ある青年のドライバー稼業に迫る。キャバクラの送迎ドライバー編。

ライターはBARにいる。
キャバクラの送迎ドライバーに遭遇。その仕事遍歴は?後編

■そして“キャバクラ”の送迎ドライバーに至る。

「その後がキャバクラの送迎ドライバー?」
その問いに彼は頷き、現在の仕事となるキャバクラの送迎ドライバー、その仕事内容や収入、待遇などについて教えてくれた。

【ドライバー稼業・その③】キャバクラ・運営会社
職種:[アルバイト]送迎ドライバー
給料:日給6,000円~(高速代支給)※日払い制
仕事内容:営業終了後、女性キャストや男性スタッフを自宅まで送迎。
勤務時間:深夜1時~(2~3時間勤務)
休日:週1日から勤務OK
資格:要普通免許、車持ち込み ※ガソリン代は自腹

「なんか、これまでのドライバー稼業に比べて、給料がショボくない?日給6,000円で、しかもガソリン代自腹ってさ・・・」
「でも、早ければ2時間で仕事が終わっちゃいますよ。そうすれば時給3,000円だし、ガソリン代を引いても時給2,000円は超えるから、バイトにしては高時給な方でしょ?」

「日給で考えると物足りなく思うけど、時間が短いから時給換算すると割のいい仕事になるか」
「そうなんすよ。それに、この深夜に短時間ってのが、俺には好都合なんすよね」

■キャバクラの送迎ドライバーは、副業にピッタリの仕事!

深夜で短時間、いくら時給換算で割がいいとはいえ、あまり効率のいい仕事とも思えないのだが…。
彼にはそれが都合がいいと言う。その理由は?

「俺、自分で店を持ちたくて、今ダイニングバーで修業を兼ねてバイトしてるんすよ。だから独立の時に備えて、少しでも貯金しておきたいんっすよ。
キャバクラの送迎ドライバーって、勤務スタートが深夜で遅いから、ダイニングバーのシフトで間に合うし、勤務日も融通が利くんで、副業にぴったりなんっすよね」

「なるほど、キャバクラの送迎ドライバーは深夜・短時間限定の副業ってワケか」
「そうっす。それに俺、車の運転が好きだから苦にならないし。可愛いキャバ嬢達を眺められるという特典まで付いてますからね~。バックミラー越しだけど…」

■キャバ嬢の送迎ドライバーとして気を付けるポイントは?

そうはいっても深夜ドライバーの仕事である、大変なこともあるだろう。
「大変なこと?ん~っと、気を付けてるのは、道に迷わないことですかね…」
「ふ、普通…だね」

「いや、重要ですよ。キャバ嬢達は酔っ払ってメチャクチャ疲れてますからね。そんな時に道に迷ったりしたら超空気悪くなりますから!」
「あぁ、そりゃそうだわ」

「帰宅先をカーナビに登録するのはモチロンですけど、裏道とかバンバン指示してくる子もいますからね」
「酔っ払いを乗せたタクシー運転手さんみたいだ」

「当然、お店が終わってから帰宅方向が同じキャバ嬢は、一緒に相乗りして送って行くんですけど、その送る順番とかも気をつけないとヤバイですね」
「『私は後回しかよ!』みたいな」

「そうです、そうです。後はもう車内に沈黙が続く…」

なるほど。
簡単そうに見えてもやはりその仕事なりの大変さはあるものだ。
では、逆に仕事をしていて楽しいところはあるのだろうか?

「そりゃあ、やっぱり優しいキャバ嬢と出会えた時ですよ(笑)」
「だよね~(笑)」

「いや、基本的にキャバ嬢とは挨拶以外に喋ってはいけないんですけど、道中二人きりですからね…。コンビニまで送った時に『ちょっと待ってて下さい♪』なんて言われて、缶コーヒーを買って来てくれたりする子もいますからね…、『お疲れさまでした♪』なんて…。優しい子もいるんですよねえ…」
「いや~、そのキャバ嬢は売れるね~」

■キャバ嬢と送迎ドライバーはイイ感じになれるのか?

話がそちらの方に行くと、ここはやはり聞いておかなければならない。

「ちなみにさぁ、キャバクラの送迎ドライバーって、キャバ嬢と仲良くなれたり、美味しいコトがあったりするの?」
「えっ?」

「いや、だから、酔っ払ったキャバ嬢を家まで送っていたら、何か感じが良くなってそのままシッポリ…、みたいな…」
私がそう口にすると、離れた場所にいたマスターがこちらを向いてカッと目を見開き、歩み寄ってきた。
いつもながら、さすがの地獄耳だ。

しかし、ショウタ君の答えは、そんなマスターを満足させるものではなかった。

「いやぁ、キャバ嬢にとって、ドライバーなんてまったく眼中にないっすよ。店からも女の子に話しかけるのはNGって釘を刺されてるし。女の子によってはコッチに気を遣って話し掛けてくれる子もいますけどねぇ…。それよりも、ベロベロに酔っ払った女の子がゲロを吐かないかと、そっちの方がドキドキしますよぉ~」

「そりゃそうだよな。実際にゲロっと行かれたことはある?」
「えぇ、今までに二度ほど…。もう大変でしたよ」

話しが少しも艶っぽい方に行かず、寄ってきたマスターは不満顔で言う。
「ショウタ君さ、キャバクラの送迎ドライバーより、デリヘルのドライバーの方が稼げるらしいぞ!」
「デリヘルっすか?」

「そうそう、店によっては24時間営業しているトコもあるし、深夜帯なんて時給2,000円以上で朝まで何時間も働けるしな」
「まあ、確かにそうっすね」

「ショウタ君がその気なら、オレの知り合いのデリヘルを紹介してあげてもいいよ」
「は、はぁ…」

「ただし!カワイイ女の子がいたら、店を通さずに即オレに紹介するっていうのが条件だけどな!」
「!?」

その時、ショウタ君のスマホが鳴った。
ナイスタイミングとばかりに彼はスマホを手に取り「すぐに向かいます!」と言って電話を切った。

時計を見ると午前0時45分、これからキャバクラの送迎ドライバー業務が始まるのだろう。
「じゃあまた!」そう言い残してショータは勢いよく店を出ていった。

「マスター、そんなこと言ってるとショウタ君は二度と来なくなるぞ…」
さすがの私も半ば真剣に苦言を呈してみたが…。

「アイツ、“●●●●”でドライバーやってるって言ってたよな?ってことは、ウチの噂をしてたのは“ひかるちゃん”かな?それとも“さやかちゃん”か?まあ、いずれにせよ、このBARもキャバ嬢の間じゃすっかり人気店になったな…」

全く聞いちゃいない。
また明日からは通常通り、閑古鳥の鳴くBARに戻っていることだろう…。

私はドライバー稼業で走る回るショウタ君が、いつかどこかの街に根を下ろし、自らのお店をオープンさせている姿を想像しながら、マスターにバーボンのお代わりを頼んだ。