風俗店・デリヘルのドライバーへ転職した男性(44歳)が語る実情とは?

ここは都心の繁華街。とある雑居ビルで営業するBAR

今夜も店に入るとカウンターには私と同様、時間を持て余した客が数人座っていた。

一人の客にマスターが文句をつけている。
温和なマスターがこのような態度を見せるのは珍しい。
これは何事かと、その客の隣に座り聞き耳を立ててみた。

「俺もね、デリヘルのホームページに載ってる“モザイク写真”の女が実在するのかどうか、そんな青臭え事は言わないよ。でもさ、せめてタイプは合わせろよ。“スレンダーな美女”って載せといて“巨デブ”がやって来りゃあ、さすが頭に来るって!」

■マスター、デリヘルの“振替”に怒る。

なんだよ、何を熱くなってるのかと思ったら、“振替”の話か。

“振替”とは風俗業界の用語で、雑誌やサイトで紹介されている写真とは違う、“別人”の女の子が接客に現れる事を指す。

デリヘルは女の子が眼前に到着するまでの高揚感、ドアを開けて女の子を一目見るまでのドキドキ感が遊びの醍醐味といっても過言ではないのだが、それ故に期待が裏切られた際の失望感もまた甚大である。

まあ、マスターが怒りをぶつけたくなるのも無理はない。
すると文句を言われたその客が、頭を掻きながら言った。

「それはお気の毒でしたけど、ウチの店はちゃんと在籍してる女の子をホームページにアップしてますし…、他の店の文句を言われても…」

おいおい。
てっきりこの客は振替デリヘル店の関係者かと思っていたが、そうではないらしい。
それなら可哀想だ。

「何かすみませんね…」
すると、その客が私に話しかけてきた。

「マスターから仕事は何してるのって聞かれて、デリヘルで働いてるって言ったら、いきなり怒り始めちゃって(苦笑)」

そう話すこの男性を改めて見ると、年の頃は40代の半ば、白髪交じりの髪をきっちり七三に分け、グレーの地味なジャケット姿…。
その出で立ちは、お堅い職業の勤め人といった雰囲気である。

「デリヘルで働いているような感じには見えないですね」
私が見たままの印象を伝えると、彼は頷きながら言った。

「ええ、20年以上、食品の卸し会社で働いてましたから。自分が風俗店で働くなんて夢にも思ってなかったですよ…」

「それがまたどうしてデリヘルに?」

「まあ、その会社で色々とやらかしましてね・・・」
私が問うと、男は自虐的な笑いながら言った。

「それで会社を辞められて、今はデリヘルの従業員ですか?」
私がそう水を向けると、彼は首を振りながら答えた。

「いや、私は内勤のスタッフじゃなくて、ドライバーです」

■その男性の仕事は、デリヘルのドライバーだった。

出張型・派遣型・デリヘルなどの“無店舗型風俗店”は、プレイルームが店外(ホテルや客の自宅)になるため、女の子をそこまで車で送迎しなければならない。
それを行うのが、ドライバーの役目だ。

私はこれまで何人か、風俗店で働く男達と話したことがある。
しかし彼らは店長という肩書を持っていたり、客からの電話を受け付ける内勤スタッフだったりで、送迎ドライバーの仕事をしている人と会うのは初めてだ。

ということで今宵は、お堅い会社をお辞め(クビ?)になって、今はデリヘル嬢を運ぶ“ドライバー”という彼(M氏)の話を肴にすることに決めた。

■パチンコにハマり借金苦…遂に会社の金に…。

──どういった経緯で風俗店のドライバーになったんですか?

「食品の卸しの会社で永らく働いてましてね、私の仕事は営業車を使って飲食店を回り色々な食材を届ける配送業務でした。 給料はそれほど良くはなかったですが、会社は堅実な経営をしていたので安定はしていましたし、30歳過ぎで結婚して子供2人にも恵まれて円満でした…」

──そこから何が…?

「3年程前、ふらっとパチンコ屋に入ったのが運の尽きで(笑)。 今思うと、毎日同じ店に同じ仕事の繰り返しという生活が退屈で飽きてきたんでしょうね。最初は遊び程度だったのがすぐにのめり込んじゃって…。 後はお決まりのパターンで、手持ちの金が尽きると“サラ金”に手を出して…。 今度はその返済のために会社の金に手を付けて…」

──あらぁ…。

「その後は自転車操業で何とか埋め合わせをしてたんですけど…。それでもパチンコは止められずに状況はどんどん酷くなって…。ついに会社に“使い込み”が発覚しましてね、“クビ”になりました…」

──ああぁ…。それでご家庭などうなったんですか?

「家庭崩壊ですよ。妻は激怒して子供を連れて実家に帰っちゃいましたね…。現在は離婚調停中です。 私の実家の方も、息子が横領で訴えられたりしたら世間体が悪いから仕方なく金を貸してくれましたが、その後は半絶縁状態です」

──ご愁傷様なことで…。では金銭面はまだまだ大変なのでは?

「そうなんですよ、未だサラ金の借金は残ってますからね。 すぐに稼がないと返済も出来ないし食ってもいけない。 でも私も今年で44歳ですから、すぐに仕事なんて見つからないじゃないですか。 だから高収入求人サイトで仕事を探したんですよね」

──そこで風俗のデリヘルドライバー募集を見つけたと。

「これまでずっと車を使って仕事してたし、届けるものが“食材”から“女の子”に変わるだけなら、私にも出来るかなと思って(笑)。  それにドライバーの求人には、だいたい『4人乗り以上の乗用車の持ち込みが出来る方優遇』って書いてあるんですよ。 幸い私は車を所有していたので有利かなと思って、応募することにしました」

──その年齢で初めての業界に飛び込むのって勇気が必要だったのでは? それも風俗業界、抵抗感はありませんでした?

「正直ありました、風俗店ってどういう世界なのか全然わからなかったんで。きっと“コワモテ”で恐ろし気な人達がいっぱい居るんだろうなって勝手にイメージしていたので、いざ求人の応募で電話をする時は緊張しましたね」

■初めての風俗店の面接。イメージを変えたスタッフの対応。

──実際の風俗店のスタッフはどうでした?

「電話で応対してくれた男性がハキハキとして礼儀正しかったんで拍子抜けしちゃいました。 そして翌日にマンションの一室にある事務所で面接を受けたんですが、パリッとスーツを着こなした若い店長が丁寧な対応で面接をしてくれたんで、これはちょっとイメージとは違ったと思いましたね」

──昔は風俗店って“ヤ○ザ”みたいな連中がやってると思ってたけど、いざ知り合ってみると全然そんなんじゃない。真面目で気のいい人が多いですよね。 それで面接はどうなりました?

「『ドライバーの経験はありますか?』と聞かれて、未経験じゃマズイのか、と動揺したんですが、車で食品配送の仕事をしていたことを話すと、『では車の運転には慣れているんですね、だったらOKです』とその場で採用が決定しました」

デリヘル・ドライバー、その時給・待遇etc・・・募集条件は?

職種:デリヘル・ドライバー(車持ち込み)
給与:時給1,300円~
待遇:日払い可・待機時間中も時給は発生・ガソリン代全額支給
勤務時間:0:00~24:00の間で自由シフト制
勤務日:自由シフト制
資格:要普通免許 ※持ち込みの車種:4人乗り以上の乗用車(軽自動車可)

──“自由シフト制”ということは、頑張ればそれだけ多く稼げるってことですよね、しかも日払いだし。 今はどれくらいの勤務時間で働いていますか?

「お店は繁盛してるんですがドライバー不足ということもあって、それに私も今はとにかく稼ぎたいから、昼2時~深夜2時までの12時間勤務で週6日入ってます」

──12時間勤務!それは頑張りますねぇ。それだと給与は、えっと…。

「時給1,300円で12時間勤務だと、日給換算で15,600円。
日給15,600円で週6日、仮に月25日勤務とすると、月給換算で390,000円」

──おおぉ、なかなかの高収入!

「これだけの収入を未経験ですぐに稼げるなんて他の業界では中々ないですからね。しかも40代のオッサンですから…。この仕事を始めて良かったと思ってます」

■風俗店・ドライバーの仕事内容、研修制度は?

──風俗店のデリヘルドライバーの具体的な仕事内容というと?

「女の子を待機所からホテルやお客様の自宅へ送迎すること。 それ以外には、深夜に仕事が終わった女の子を家まで送ったりします。 細かい仕事だと、女の子がプレイ用に持ち歩く備品、ローションやイソジン、ローターなどの準備をしたりとか…。 ウチの店ではやらないですが、女の子と一緒にお客様のところまで行って、プレイ料金の受け取りを行うところもありますね。 また、送迎がない時は事務所の掃除とか雑務も手伝います。 そして仕事が終わったら、事務所で業務報告する感じです」

──細かい仕事もあるんですね。やっぱりメインは女の子を送迎すること。それって未経験でもすんなり出来るものですか?

「ウチの店の場合は研修制度があって、最初は先輩ドライバーが助手席に座ってアレコレと教えます。だから未経験の人でも大丈夫です」

──研修制度があるんですね。どんな事を教えてもらえるのですか?

「女の子を“安全”かつ“迅速”に、そして“時間通り”に送迎する、という基本的な心構えから、事務所の内勤スタッフとのやり取りなどの具体的な方法などがレクチャーされます。 加えて、どのエリアのどのホテルがよく利用されるか、そこに向かうにはどの経路が早いか、といった実地的なことも全部そこで教わりました」

──そうした研修があって、いよいよ一人で女の子を送迎すると。最初は緊張しました?

「やはり緊張しましたね。仕事内容は研修で把握できたんですけど、やっぱり一人でやると不安になるし。 それに何より、常に若い女の子と車内で二人きりになるのが慣れてないので緊張しましたね(笑)」

──“なんでこんな可愛い子が!?”ってのがいますよね!

「ホントにそうですね。 こんなことならパチンコなんかハマらないで、風俗にハマってれば良かったですよ!」

──それはそれで身を滅ぼしてたような(笑)

■裏道や渋滞事情に精通していると仕事にメリットあり。

──風俗店のドライバーという仕事、改めてどう思ってます?

「自分には向いてると思います。以前から都内の飲食店向けに配送の仕事してたんで、繁華街周辺は裏道まで結構知ってるんですよ。 その頃から渋滞事情は頭に入れて動いてたんで、あそこに行くにはこの道の方がちょっと遠回りだけど時間的には早い、みたいな。 そういうのが今の仕事にも役立っていますね」

──確かに“スピーディーに運ぶ”という意味では、食品配送も女の子の送迎も同じ仕事ですからね。

「タクシーの運転手や配送業出身の人は、すぐに仕事を覚えられるからこの仕事に向いてるって店長も言ってました。 でもそういった仕事とデリヘルドライバーの仕事とでは、“決定的に”違う部分もありますけどね…」

■女の子のプレイ中は待機。その間は何を!?

──えっ、その違いって何?

「タクシーの運転手や配送業者の場合は、人や物を指定の場所に届けたら終わりですけど、デリヘルのドライバーは、女の子がお客様とのプレイが終わるのを待って、そこからまた待機所や次のお客様のところに送り届けないといけないんです」

──女の子がプレイしている時間ってドライバーは何をしてるんですか?

「送迎したホテルや自宅の近くに車を止めて待機してます。もし女の子にトラブルが起こった時には駆けつけなきゃならないんで…。 まだそんなトラブルは経験したことはないですけど…」

──2時間とか待ったりするんですか?

「そうです、その間は車の中で何をしていてもいいので休憩時間みたいなもんですよ。 カーナビでテレビ見たりスマホゲームしたり、雑誌や本を読み耽ったり…。 しかも、そんな待機時間中でも時給が発生するのが大きいです。 だから長時間労働でも意外に辛くないんですよ」

■車持ち込みじゃなくても風俗店のドライバーは可能?

──デリヘルのドライバーって、自家用車を持ち込みじゃないと出来ないんですか?

「いや、ウチの店は“社用車”があるので、車を持ち込まなくても仕事は出来ます」

──車を持っていない人でも可能なんですね?

「でも給料が変わって“時給1,050円”です。車を持ち込める人の場合は“時給1,300円”だから時給額は少なくなります。 ただし、お店によっては車持ち込みの人を限定で募集しているところもありますから求人情報をチェックした方がいいですね」

■車内で女の子との会話は・・・。

──デリヘルのドライバーって、女の子と車内で二人きりの時間が多いですよね。その間の距離感というか、女の子と仲良くなったりはしないんですか?

と、そんな質問を投げかけていると、背中に何か気配を感じる。
何かと思って振り返ってみると、マスターが素知らぬ顔で聞き耳を立てていた。
さすが、この嗅覚には恐れ入る。

しかし、そんな私達をよそに、M氏は首を振りながら答えた。

「基本的にドライバーは女の子と“私語禁止”です。 それは研修の時、先輩ドライバーからしっかり釘を刺されるんで…」

なあんだ。それを聞いて私は思わず前のめりになっていた体を起こした。
同時に聞き耳を立てて固まっていたマスターも動き出す。
しかしその時、M氏が「でも・・・」と口を開き、我々の動きは再び止まった。
なかなか忙しいのである。

「女の子も色んなお客様の相手をするから、思わず愚痴りたくなる時もあるみたいで、そういう時は話を聞いて慰めたりはしますね…」

そうやって慰めながら、いつでも相談に乗るよってLINE交換したり、メシでも食おうか?とか誘ったりしてんじゃないのおぉぉぉ?
と口には出さなかったが、私の顔に出ていたのであろうか。

「いやいや、連絡先を聞いたり誘ったりしたのを女の子が店に報告したら、厳罰が待ってますよ。そんなのはもちろん勘弁だし、まず女の子とは親子ほど歳が離れてるんですから何も起こりませんよ(笑)」
と軽くいなされた。

デリヘルのドライバーが送りオオカミになってるようでは収拾がつかなくなる。確かにそりゃあダメだ。
それを聞いて、マスターも頷きながら仕事を再開した。

■店長からは正社員勤務の話が!さてどうする?

このように“風俗ドライバー”とはいかなる職業かを語ってくれたM氏。
そんな彼に最後にもう一つ質問をしてみた。

──“風俗ドライバー”という自分に合った仕事が見つかって良かったですけど、この先もずっとこの業界で仕事をしていくつもりですか?

「ウ~ン。実は店長から『バイトのドライバーじゃなくて、正社員として店舗運営の仕事をしてみないか』と誘われてるんですよね…」

──ドライバーとしての仕事が評価されたんですね、良いじゃないですか!

「確かにドライバーという仕事は自分に合っていましたし、評価をしてもらえるのは嬉しいですけど、この業界でこの先も仕事を続けるかというとね…、子供のこともあるし正直迷ってますね。 でも、せっかく自分を拾ってくれたところなんで前向きに考えてみようと思ってます」

そう話した後、M氏は…。
「車を運転する仕事だから深酒できないので…」
と言い残して帰っていった。

明日は休みだから飲みに来たということだったが、それでも決して飲み過ぎない…。根は真面目な人なのだろう。

それでも一度起こしてしまった失敗は消せない。
しかし、捨てる神があれば拾う神もあり。

風俗の世界は“懐が深い”
良きにせよ悪しきにせよ、どんな人間でも飲み込んでいく。
やる気と忍耐力さえあれば、誰でも“経歴”や“年齢”不問で復活できる業界なのである。

M氏がこの業界で成功することを願いながら、乾杯。