【体験談】「私はデリヘルの仕事で“マック難民”を脱出しました」(39歳男性)

【体験談】『私はデリヘルの仕事で“マック難民”を脱出しました』(39歳男性) 男性高収入求人ドカント

【体験談】『私はデリヘルの仕事で“マック難民”を脱出しました』(39歳男性)

皆さんは“マクドナルド難民”“マック難民”という言葉を耳にしたことがあるだろうか?
これは日本で生まれた呼び名で、マクドナルドなど24時間営業のファストフード店で寝泊まりする人々のことを指している。
2006年にマクドナルドが24時間営業を始め、コーヒー1杯で朝まで過ごす生活困窮者が急増し社会問題化したことにより世間の注目を集めた。
ひと昔前は、“ネットカフェ難民”などと呼ばれ、経済的事情で家を持てずにインターネットカフェや漫画喫茶で寝泊まりしていた人々が、より単価の安いファストフード店へその根城を移したのである。

ドカントでは、2002年の雑誌創刊以来、このネットカフェ難民など“格差社会”の問題を時に触れテーマにしてきた。


【体験談】「私はデリヘルの仕事で“マック難民”を脱出しました」(39歳男性) 男性高収入求人ドカント


求人情報サイト『ドカント』では、“ナイトワーク業界”の求人案件を多数掲載している。
現住所(住居)がなくても働くことができたり、給料の日払いに対応していたり……ナイトワーク業界は、ネットカフェ難民やマック難民と呼ばれる身よりもなく社会から見放された人々の受け皿として、“セーフティネット”の役割を果たしている側面もある。

■都内デリバリーヘルス店員 山里さん(仮名 39歳男性)

今回取材に応じていただいたのは、都内のデリバリーヘルス店に勤務して2年目を迎える39歳の男性、山里さん(仮名)。

「マック難民を経験した方にインタビューしたい」
と編集部が探しているなか、取材先の風俗店の店長に紹介していただいた方である。

「漫画喫茶からマックまで、ひと通りの難民をやってましたよ(笑)今となっては思い出したくないきつい時期でした……」

山里さんは重い口を開き自らの経験を語ってくれた。

都内デリバリーヘルス店員 山里さん(仮名 39歳男性) 男性高収入求人ドカント

■倒産からブラック企業を経てネットカフェ難民に……

山里さんは関東の高校を卒業後に上京、数々のアルバイトを経て24歳で都内の印刷会社に就職する。
主に旅行業界のパンフレットを印刷する会社の営業職であったが、折からの不況に加えてリーマンショックによる不況も重なり会社が倒産、31歳で失業をした。

そこから再就職を目指すが不況も重なって採用には至らず、短期のアルバイトで食いつないぐ。
1年後、全国で居酒屋をチェーン展開する会社に契約社員として入社した。

だが、そこが凄まじいブラック企業だった。
連日連夜のサービス残業、休日出勤は当たり前、完全な休日といったら2、3ヵ月に1日あるかないか……
それでも正社員への道をエサにされ、会社に都合良くこき使われた。
そして約2年後、身も心もボロボロになった山里さんは、上司のデスクに辞表を置いて脱走した。

その後、せめて前職の経験を活かそうと、再び飲食関連の会社に就職するが、一度狂った歯車はうまく噛み合わない。
その会社でもまた人間関係でつまずいてしまう。
山里さんは精神のバランスを崩して退社し、自宅アパートに引き籠りがちになってしまった。

そして、35歳を過ぎた頃、貯金が底を尽きアパートの家賃が払えなくなる。
上京の際に両親の経済トラブルに巻き込まれたこともあり実家とは15年以上没交渉状態。
他に頼る親類や友人もなく、ついに住まいを失いネットカフェ暮らしに流れ着く。

「ネットカフェまで行くと悪循環に陥ります。部屋を借りるために仕事を探すけど、現住所がないのでまともな会社は面接すらしてくれません。 おのずと派遣会社に登録して日雇いの仕事がメインになります」

部屋を借りるためには、敷金や礼金など家賃以外の現金も必要になる。
しかし現住所を失うと、正社員など長期的に安定して働ける就職口も見つからなくなる。

「その頃は生きていくために建築関係の日雇いアルバイトをやりました。日給8千円くらいだったなぁ……」

しかし精神的なバランスを崩したままでは、仕事に出られる日は週に2、3日が限界であった。
そのうち、“1時間あたり200円”を切るネットカフェの料金も払えなくなる。

そして、ついに深夜のマクドナルドに行きつき“1杯100円”のコーヒーで夜を明かすようになった……

倒産からブラック企業を経てネットカフェ難民に…… 男性高収入求人ドカント

■マック難民を脱出できた転機は?

――ネットカフェだと一応個室になっていてプライベートは保てます。フラットシートで横にもなれますが、ファストフード店で一夜を過ごすのはつらいでしょう?

山里さん「ネットカフェはドリンクも無料だしシャワーも入れます。まず何より寝っ転がれるのが大きいです。ファストフード店は、“マック難民”が話題になってから店員のチェックが厳しくなって、夜は着席できない店も増えたし、ちょっとでも横になるとすぐ店員が来て起こされます。だから座ったまま寝るんです、テーブルに突っ伏したまま(笑)これがツラいんですよ、腰や関節が痛くなって……だから僕の場合は金が入ったらネットカフェ、金がない日はマックっていうスケジュールでした」

――どのようにしてマック難民を脱出できたのでしょうか?

「その日暮らしでマック難民をやっていると、ホントに体がきつくなるんです。日雇いの肉体労働がメインでしたから、シャワーも浴びずにマックで夜を明かして翌朝また現場に向かう生活をしていると心底不安になります。僕の人生どうなるんだろうって……」

――聞いているだけでも身につまされます。

「とにかく生活を立て直すために、部屋を借りようと思いました。そのためにはまず金を貯めなきゃならない。そして、それまで仕事選びの選択肢に入っていなかった水商売はどうかと思い立ったたんです。水商売は、本当に困った人の最後の砦みたいなイメージがあるじゃないですか(笑)」

――男女問わず最悪な事態を救ってくれる業界だと。

「こんな僕でも雇ってくれるんじゃないかと思って、求人サイトで探してキャバクラに何件が面接に行きました」

――キャバクラのボーイさんの仕事ですね?

「そうです。だけどやはり住所がないから採用してもらえませんでした」

――あぁ、やっぱりキャバクラも厳しかったですか。

「当時36歳だったので年齢的にもNGだったかも知れませんが……そもそもどこに住んでるかわからない奴を雇うお店なんてないですよね(笑)でもその時に面接をしてくれた店長さんが言ってくれた言葉で光が差しました

――店長さんは何と?

「“風俗店の面接を受けたら?”って教えてくれたんです。まず風俗店の場合は寮完備で募集しているお店が多いと……それも家賃無料家具や家電が備え付きで……そして、給料の日払いOKなお店が多いと……」

――たしかに風俗店の募集要項でよく見るフレーズです。

「僕は風俗業界を全然知らなかったので、すぐ検索しました(笑)“寮完備・即入寮可能・寮費無料”、それに“日払い可能”で探しました。それで今働いているお店を見つけて、すぐに応募しました」

マック難民を脱出できた転機は? 男性高収入求人ドカント

■寮に入り人生の風向きが変わった!

――そして無事採用となりましたか。すぐに寮に入れました?

「はい。店長が面接してくれたんですけど、僕の表情や振る舞いが相当に切羽詰まってたみたいで(笑)翌日から寮に入れるように手配してくれました」

――それはよかった。勤務条件はどうでしたか?

「勤務体系が2パターンあって自分で選べるんです。ガッツリ働きたい人は、月給30万円で勤務時間は1日12時間週休1日が基本です。寮に入る場合はこちらの勤務体系になります。もう一つは、月給24万円で勤務時間は1日10時間週休2日残業なし。僕の場合はとにかく寮に入りたかったので、迷わず月給30万を選択しました」

――実際にお仕事されてどうでしたか?

「ブラック企業で働いた経験があったので、風俗業界もやっぱり求人情報に嘘が多いだろうな……と思ってましたが、意外と勤務条件が本当だったのでビックリしました(笑)勤務時間は12時間と長めですけど、ちゃんと休憩が取れるし残業は一切ありません。そしてきちんと休みが取れますから。休日は月に6日取れます。月給は30万円、加えて売上に応じたインセンティブが付くし、ボーナスもあります」

――風俗業界のデリバリーヘルスで働いてみて感想は?

「デリヘルは電話で接客するのが中心なのでお客様と顔を合わせないから、居酒屋の接客とは違いますけど、接客業務は慣れてるのですぐに対応できました。女性の管理も、居酒屋時代にアルバイトの管理をしていたんで、その延長線上で何とかやってます(笑)あのブラック企業の経験が少しは活きた感じですかね……」

――ブラック時代の苦労が少しは報われましたか。デリヘルへの就職は大成功?

「間違いないです。デリヘルの仕事が僕をマック難民から救ってくれましたから……この仕事はアラフォーで未経験、家もない人でも雇ってくれるんですよ。社会から見捨てられてしまった僕みたいな人たちを……しかも高待遇で。まぁ“なりたい職業ランキング”には世間のイメージ的に絶対出てこないでしょうけど(笑)」

――苦労したことは何かありますか?

「やはり女性への対応ですね。キャストが一番大変な仕事をしているので、細かい部分までフォローできるように気を付けてます。もうオッサンなので若い女性への接し方は気を使います。“あのオッサン臭い”なんて言われたら最悪ですから(笑)」

――今後の目標などはありますか?

「このお店で働いて2年目ですけど、やっと自分で部屋を借りることができたので、ひとまず貯金したいですね。お金を貯めて彼女でも作りたいなぁ(笑)」

マック難民として世間から切り離された生活を経験した山里さん。
ナイトワーク業界で働いたことにより、少しずつ人生の歯車も好転してきている。