温湯(ぬるまゆ)シュウイチの下衆リーマン日記!
誰もが知ってる某一流会社勤めの金融マン。40歳妻子持ち。
長男は私立小学校に通い、妻は専業主婦で習い事に大忙し…。
そんな順風満帆な人生がひょんなことから600万の借金返済生活へ!
つちかった役職知識をフル活用!カラ交通費に経費水増し、株式投資に副業、ギャンブルetc…
一発逆転高収入を夢に見て、合法ギリギリの小遣い稼ぎに狂う日々…。
嗚呼、今年の8月にはようやく司法書士にお願いした債務整理の返済が終わります。
それまで嫁にはバレませんように(ナムー…。
AGAのハゲ薬をインドから個人輸入し副作用で精力が弱りはじめた、
温湯シュウイチのゲスい日常。
【注】読後感悪し
番外編 温湯、株とか投資とかエコノミカルな話をする。の巻
■そして上場日当日を迎える。
- 朝の9時から、仕事をしている風を装ってパソコンと睨めっこ状態。
「“鳴り物入り”のアニメ制作会社。きっと買いたい奴らが殺到して今日は初値がつかないんじゃ…」
と思っていたら呆気なく初値が付いた。1株23万円。10株で230万円。
230万-190万=利益40万円。元カノと山分けすると、利益は20万円。
ウーム微妙、まぁこんなもんなのか…。しばらく売らないで置いておこうかとも考えたが、証券会社の担当の言葉が脳裏を過ぎる。
「IPOの鉄則は初値で売る」仕方ないので“売り注文”を出し、“約定”を確認してクソをした。
もうあまりに集中していたのでクソするのも忘れてた。そしてクソから戻って来たら、な、な、なんと!
初値が23万円で付いた後に、買い注文が殺到していて“売買停止”状態になっている!慌てて、担当者に連絡すると
「いや…まさかの“セカンダリー相場”に突入しちゃいましたね?」【温湯の経済マメ知識】…“セカンダリー相場”とは、IPOの抽選に外れた大多数の人たちが、「この会社の株は業績から考慮して、まだまだ上がるはずだ」と踏んで、鉄則通りに初値で売る人の株を買い上げる動きのこと。
ここでいう市場の相場観は…。
「このアニメ制作会社は、これから新作アニメを立て続けに発表する予定なので、この初値だったらまだまだ安い!」と考えた人々の買いが殺到したことになる。結局、初日は値が付かず、翌日も朝から買いが殺到し値が付かなかった。
翌日も同様で、価格は既に1株90万円になっていた…。結局…、1株92万円で値が付いた。
92万-19万=73万円
これが10株なので730万円の利益が水の泡…。やはり素人には株式相場は難しいのである。
■だが…、思わぬ副産物があった。
- コレで味を占めたのか、元カノがさらに「資金を出すから一緒に儲けよう」と言うのだ。
「私は株とかの知識がないからお金だけ出すわ。アナタは証券マンと組んでとにかく新規上場とか公募銘柄とかで利益を出してよ」
①利益、損失全て折半
②投資額は500万円まで
条件はこれだけ。いいね~ 他人の金で一儲け♪
もう上司の顔色を伺ってチマチマ働くのは辞めじゃ、辞め!
投資で喰ったる。秒速で稼いだる!そこから2、3年程は、元カノの金などを運用し、そこそこ上手くいっていた。
たまに元カノに利益を分配しながらも、口座には常に500万円ほどあった。今思えばここで立ち止まるべきだった…。
この時に借金を綺麗にして貯金でもしておけば良かったのだ。
だが、この時のオレは、いつまでもこの金は増え続けると信じていた。 ■先物取引の話。ここから怖い話。
- どこで知ったのか、株で儲けて気分良く仕事していたら、先物取引業者から電話があった。
適当に話を合わせていたら、若い営業マンが翌日会社に訪問してきた。えらい熱心な奴だな~と話を聞くと…、彼は新入社員でまだ実績が“0”だと言う。
“来月には子供が産まれ父親になる”らしく、どうしても契約が欲しいとお願いしてくる。「温湯さん、絶対に無駄にしないので、どうか一本お付き合いして欲しい!」
土下座せんばかりに、何度も何度も頼んでくるので仕方なく“石油”を買った。石油を、1口16万円で購入し、言われた通り、一週間後に19万円で売った。
ふーん、3万円の利益か…。
まぁこんなモンだろうな…。
と思っていたら、なんと口座には“30万円”の振込があった!びっくりして先物取引会社に連絡すると、営業マンは「金額に間違いはありません」と言う。
「そもそも1口16万円ということは、160万円で石油を買い付けして貰っていますから」ん?どういう意味?
■10倍でドカント一発大儲けなん邪!
そう、先物取引は大抵、買い付け額の10倍を動かす仕組み(レバレッジ取引)になっているのだ。
【温湯の経済マメ知識】…“レバレッジ取引”とは、自己資金の何倍、何十倍もの金で取引が行えること。 この場合でいうと、自己資金16万円を証拠金にすることで、10倍の金額、160万円の取引が可能になる。 レバレッジ50倍、100倍などいうフルレバレッジの取引もある。
オレが買った石油は160万円分で、それが190万円になったので売った、ということなのである。
チョット怖ぇな…と思いつつ、10倍の金が懐に入ってきたので内心喜んでいると、
「温湯さん、小豆行きましょう、アズキ!絶対に儲かりますから!!」
と鼻息荒く営業マンは勧めて来た。念のため金額を聞いてみると、200万円ほど買い付けて欲しいと言う。
ということは…、10倍で2千万円の取引!
あ、あ、小豆に2千万!?
「絶対大丈夫です。1割から2割プラスで売りましょう。利益は200万から400万円です!」「大丈夫?」
「絶対大丈夫です!」何度も言う。
この頃はまだ株価も順調で、元カノの金も当然使い込んではいたが、口座には500万円程あったのだ。
200万円くらい突っ込んでも大丈夫だろう。■そんなやり取りで、いざ2千万で“小豆”運用開始!
二日後、勢いづいているオレの元へ、営業マンから電話が入った。
「す、すみません…。小豆が1割下がってしまいました…」
「おいおい大丈夫かよ~、しっかり運用してくれよ~」
オレはまだ事の重大さに気付いていない。「お、追証をお願いします…」
「ん?追証って何?」【温湯の経済マメ知識】…“追証”(おいしょう)とは、追加で証拠金が必要になる状況。 レバレッジ取引では、一定の証拠金以上の額を維持する必要がある。 価格が下落すると一定額を満たすまで追証を入れないと取引が出来ない。
「実は1割下がったので、既に200万円の損失なんです。更に運用を続ける場合は、追加で200万円を入れていただかないと取引できないんです…」
「ぎょぎょぎょ!?」
ここで止めたら、たった2日で200万円の損失になってしまう。小豆で損失200万円だと!?
「ここは追証を入れて反転を待ちましょう。絶対大丈夫です!」
仕方がない。
更に200万円を追加入金。合計400万円で運用開始!
頼むよ、あずちゃん!!■四日後、祈り続けているオレに電話…。
「たたたた、大変申し訳ありません。また1割下がりましたので、追証を…」
「ぎょ魚魚魚魚魚魚魚魚」
ってことは、400万がパー?
無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理「今、やめたらどうなんの?」
「ハイ、400万円の損失です…」「今後の小豆相場の見通しは?」
「き、極めて暗いです。海外産の安い小豆が今後出回るらしく、更に下降トレンドになるかと…」「話しが違うじゃないか!何が下降トレンドだよ、なんとかしろよー!」
「…」罵詈雑言を浴びせていると、上司が電話口に出てきた。
「相場ですから、相場は生き物ですから。早く追証を入れて続けられるか、止めるかの指示を下さい」
「ぐぬぬ」「温湯様、相場は今もなお下降中です!」
「小豆やめてください、お願いシャス」こうして、わずか一週間で400万円を失った。
先物は素人がやるもんじゃない。ケツの毛どころかタマ裏の毛まで毟られてしまう。
資金を提供していた元カノに全てをブチまけようとも思ったが…、やめた。
何故なら、元カノは気性の荒い女である。
自分の投じた金が今や微々たるものになってしまった…なんて知れた日にゃオレの会社に怒鳴り込んで来る可能性もある。
一流金融関係にそんな失態がバレたら間違いなくクビだ。旦那の素性も分からない。危ない輩に拉致監禁される恐れもあるのではないか…。
(じゃあ何故そんな奴の金を使ったのかは置いておく)。その反面、株式投資の方は順調に進んでいた。
先物ほどバクチ的に儲かりはしないが、これからも手堅く資金を増やしていこう。
その中で、元カノにも利益を分配していけば何とかなるはずだ。先物の仇は株で討ってやる!
■そして、時を置かず2008年のリーマンショックを迎える。
終——————–了!
所詮、会社員と二足のわらじでは“リーマンショック”という十年に一度の相場変動になど、付いてはいけるはずがない…。
ビックリするような早さで口座から金が消えていった。元カノにも「投資大丈夫なの?」と聞かれたが、「多少目減りはしているけど何とか運用しているよ」と数ヶ月に一度10万円程度を支払い、ごまかし続けた。
幸いにも元カノは金に困っている様子ではないので、それ以上突っ込まれることはなかった。オレは何とか資金を調達するために、様々な金融機関から金を借りた。
商売柄、大手の金融機関から借金をすると、会社にバレてしまう可能性もあるので、主に消費者金融などから引っ張った。しかし、そんな金も一瞬にして溶けていった。
スッテンテンのテン。
残った借金600万円。ここからはオレがコラムで書いてきた通りである。
会社の経費や交通費のチョロまかし、愛人のカードでキャッシング、手術給付金かっぱらい…、などのギリギリのサバイブを続けている。(自業自得)
FX投資、バイオプ、仮想通貨…、等々。
いつの世の中でも、一見簡単に儲かりそうな仕掛けはたくさん転がっている。しかし、そこで稼ぎ続けられる強者など、ほんの1パーセントにも満たないのではないか…。
最後に、こんなオレから読者諸兄に言葉を贈ろう。
“絶対大丈夫”って言う奴は、信用しちゃいけないぞ!
■そして、この原稿を若ハゲに送った。
- 「いやー、中々でしたよ温湯さん。最後に来て僕のイメージと合致しましたね~」
フーッと、電話口から若ハゲのタバコ臭い息が届いたかと錯覚を覚える。
イラッとしたが口には出さない。大人だから。「でもこれ連載は終わっちゃってるんで、“番外編”ってノリですかね~」
「あー、そうですかねー」「いや、番外編でも若ハゲ編でも何でもいいから金払えよ」と思ったが口には出さない。大人だから。
「実は温湯さんの連載は12回しか設定してなかったんで、今回のはギャラが出せないんですよね」
「は?」「今回の分は、僕がまた奢りますから。それでウィンウィンでいきましょう」
もうひとつ、読者諸兄に贈る。
“若ハゲ”を帽子で隠してる奴は、信用しちゃいけないぞ!
By妖怪ハゲ散らし
Good Luck