客さんで、いわゆる太客なんて全然いなかった」

「若いから指名客も付いて、17、18歳でチョットした金が貰えてたんでそれなりに楽しんでた。でもね、地元だと面倒なことも多いんだよね、田舎独特のトラブルが……『誰ソレは誰ソレの知り合い』だとか『誰ソレは誰ソレの女』だとかさ……大概その『誰ソレ』は厄介な人だったりするわけよ」

19の夜、歌舞伎町のホストクラブに向かう。

19の夜、歌舞伎町のホストクラブに向かう。高収入求人ドカント「当時は歌舞伎町でホストをやって儲かってる奴の話もよく聞いてたから、19歳の時に歌舞伎町に出たんだよね」

そのお店は「club ●●●」、なかなか有名なホストクラブだった。当時は歌舞伎町で3店舗を経営しており、新規店のオープンも予定していた。

「いろんなシガラミが嫌だから店は普通に求人広告を見て決めた。当時のホスト業界っていうと『ホストグランプリ』とかやってたり、ホストクラブの巨大な看板が街のなかに置かれ始めた頃だった。マスコミにも取り上げられたりして、まだまだ良い時代だったよ、夢を売る華やかな世界だったね……」

──ホストはキャバ嬢の男版というか、若くてイケメンだったらすぐに高収入を得られるイメージがありますが?
「いやいや、昔も今も変わってないけど、ホストなんて一人立ちするまでは悲惨で、延々と搾取され続ける世界だよ」

──搾取される?
「ほとんどのホストはまともに稼げてない。完全歩合だから客がいなけりゃ0円だよ。キャバ嬢みたいに時給3,000円とか絶対にない。月収ウン百万なんて稼げるホストは20人に1人5%ぐらいだよ。客が付かなければ単なるタダ働き、貴重な時間を毎日搾取される」

ホストの勤務時間や給与システムは?

──給与システムはどうなってますか?
「まずホストクラブの営業時間は6~7時間程度。 新人ホストの場合は清掃や雑用があるから早く出勤するので労働時間は1日8時間ほど。給料は客がゼロなら給与もゼロ。でも最近はホスト業界も人材不足だから最低保証日給を出す店も増えている。それでも日給5,000円程度だよ。まぁ売上が作れなけきゃ、その日給保証も3ヵ月で打ち切りだよ」

──思ってたより厳しいシステムですね。
「そういう稼げないホストは底辺ホストとか下流ホストとか呼ばれてる。日給保証を打ち切られるレベルならいいけど、働いて半年ほど経つと売上ノルマが設定されて、クリアできないとノルマ罰金マイナス給与になっちゃう奴もいるから。つまり、働いているのに店に借金を背負わされるわけよ」

[悲惨]底辺ホストの給与明細[号泣]

[悲惨]底辺ホストの給与明細[号泣] 高収入求人ドカント──給与なし、どころかマイナスで借金ですか?
「(電卓を手に)細かく説明しよう!例えば1日8時間勤務を週6日保証日給は5,000円。自分の売上はなし、0円。1ヵ月に24日出勤したとして、5,000円×24日で月給120,000円。時給に換算すると時給625円になるわけ。ちなみに令和2年の東京都の最低時給は1,013円だからね」

──何かの修行みたいな待遇ですね。
「修行修行、ガハハ。でもそれで終わりじゃないの!遅刻罰金30分遅刻で1,000円とか。当日欠勤は10,000円の罰金。無断欠勤は30,000円の罰金寮費も引かれる。俺のときは5人共用部屋一人20,000円旅行積立金もある。これは行かなくても8,000円とか10,000円とか引かれる。トドメは雑費

──雑費?
「店の備品代や維持費に回されるお金のこと。売上から10%程度が差し引かれる」

──お店の維持費をホストが出す?
「そう、ホストはキャバ嬢や風俗嬢と同じ個人事業主みたいな立場だから、店の維持費や備品代も負担しろよってこと。一説には裏の世界に支払う金ともいわれてるけど、ガハハ。ホストも売上とともにトラブルも増えるから……それに応じた金を払っとけ、みたいな意味かな、知らんけど

──働くホストよりもお店が優位な立場ですね?
「そう!だから店からするとホストは何人抱えてもOKなわけ。歩合制だから働くホストが増えるのは店側にとってメリットしかない。タチの悪い店なんて、マイナス給与の借金をタテに店を辞められないように拘束したりとか……そりゃ飛ぶ(無断で退店)奴が後を絶たないよ。もっとヤバイ店だと、面接で『君の親は何してるの?』なんて聞いて実家の収入を調べてマトモな家庭環境だったら、新人ホストを潰して借金を実家から回収するとかね、ガハハ」

──すごい、ここまで悪い話しかない(笑)
「だよね、だから最初の数ヵ月で辞める奴がほとんどなの」

──話が違うじゃないかと。
「でもきつい環境でも1割ぐらいの奴は客を拾ってくるんだよ。第一関門を突破するわけ」

貧困ホストから脱却する方法とは!

貧困ホストから脱却する方法とは! 高収入求人ドカント──どうやってお客さんをつかむんですか?
「街で客をキャッチする、ビラ配りしまくる、初回の客に喰らい付く、先輩のヘルプの時に頑張るとか……頑張るって飲みまくるってことね、先輩の客のボトルを空けること。最近ではInstagramとかSNSを使ってアピールしたりね……そして何とかノルマをクリアして売上を作っていくと、周囲も『コイツは伸びる』って見る目も変わってくるから。そしたら先輩にも可愛がられチャンスも多くなってくる。高級なスーツやアクセサリーを先輩からもらったり、太客のアフターに呼んでもらえたり」

──やっとよい循環に入って来ると。
「ホストは売上に応じてバック率(歩合)が変わる。スタートは売上の25%~35%バックが主流だね。客が10,000円を使ったら、2,500円とか3,500円がホストに入る。そして売上が100万円を超えたあたりから、バック率が50%とかになるわけ」

──そこそこ稼げるホストってどの位の収入なんですか?
「まずは売上50万円をクリアすること。 指名客を1日1人呼んで、月20本。同伴を月5回する。このレベルで中流ホストだね」

──そうすると給料は?
「(電卓を手に)説明しよう!①保証日給5,000円×月20日出勤(週休2日)で、合計100,000円。②売上が500,000円×バック率25%で、125,000円。③指名20本+同伴5本の計25本×1,000円で、25,000円。①+②+③で合計250,000円の収入となる」

──そこから諸々引かれて(笑)
「まあ奇跡的に遅刻もせず、寮も使ってなかったとして。雑費(公債費)が25,000円に旅行積立金が8,000円で33,000円。250,000円からマイナス33,000円で、217,000円。中流ホストで、月収217,000円!」

──ムムム、また微妙な(笑)
「いや、結構現実的な数字だよ。普通は50万円の売上を作るのも大変なんだから」

──たしかに、自分と飲むために25,000円のお金を使ってくれる女性を毎日呼ぶのは難しい。
「そう考えると厳しく思えちゃうけど、一晩でウン百万も使う客がいるのも現実だからね。100万円使う客が毎月1回でも来てくれたら、一気に『上流ホスト』に成り上がれる世界だから」

年収1千万円!上流ホストへの道!!

年収1千万円!上流ホストへの道!! 高収入求人ドカント──ああ、なるほどそう考えると……
「100万円の売上だとバック率が50%に上がるから50万円のバック。保証日給で10万円。諸々のバックはさっきと一緒で25,000円として、合計625,000円の給与額
そっから引かれても50ウン万円は貰える」

──そんな太客とどうしたら出会えますか?
「そりゃもうしかない!底辺ホストから中流ホストに上がるのは努力だとしたら、中流ホストから上流ホストに上がるのはだね。運良く一晩ウン百万使う客を何人もゲットしたホストが1千万プレイヤーになるのよ。さらに1千万円の売上だと70%とか80%のバック率に上がるから、700万円とか800万円以上の月収になる。指名や諸々のボーナス込みで900万以上の給料。こうなるともう『カリスマホスト』の仲間入り。今どき歌舞伎町でもそんな奴は10人もいないと思うけどね、実際は。看板に『売上5千万突破』なんて見かけるけど、ホントかよ?と思うよ」

稼げるホストになるコツとは?

──稼げるホストになるコツってあるんですか?
「一晩ウン百万使う客を見つけるっていったら雲をつかむような話だけど。まず、月に30万円使ってくれる客を5人作ると考える。それをベースに毎月一人、月に30万円を使ってくれる客を増やす。すると誰か一人潰れても売上は安定してくる」

──営業会社の部長の訓示みたい(笑)
「よくいわれるのが『店は商店街、ホストは各店舗の店主』。だから客の支払い方法もホスト自身が決められる。売掛といって、客にツケで飲ませてもOKなんだよ。もちろん客が払わないとホストが被る。売上ノルマやナンバーを上げるために無理して売掛で売上を増やすホストも多いよ。店も煽るからね、『あと50万円でナンバー入りだぞ』とか。だから売上が1千万でも中味は500万が売掛だったりね」

──真也さんも売掛がありましたか?
「あったあった、現金のみで売上作るなんてまず不可能だから。回収?そりゃ大変だよ、たいていは普通に払ってくれるけど、全然払わない女なんて猛者だからさ。日本語なんて通じないよ、開き直ってるから!『アイツの売掛飛んでやったわ』とか『あんな高い金で飲ますほうが悪い』とか別のホストクラブで自慢してたりね。歌舞伎町といっても狭い村だから聞こえてくるわけよ、そんな話がさ……このヤロー!と熱くなって電話すると『出るとこ出ようか?』なんて言ってくるしね。まぁ俺も他の店の売掛抱えてる女が客で来たら、その金払わせないで使わせてたけどね、ガハハ。化かし合いだよ、化かし合い」

──働くときにお店選びで気を付ける点はありますか?
「ホストは短期集中で稼ぐ仕事だから店選びは重要。何が重要かっていうと集客力に尽きる。店に集客力があれば、力のないホストもオコボレにありつける。インターネットや雑誌でたくさん宣伝をしていたり、有名なホストが在籍していたり、そういう有名店で一発勝負するべき。しょっぱい店で貴重な若さを腐らせるより」

真也さんのホスト時代の売上は?

真也さんのホスト時代の売上は? 高収入求人ドカント──真也さんも1千万プレイヤーでしたか?
「無理無理、俺お笑い担当だから、ガハハ。でも何回かあるよ、1千万超え。26歳の時とか、まぁ全盛期だよね、ガハハ」

──実際どの位稼いでいましたか?
「一番良いときでも年収2千万~3千万円いかない位かな。バースデー月に無理矢理頑張っても、翌月に揺り戻しがくるから、客が潰れたりとか……年間で並べたらそんな感じ。だけど、25~26歳の若い時に稼いだ金だからありがたみもなくバンバン使っちゃった。ホストはイメージが大事とかいって、高級マンションに住んで車買って、毎日後輩におごって……ホント今じゃ何も残ってないね、ガハハ」

──25、26歳頃が全盛期なんですか?
「そう、そこからはゆるやか~に落ちていく。やっぱ20代後半になるとホストの鮮度も落ちるから。世の中うまくできてるよ、接客の腕は上がるけど女からの需要がなくなる。ホストやってるとわかるんだよ、若い子たちの勢いを……」

──やはり年齢とともに需要がなくなるんですね?
「例えば、キャバクラだと男性客の層が幅広いじゃん。お金持ちの社長さんから肉体労働系の人、普通の会社員が接待で使ったりとか。また怪しい世界の方々も来たりさ……だから色んなタイプのキャバ嬢に稼げる可能性がある。業界未経験の子でも30代のベテランでも元ヤン系でもポッチャリ系でも……ホストの場合は、客層の広がりがないから。やっぱりキャバ嬢とか風俗嬢がメインのお客だから需要はやっぱり若いイケメンなわけよ!だって店に来る女の子たちは、毎日30代や40代のオッサンたちの相手をして疲れ果ててるから、30代ホストなんて見たくもないわけよ!だから20代前半が勝負なんだよね。短命な世界」

ホストを引退してからは?

──それで28歳の時に現役ホストを引退したと。
「そう、その頃から次の仕事を考えてた。だいたい10年も水商売やってると体もきつくなるから。2年ほど知り合いのホストクラブを手伝ったあと、残った金を元手にホスト仲間だった奴と共同で今の店を始めた。まぁその相方も半年で金持って逃げたけどね、ガハハ」

──バー経営はいかがですか?
「厳しいねー!ホールスタッフで元ホストの後輩を二人使ってるから、俺一人食ってくのがやっとってとこかな。俺の店は営業が深夜帯(深夜1時~朝方)だからさ。早い時間帯(17時~24時頃)は別の人に又貸ししてガールズバーをやってる、大家には内緒だけど、ガハハ。やっぱりお客さんはホスト時代絡みの人が多い。昔からのお客だったりね」

──ホストの後輩がお客さんを連れて来てくれたりとか?
「そうそう、一部終わり(24時頃)のお客とか、二部に行く前(日の出5時頃)のお客を連れてきてくれる」

──ホストをやってていて良かったと思いますか?
「そうだね、今の俺があるのはホスト時代のおかげだから、やったことに後悔はしてない。だけど17の頃から水商売しかやってこなかったのは後悔してる。肝臓が逝かれたら終了、みたいな世界だからさ、ガハハ。やっぱりホストって輝けるのは一瞬だから。華やかに見えるけど30歳まで現役ホストで生き残れる奴なんて数パーセントの世界。その後の人生のほうが全然長いからね」

──スポーツ選手の引退後みたいな感じですね。
「比べたらおこがましいけど、ホントそう思う。例えば、バンドマンとかも歌舞伎町でバーをやってるけど、ホストと構造は一緒だよ。“小さな宇宙”ってかさ……」

ホストもバンドマンもしょせん“小さな宇宙”

ホストもバンドマンもしょせん“小さな宇宙” 高収入求人ドカント──小さな宇宙?
「しょせんホストもバンドマンも“小さなコミュニティ”のなかの出来事ってこと。一般社会や世間的にまったく有名でもないから、その世界にハマッてる数少ないコアなファンが必死で支えてくれるだけなんだよ」

──たしかに、売れない芸人さんとかも……
「そうそう、芸人も役者も、最近だとユーチューバーとかも一緒。しょせんニッチな世界だから、お金を払えば一緒に酒も飲めるし遊びに行ける、下手したら肉体関係にもなれちゃう……いわゆる“触れられるアイドル”の男版みたいな」

──AKB的手法ですか!
「バンドマンも20代前半の全盛期は、毎月何度もライブをやってチケットを捌いて女の子から追っかけられて、ちょっとしたスター気分を味わえる。『俺メジャーデビューするから』なんつって、女に生活費出させてブイブイいわして。まぁホストだと『俺をナンバーワンにしろ』とか『リシャール入れろ』みたいな時期ってかさ」

──オラオラ営業ですね。
「けど30歳近くにもなると自分で『俺この辺が限界だな』と気付くわけ。『これ以上は売れないな』と。音楽の世界も若い奴がドンドン出てくるし、同時に客もドンドン若くなるから。女性も30歳あたりで結婚しちゃうとライブに来なくなるしね……ハッと気付いたときには、ギターとビジュアルメイクしか学んでないから会社員への転身も厳しい……変なプライドだけはデカくなってるから、今さらコンビニでアルバイトもできない」

──ぐぬぬ……
「そうなったら、もう後輩バンドの前座でいいから、月に1回はライブに出させてもらってバンドマンの立場とプライドをキープしつつ、ファンを食い止めながら自分の店に金を落としてもらって食いつないでいく。そもそも料理とか酒とか勉強して普通のお客さんに来てもらう意識は低いわけ。これが俺のいう『小さなコスモ』ってこと」

──なかなか手厳しい意見ですね。
「まぁ全部俺のことなんだけどね、ガハハ」

──確かに小さな宇宙は増えているような気がします。
“地下アイドル”も同じ構造でしょ。端から見るとアイドルも応援するファンの男も『何でそんなことやってるの?』って思われるけど。アイドルもファンも『それしかない』からだよ。『そこにしがみつくしかない』

──将来的には厳しい未来が待っている?
「そうだと思う、客がどこまで持つか。コッチは行けるとこまで行くぞって覚悟してるけど。妻子がいるのを隠しながら店をやってる元ホストの奴もいる。客がいなくなるか、肝臓がぶっ壊れるかだね、ガハハ」

最後の笑いには気のせいか元気がなかった気がしたが、終始まるで芸人のようにおもしろいエピソードを間に挟みながらのマシンガントークに圧倒された。
文章にしてしまうと、一見マジメな話になっている感はあるが……

未成年ホストの時代に一晩10万円で60代の婆さんに買われた話……(婆さんの醜悪な容姿と性癖の描写が素晴らしかった)
女絡みのトラブルで裏の世界の方々に丸二日間監禁された話……(闇の住人の方々の恐ろしさと何も助けてくれないお店の非情さが素晴らしかった)
売掛を回収しに行った先で、女性客の母親に半裸with包丁で追いかけられた話……(いかにおぞましい半裸姿だったかの描写が素晴らしかった)
しかし、本稿の主旨と離れてしまうので泣く泣く割愛したが、さすがの話術であった。

将来に対して半ば悲観的な思いを語っていた真也さんだが、
これほどの接客テクニックを持っていても成功への道は厳しいホストの世界に対して、
何だか一周回って感心した。
水商売の難しさ、奥深さに……

だが10年後、40歳になっても今日と同じようにカウンターで「ガハハ」と豪快に笑っている真也さんが容易に想像できるのも事実だ。
歳を取ってもその歯はやはり変に真っ白なんだろう……