■会社員の平均月給は?
令和2年賃金構造基本統計調査(厚生労働省)によると、会社員(平均年齢43.2歳)の残業代などを除く平均賃金(月給)は30万7700円、手取り額にすると23万円ほどと報告されている。
『ドカント』読者の中心になる、20代から30代の年代別平均月給をみてみよう。
・20~24歳:21万2000円
・25~29歳:24万4600円
・30~34歳:27万4400円
・35~39歳:30万5200円
もちろん会社の規模が大きくなるほど収入は高くなる傾向にある。
■“いざとなったら水商売”は男性にも通じるのか?
「女はいいよな~いざとなったら水商売で働けばいいし~」
いまだにこんな物言いをする情けない男性陣は多い。
そもそも女性をバカにしているし、水商売のことも舐めている発言である。
テレビやマスコミは、キャバクラや高級クラブなどの水商売を取り上げる際に……
『月間ウン千万円を売り上げるキャバ嬢』
『キャバ嬢が教える男を手玉に取る方法』
などと女性が簡単に男性を騙してお金を稼いでいるようなマイナスイメージを植え付けているのもその要因の一つだろう。
たしかに、キャバクラや高級クラブを訪れる男性客は、数時間で3~5万円、お店によっては10万円以上の大金をお店に落としていく。
そして、求人サイトを覗いてみても、キャバ嬢たちの給料は、時給3000~時給5000円などの高給で募集されている。大きなお金が動いている業界なのは間違いがない。
そこで、今回ドカント編集部がお話しを聞いたのは、都内の某繁華街にあるキャバクラでマネージャー職に就いている男性、小向さん(31歳)。
ピンストライプのスーツを着こなし、髪型もツーブロックの七三分けでキマッている。
はたして、男性にとっても、キャバクラは稼げる職場なのだろうか。
■男性が稼げる仕事 キャバクラの男性スタッフ
「今の店で働き始めて2年半ほどですが、水商売歴は10年近くになります」
小向さんは現在働いているキャバクラでの仕事を語ってくれた。
【資格】学歴、職歴、資格は一切不問 ※未経験者も歓迎
【時間】16時30分~翌2時
【休日】週休1日~2日
【待遇】社員寮完備・社会保険完備・給与の日払い可能・食事付き
【仕事内容】
清掃などの開店準備、女性キャスト(キャバクラ嬢)の出勤確認。
オープン後はお客様への対応やウエイター業務を担当し、閉店後は清掃作業をおこなう。
自分が担当している女性キャストへ接客の指導やアフターケアをおこなう。
経験を積み、幹部スタッフになると付け回し業務も担当する。
※付け回し…キャストをどのお客様のテーブルで接客させるかを指示する業務。
【給料】
月給30万円スタート
・自分が担当するキャストの売上に対する歩合が支給される。
・幹部クラスに昇格すると、月給40~50万円以上に昇給する。
・店長クラスになれば、歩合も含めて月収100万円以上も可能。
【マネージャー職の収入例】
月収54万円(月給38万円+歩合給16万円)
※勤務歴2年6ヵ月
「僕ら黒服の仕事はこのような感じです。店長クラスまで昇格すれば、年収1千万円も現実的ですから、学歴や経歴など関係なく稼げる仕事です」
■3K“キツイ・厳しい・怖い”のイメージを払拭するために
――(編集部)小向さんが働いているお店は業界で有名な人気店ですから、他店と比べて給料や待遇がよいのでは?
「いや、エリアや規模などさまざまなお店で働いてきましたが、どのお店も月給は25万から30万円スタートでした」
――新人でも25万から30万円ですか……やはりキャバクラ業界は景気がよいですね。
「でも最近では男性スタッフの集まり(求人)が弱くなってるんです……水商売に“キツイ・厳しい・怖い”みたいな悪いイメージがあるのかな……と思ってますけど」
――たしかにそのような印象を持っている若者も多いかも知れません。
「だから多くのお店では、女性キャストと同じで、男性スタッフにも“1日体験入店”で仕事を決めてもらうシステムを取り入れてます」
――男性スタッフにも、まず1日アルバイトをしてもらって現実のキャバクラの仕事を知ってもらう。
「そうです。一緒に働くスタッフや女性キャストと接してもらい、どのようなお客様が来店するか自分の目で見てもらいます。そのうえで入社しするか判断してもらう」
――無理だと思ったら次から来なくても問題はない?
「もちろんです。1万~1万5千円程度のその日のお給料は全額日払いで支給しますから、ダメだったら次から来なくてもOKです(笑)」
――正式に入社すると、固定給制になりますよね?
「はい。ウチの場合は月給30万円スタートです。その後はチーフやマネージャーに昇格すると給料もアップするシステムです」
――固定給がしっかりしてるのは今の若い人たちには向いてますね。でも仕事内容が煩雑で大変そうなイメージがあります。
「たしかに、清掃や接客など最初は大変だと思いますが、単純な仕事なのですぐに慣れます。それより、“遅刻をしない”とか“挨拶をする”とか社会人として基本的なことが大切です」
――まずは時間を守れと。
「とはいえ、キャバクラは何といっても女の子が“命”なので、女性キャストの管理が最重要任務ですが……」
■お店の“命” 女性キャストの管理はどうするの?
――女性キャストの管理はどのポジションから担当しますか?
「ウチの店は“チーフ”からです。平社員の次の役職からキャストの担当になってもらいます」
――チーフに昇格すると、女性キャストの売上から歩合が入ってくる?
「そうですね、役職によって歩合の割合は変わりますが、自分の管理するキャストの売上や、お店に女の子を紹介したときにも歩合が付きます」
――キャストの出勤管理も真剣になりますね(笑)
「超真剣です(笑)僕個人で20名以上のキャストを管理しています。自分の給料もさることながら、キャストをより多く揃えるお店が繁盛しますから手は抜けません」
――小向さんの歩合給はいくらですか?
「毎月の固定給が38万円で、歩合はだいたい15万から20万円の間ですね」
――31歳で月収50万から60万円の収入ですか、30代前半の平均月給の倍ですよ!
「その他にも皆勤手当や家族手当などが付きます。店長になれば月収100万円以上ですから」
■女性キャストのメンタルケアも大切な業務!
――やはり稼げる業界ですね……しかし、女の子のモチベーションをあげたりグチを聞いたりしていると、親しくなり過ぎていつの間にか男女の関係に……とかありますか?
「それは業界用語で“風紀”といって完全御法度です。ウチの店では解雇と罰金100万円のペナルティーです」
――そりゃそうですよね、大切な商品ですから……
「ぶっちゃけると、“風紀もOK”な店もあります。若い男と女が一緒に働くので、仕事の悩みやプライベートの問題を親身になって聞いると……実際キャストと付き合ってるスタッフはメチャメチャ多いですから(笑)」
――いや~ある意味夢がありますね~。
「逆に、男女の関係になって女の子をコントロールする“色恋管理”を推奨してるキャバクラもあるくらいです。“お店に迷惑をかけなければ風紀もOK”ってのが現実ですね」
――お金と彼女をダブルゲットできるかも!
「いやいや、最初からそんな考えだと仕事は続かないです(笑)」
■まとめ
華やかなドレスを身にまとい、妖艶な色香を振りまく美しい女性たち……
お互いの太ももが接触する距離で水割りを作ってくれる女性たち……
男性でキャバクラを嫌いな人などいるのだろうか(いや、いるまい)。
そしてまた、男性が働く職場としてもキャバクラは魅力的であった。
スタート月給が25~30万円、順調に昇格すれば1~2年程で月給50万円以上を得られる仕事なんてそうそうあるものではない。
また固定給が保証されているのも安心なポイントである。
そして社会保険も完備され福利厚生面もしっかりしているし、社員寮まで提供される。
まさに良いことずくめだが……さすがに世の中甘くはない。
キャバクラの男性スタッフの仕事は大変である。
小向さんもインタビューで述べていたが、お店の“命”は“女の子”。
そして同じ位に大切なのはお店に大金を払ってくれる“お客様”。
男性スタッフのヒエラルキーは低い。
女の子>お客様>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>男性スタッフ
新人スタッフは入店してから数ヵ月間は、いわゆる“パシリ”業務が続くことになる。
まずはそれに耐えられるか……稼げる男の分かれ道。
女性キャストは店内での接客はもとより、お客様から指名を獲得するために同伴やアフターなど店外で営業をしたり、LINEやSNSを使ってお客様とコミュニケーションを取らなければならない。
そしてお店では、売上のためにお酒をたくさん飲んだりと、心身ともにストレスが多い。
また、お客様は職場や家庭のストレスを発散するために来店する。
当然、お酒が介在する接客サービスなので、さまざまなトラブルやハプニングに見舞われる。
男性スタッフは、その時々の対応力が問われる。
店長や幹部スタッフは、男性スタッフの現場での対応力を評価する。
キャストやお客様からストレスのはけ口にされても耐えられるか……
酔っ払ったお客様にからまれたキャストをどのようにヘルプするか……
しかもお客様の気分を害さないように……
キャストが酔っ払って仕事にならないときにどうするか……
このような場面での対応力を磨けば、昇格への道は大きく開かれる。