ゲスリーマンが秘密のアルバイト。ラブホテルの懲りない面々!前編【下衆リーマン日記】11話

ゲスリーマンがラブホテルのバイトで働き方改革!【下衆リーマン日記】10話 男性高収入求人ドカント

温湯(ぬるまゆ)シュウイチの下衆リーマン日記!

温湯(ぬるまゆ)シュウイチの下衆リーマン日記! 男性高収入求人ドカント
誰もが知ってる某一流会社勤めの金融マン。39歳妻子持ち。
長男は私立小学校に通い、妻は専業主婦で習い事に大忙し…。
そんな順風満帆な人生がひょんなことから600万の借金返済生活へ!
つちかった役職知識をフル活用!カラ交通費に経費水増し、株式投資に副業、ギャンブルetc…
一発逆転高収入を夢に見て、合法ギリギリの小遣い稼ぎに狂う日々…。
嗚呼、今年の8月にはようやく司法書士にお願いした債務整理の返済が終わります。
それまで嫁にはバレませんように(ナムー…。
AGAのハゲ薬をインドから個人輸入し副作用で精力が弱りはじめた、温湯シュウイチのゲスい日常!

第11話 温湯、秘密のアルバイト。ラブホテルの懲りない面々!前編

■ラブホテル「アムール」で深夜の清掃バイトを始めた温湯。

世の中の流れに乗っかってオレが働いている職場にも“働き方改革”の波が到達する。
“20時には必ず退館”
“残業は一切禁止”

チマチマと残業代で糊口を凌いでいた温湯には大打撃であった。
そんな折、顧客の丹下氏(仮名)から、彼の経営するラブホテル「アムール」でバイトをしないか、と持ちかけられる。
勤務時間は、温湯の仕事が終わった後、夜の9時から深夜12時迄の3時間
時給1,300円、1日あたり約4,000円の取っ払い(日払い)。
週5日の勤務で、月換算すると約8万円の収入となる。
温湯、毎月の返済金は、7万円…。
「ヨロシクお願いシャス!」温湯は迷うことなく頭を下げた。

※注…まず最初に断っておくが、ここから先の話は、あくまでも昭和の残骸ラブホテル「アムール」(仮名)に限定されたエピソードである。平成時代のシャレオツなラブホテルではこのようなエピソードはありません。多分。

■人間とはすごい生き物なんだなあ。シュウイチ。

人間とはすごい生き物なんだなあ。シュウイチ。 男性高収入求人ドカント「そのうち体も慣れるしな、痛いのは最初だけや!
親方後藤(女)の言うとおり、あんなにゲンナリしていた仕事だったのに、1週間もするとホントに体が慣れてきた。
よっぽどで無い限り、情事の後の臭いや汚さもあまり気にならなくなってきた。

このラブホテル「アムール」に限らず、ラブホはだいたい21時から26時(深夜2時)頃までが混雑する。
そして、26時を過ぎると“休憩客”は自動的に“宿泊客”に変更されるため、だいたい19時位から26時までの間に、いかにしてロスタイムなく“休憩客”を“回転”させるか(2時間休憩の客を何組入室させられるか)、が勝負になってくる。
逆に、26時以降の深夜帯の清掃は、ヒマになるため夜勤スタッフが1人でも事足りるのだ。

オレは普段は24時でバイトを上がるシフトなんだが、お客の入り具合によっては延長を頼まれることもある。

「温湯さん、この後26時まで延長できないかな?今日は“休憩”ばかりで、まだ“空き部屋”が確保出来ないのよ。今も“待ち”が3組なの!」
「すみません。明日早いんで定時で上がりたいんスけど…」

「いやぁ困っちゃうな…、202号室の清掃頼みますよ。出来れば15分以内で!」
※1部屋の清掃にはだいたい20分程かかる。
「202号室って、さっき掃除したばっかりじゃん!もう“回転”したんスか!?」

深夜手当増すから!あと2時間だけ頼む!プラス4,000円出すから!」
正直26時迄の勤務はオッサンの体にはキツい…。
だが、プラス4,000円。4,000円稼ぐためには、どれだけ“社用外出交通費(カラ交通費)”を申請しなければいけないことか…。

延長お願いシャス!スグ202号室向かいます!」
こんなことが繰り返される日々も増えてきた。

■お互いのタマとタマを握り合う。それがバディや。

そして“あの”後藤とも息が合ってきた
後藤とは、「アムール」のオーナー丹下から全幅の信頼を置かれている、この道30年、ベテランバイトリーダーのオバハン(漢)である。

2人1組で働くラブホの清掃作業。オレの教育係として仕事のイロハを教えてくれたオバハンである。
どぎつい関西弁、昭和のノリのオヤジギャグ…。辟易することもしばしばだったが、仕事に対しては“プロフェッショナル”であった。

ひと月もすると、“ゴッさん”(後藤)“ヌルちゃん”(温湯)、と呼び合う間柄になっていた。
「ヌルちゃん、今日は15分切りを目指すよ!」
「了解です、ゴッさん!」
そしてババアとオッサンがひたすら部屋と階段を走り続ける。

「ハイッ、ハイッ、ハイッ!」
部屋に入ると、ゴッさんは高速で、バスローブ→タオル→足マットを投げてくる。

「パシッ、パシッ、パシッ!」
右手→左手→左足でそれらを無言でキャッチし、黙々と掃除をするオレ。
まるで長年連れ添ってきた曲芸師一家のようである。

「えっ!もう終わったんですか?」
スピーカーからフロントスタッフも驚きの声を上げる。
そんな時はゴッさんと見つめ合いサムアップする。嗚呼、バディ

■ゴッさん、この道30年。プロフェッショナルの流儀。

「すーはー」
そんなゴッさんのルーチンはというと、部屋に入り、目を閉じて大きく深呼吸をすることから始まる。

ゴッさん、この道30年。プロフェッショナルの流儀。 男性高収入求人ドカント
そして全神経を集中させ、ベッドの乱れ具合や飲み物の散乱状態などの“目に見えるモノ”から、部屋の温度や湿度、臭気などの“目に見えないモノ”まで…、あらゆるモノからその部屋の状況を瞬時に捉える。
ここでどんな奴らがどんな行為に及んだのか?
人間の行いか?アニマルの所業か?アニマルキングダムか?

「ベッドが大変そうやで…」
と部屋を一瞥しただけでゴッさんがつぶやくと、当然のようにシーツは何かの水分でビッショビショであったり…。
「こりゃ風呂場がエライことになっとんでぇー!」
と部屋に入ったばかりのゴッさんが叫んだ時などは、風呂場にはひとかけらの●●●があった…。

もうこれって特殊能力じゃないか。(この仕事でしか使えない能力だけど…)

■「こりゃお宝がありそうやで…」(ニヤリ)

「こりゃお宝がありそうやで…」(ニヤリ) 男性高収入求人ドカントゴッさんが部屋に入るなりそう呟く時は、思わぬ“恩恵”がある時だ。
その恩恵とは、お客の●●●ではない。お客の“忘れ物”のことである。

「こりゃなんかあるでー」と部屋を見渡してゴッさんが言う。
「ホントかよ?」と思いながらオレが担当する風呂場に行くと、ほぼ100%忘れ物があるのだ。
化粧ポーチや口紅、小さなリステリン等々…。

「なんでお宝があるって分かるの?」とオレは聞いた。
まず臭いやな。酒臭いやろ?こりゃ酔っ払いが使った部屋や。しかもこの散らかり具合ときてる。んで、こんな時間(深夜24時頃)にチェックアウトするってことは、まだ酒が抜けとらん。なんか忘れとるやろ?ってことや」
名探偵コナンか、お前は!

そしてその忘れ物というと…。
タバコや飲食物に始まり、イヤリングや指輪などのアクセサリー類。
小銭やクレジットカード、はたまた財布なんかの金銭類。
エッチなDVDなんかはしょっちゅうあるし、女性の下着や服なんてのもある。
手錠やバイブなんかも忘れてったり、ポールギャグ(SMで使う口に入れるピンポン玉みたいなヤツ)が浴槽に残されていた時もあった。
そうそう、テーブルの上に使用済みの注射器が二本ばかり置かれていたこともあった。
糖尿病のカップルでもいたんだろうなー。(すっとぼけ)

そして、忘れ物に関するゴッさんの教えも明確だ。
「ええか、小銭はな、チップや!」
「千円以上が裸であったらバディで割り勘や!」

どうだろう、このプロフェッショナルぶり。スガシカオの曲が流れたね♪

カップルの出て行った部屋に清掃に入ると、基本的にオレはバスルーム、ゴッさんはベッドへ向かうのだが、ゴッさんは真っ先にベッドの頭の部分(ヘッドボード)とベッドマットの間を手で探る。
「ここにな、値が張る忘れモンが多いねん!」

するとホントにピアスやらネックレスやら時計なんかが出てくるから怖い。
「男も女も交わりながら夢中で(アクセサリーを)外してここ(ヘッドボード)に置くからや!」

また、こうも言っていた。
「ええか、パクるならアメニティーだけにしとき!」
※アメニティーとは、ホテルで用意するシャンプーやソープ、ティッシュ、コーヒー、ライターやコンドーム等の備品。
「客の忘れもんパクってクビになった奴、何人も見てきたからなー!ガハハ」

ここで、ゴッさん独自のルールをまとめると…。
・小銭→見つけたらゲット!ただし千円以上はバディと折半。
・財布、クレジットカード→フロントに届ける。
・時計、携帯電話→フロントに届ける。
・貴金属品→フロントに届ける。
・飲食物→開封後のものは基本的に捨てる。未開封のモノはフロントまで。
・タバコ→基本的に吸う。
・バイブや手錠などのグッズ、女性の下着→気持ち悪いからフロントまで。

もうお分かりであろう。忘れ物をフロントに届けるか、“ゴチ”しちゃうかの境界線は、“お客がわざわざ受け取りに戻って来る品物か?”という点である。

財布やクレジットカード、携帯電話や高価な貴金属などは、男も女も恥を忍んでラブホまで受け取りに来る可能性は極めて高い。
従ってフロントに忘れ物として届けていないと我が身に危険が迫る
逆に、小銭やタバコなんかは「忘れた!」と思っても受け取りに戻って来る人はほとんどいない。
オレみたいに働く者は、その境界線を踏み外さないことが大事だ。

オレも一度、ベットの清掃をしていた時、ゴッさんの教えに則ってヘッドボードの下を探って、女物の高級ブランドの貴金属品を拾ったことがあった。
表面にはホコリが被っていて、どう見ても今出て行った客のモノではないと光の速さで判断して、光の速さでゴチった。(犯罪)
その後ネットオークションにかけたのは言うまでもない。(犯罪×2)

そう、忘れ物で一番面白かったのは“ズラ”。男性用のカツラの忘れ物。
掃除に入った風呂場のタオル掛けに、無造作にズラが引っ掛かっていた。
「ヒッー!」
得体の知れない黒い生き物が張り付いてるのかと思って、悲鳴を上げてしまった。

何故、この男と部屋に一緒にいたお相手は、帰り際に指摘してあげなかったのだろうか?
何故、この男は自覚症状もないままに家路に着けたのだろうか?そんなに急いでいたのか?

色んな疑問が頭をよぎったが、受取りに来る可能性は大きかろうと、つまんでフロントに届けた。
後から聞いたら、明け方近くに野球帽を目深に被ったおじさまが「ウィッグを忘れた」と、受け取りに来たという。

■ゴッさんの、ためになるお話し。

こういった教えもあった。
「デリヘルの娘が使った部屋の忘れ物は1円たりともパクったらあかんで!」

なーんでか?
「そりゃ店の人が取りに来るからや。タバコだって取り来るでー!

「なるほど。でも何でデリヘルが使った部屋って分かるんスか?」
「簡単や!デリヘルの娘が使った部屋は、散らかってないんや!  まずな、風俗嬢は時間に縛られてるから無駄な動きをしないんや!  脱いだ服もその辺に散らかさないし掛け布団も使わん。酒も飲んでないから男の暴走も食い止めてくれるし、忘れモンだってチェックしてくれるしな」

そーいや、そうだったな…。と自分のデリヘル体験時のことを思い出していると…。
「そもそも風俗嬢は正気やから!仕事だから本気で乱れないんや!

あー、あの時オレが指名してた乙姫ちゃんも、アンアン喘いでいる割には時間が来たらサクッと真顔に戻って帰って行ったわ…。
仕事だったんだなぁ…結構通ったのになぁ…泣けるわぁ…

素人のカップルのがなんぼかヤバイで! その辺で服を脱ぎ散らかして飲んだり食ったり、風呂場やベッドでやりたい放題の大暴れや!